「アスベスト(石綿=せきめん、いしわた)」は、天然に存在する鉱物繊維で、耐熱性、耐久性、断熱性に優れているため、建材や工業製品に広く使われてきました。
しかし、その繊維が健康に深刻な影響を及ぼすことが分かり、現在では多くの国で使用が規制されています。
アスベストの特徴
実際は優れた性能
耐熱性や耐久性に優れ、火災や腐食に強い。
電気絶縁性が高く、さまざまな用途に使用可能だった。
細かい繊維状
鉱物が細かい繊維の形状をしており、非常に軽い。
加工のしやすさ
他の材料と混ぜやすく、さまざまな形状に加工可能。
アスベストの用途
過去には建材をはじめ、以下の用途に広く使われていました。
建材
石綿セメント板、吹き付け材、断熱材、耐火被覆材など。
断熱・保温材
ボイラー、パイプ、煙突の断熱材。
摩擦材
自動車のブレーキパッドやクラッチ。
その他の工業製品
耐火服、電気絶縁材、フィルター。
アスベストの健康リスク
健康に与える影響
アスベスト繊維を吸い込むことで、以下のような病気を引き起こすリスクがあります。
中皮腫(ちゅうひしゅ)
胸膜や腹膜のガンで、アスベスト曝露(ばくろ)が主な原因。
肺ガン
長期間のアスベスト曝露が肺ガンのリスクを高めます。
アスベスト肺(石綿肺)
繊維が肺に蓄積し、肺が硬化して呼吸困難を引き起こす。
胸膜プラーク
胸膜に異常が発生するが、直接的な症状がない場合もあります。
危険性のポイント
アスベスト繊維は非常に細かく、空気中に浮遊しやすいです。
繊維を吸い込むと体内では分解されないため、数十年後に健康被害が出る場合があります。
アスベスト規制と対策
日本での規制
製造・使用の禁止
日本では2006年に、すべてのアスベスト製品の製造・使用が全面禁止されました。
逆に言えば、それまでの直前に建った建物でも、アスベストが使用されている可能性はゼロではありません。
建物の管理
既存建物に使用されているアスベストについて、所有者には適切な管理が求められます。
実例
1975年までに建った建築物であればかなり高い確率でアスベストが使用されています。
解体時の注意
アスベスト含有建材を使用している建物を解体する場合、専門業者による除去作業が義務付けられています。
個人でできる対策
建物の確認
自宅や所有する建物にアスベストが使用されているか調査する。
解体作業は専門業者に依頼
素人がアスベストを扱うと、健康リスクを高めるため、専門業者に依頼する。
防塵マスクの使用
作業現場など、アスベストに触れる可能性がある場合は防塵マスクを着用する。
アスベストに関する豆知識
見た目では判別できない
アスベストが含まれている建材は、外見では判断ができないため、専門の調査が必要です。
日本の使用量
日本では1970年代から1990年代にかけてアスベストが広く使用され、現在も多くの建物に残存しています。
アスベスト含有率
一部の製品はアスベスト含有率が低いため規制を逃れたものもあり、注意が必要です。
リスクの現実
アスベスト被害は潜伏期間(病気によって10~40年)が長いため、過去の使用による健康被害が今も発生しています。
国際的な対応
世界保健機関(WHO)や国際労働機関(ILO)は、アスベストの完全禁止を推奨しています。
アスベストの調査・対応
専門業者への相談
建物にアスベストが含まれているか調査を依頼。
アスベスト除去作業
除去は法律に基づいた専門的な手法で行う必要があります。
解体時の届出
アスベストを含む建物を解体する際は、自治体への届出が義務化されています。
注意点
放置は危険
アスベスト含有建材が劣化すると、繊維が飛散するリスクが高まります。
DIY作業は禁止
アスベストが含まれる可能性がある材料を扱う場合は、自分で作業せず専門業者に依頼する。
隣接する住民への配慮
アスベスト除去や解体作業では、近隣住民への告知と配慮が求められます。
「アスベスト」に関するまとめ
アスベストは、その優れた特性から過去に広く利用されてきましたが、深刻な健康リスクを伴うことが判明しています。
現在では使用が禁止されていますが、既存建物や古い設備に残存しているケースも多く、適切な管理と除去が必要です。
建物の改修や解体を検討する場合は、専門業者による調査と対応を行い、健康被害や環境への影響を防ぎましょう。
また、アスベストのリスクについて正しい知識を持ち、日常生活での安全を確保してください。