「アパート」とは、集合住宅の一形態であり、複数の住戸が一つの建物に集まっている住居スタイルを指します。
日本では一般的に、「軽量鉄骨造」や「木造」の2~3階建ての集合住宅をアパートと呼ぶことが多いですが、法的には明確な定義はなく、不動産業界や地域によって呼び方やイメージに違いがあります。
マンションに比べると家賃が抑えめで、初期費用が安いというメリットがある一方、防音性や耐久性で劣るのも事実です。
アパートの特徴
構造がシンプル・軽量
アパートは木造や軽量鉄骨造で建てられることが多く、2~3階建て程度の高さが一般的です。
一般的なマンションが鉄筋コンクリート(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)などを採用しているのに対し、アパートは構造が比較的軽く、建築コストが低めに抑えられます。
「軽量鉄骨(けいりょうてっこつ)」とは、厚さが6mm未満の鋼材を主要な骨組みに使用した建築工法のことを指します。木造と比べて火災やシロアリなどのリスクが少なく、耐久性に優れている一方、鉄骨造の中では比較的軽量の材料を使っているため、低層[…]
「RC構造(アールシーこうぞう)」とは、鉄筋コンクリート造を指し、鉄筋(スチールバー)を中に組み込み、そこにコンクリートを流し込むことで一体化させた建築工法のことです。コンクリートの圧縮強度(押す力への強さ)と、鉄筋の引張強度(引っ張る[…]
家賃が安め
構造や立地によって差はあるものの、同じエリア・同じ築年数・広さで比べた場合、アパートの家賃はマンションよりも抑えられることが大半です。初めての一人暮らしや予算を抑えたい場合、アパートは選択肢に入りやすいでしょう。
規模が小さめ
マンションと違い、1棟当たりの戸数は少ない(数戸から十数戸)ことが多いです。
住人同士の距離が近い場合もあり、プライベートを守るための工夫が必要になるケースがあります。
アパートのメリット
家賃・初期費用が安い
マンションと比べて建築コストが低いため、家賃や敷金・礼金が抑えられる物件が多いです。
特に築年数が古めのアパートでは、初期費用が大幅に安くなることもあり、限られた予算で引っ越しを考えている人には大きな魅力です。
駅から遠いエリアにも多い
都心の駅近マンションは家賃が高騰しがちですが、少し郊外に行くとアパートが多く見られます。車通勤やバス通勤が多い地域などでは、駅近でなくても生活が便利なことがあるため、広めの部屋を比較的リーズナブルに借りられることが多いでしょう。
入居までの手続きがスムーズ
マンションに比べると、管理規約や保証人の要件がやや緩やかな場合もあります。
敷金・礼金なし、あるいは仲介手数料が安い物件も多く、一人暮らし初心者や学生にも借りやすいケースがあります。
コミュニティ感を得やすい
規模が小さいため、入居者同士が顔見知りになりやすいケースも。防犯面でお互いに気遣ったり、ご近所づきあいが生まれたりすることで安心感が高まることもあります(ただし、あくまでも人間関係次第という面もあるので一概に言えません)。
アパートのデメリット
防音・耐震性に不安が残る場合がある
木造や軽量鉄骨造が多いため、マンション(RC造)に比べると防音性や耐震性で劣ります。隣室や上下階の生活音、足音が響きやすいのが大半なので、内見時には入居前に壁の厚みや遮音材の有無を確認すると良いでしょう。
設備がシンプル
エレベーターやオートロック、宅配ボックスなどの設備はマンションに比べて設置率が低いことが多いです。快適さやセキュリティを重視する人には物足りないケースがあります。
異様に高い鍵交換費用を請求される場合もある
基本的にはそんなことはないですが、某ハウスメーカーの入居前の鍵交換において、ビックリするような費用が掛かることがあります。
初期費用項目にきちんと書いてあるはずなので、しっかり目を通して確認するようにしましょう。
管理体制がマンションほど充実していない
マンションでは管理組合が共用部分の掃除やメンテナンスを行いますが、アパートの場合はオーナーや管理会社が簡易的に行うことが多いです。共用部の清掃頻度が少なく、ゴミ置き場などが不衛生になるリスクも。
階段利用の不便さ
アパートにはエレベーターがない場合がほとんどです。荷物が多い、足腰が弱い人には2階や3階までの昇降が負担になることがあります。
ヒント
エレベーターは何階からある?
エレベーターは何階からという基準ではなく、建物の高さによって決まっています。
建築基準法では31mを超える物件はエレベーターの設置が義務化されていますが、それでいえばおおよそ7階以上の建物になります。
エレベーターの設置には建築コストがかなり掛かるのでそれより以下では無い建物が多いというのが実情です。
豆知識:アパート探しのポイント
防音性能をチェック
実際に部屋を見学する際、壁や床の厚み、床材の種類を確認しましょう。
隣室や外部からの音が響きやすいかどうかは、内見時に周囲の音に耳を澄ませるのもポイントです。
※ 遠慮しないで行いましょう!住んでしまってからでは遅いです。
共用部の管理状況
ゴミ置き場や共用廊下、階段などがきちんと掃除されているかどうかで、管理会社やオーナーの姿勢をある程度推測できます。
見落としがちな部分ですが、日々の生活の快適さに直結する重要な要素です。
築年数だけでなく、リフォーム・リノベーション履歴も確認
古めのアパートでも、キッチンやバスルームがリフォームされていれば快適に暮らせることがあります。
逆に、築浅でも材質が安価で劣化が早い物件もあるため、内装や設備の状態をしっかりチェックしましょう。
周辺環境と交通の便
アパートは駅から遠い場所にも多いため、生活圏の充実度や通勤・通学時間を考慮することが大切です。
バス路線や車移動がメインとなるなら、駐車場の有無や駐車料金にも注目してください。
契約期間・更新料
アパートによっては更新料や更新手数料が高めに設定されている場合があります。
長く住む予定がある場合は、契約更新の条件も事前に把握し、トータルコストを見込んでおくのが賢明です。
「アパート」に関するまとめ
アパートは、木造や軽量鉄骨造が多く、マンションに比べて家賃や初期費用が抑えられるため、予算を重視する人や一人暮らしの初心者にとって魅力的な選択肢です。一方で、防音性能や設備面でマンションに劣る場合が多く、物件選びでは慎重な見極めが必要です。
入居前に周辺環境や共用部の管理状態、築年数だけでなくリフォーム履歴なども含めて確認し、納得のいく物件を見つけましょう。アパートであっても、選び方次第では快適な暮らしを実現できる可能性が十分あります。