「検査済証(けんさずみしょう)」とは、建物の工事が完了した際に建築基準法や関連法規に合致しているかをチェックし、問題なく基準を満たしていると認められた場合に、自治体や指定確認検査機関から交付される書類のことです。
建築確認申請を行って得られる「確認済証」と対になる書類であり、完成時の「合格証明書」のような役割を果たします。
検査済証が必要な理由
安全性・品質の確保
建築工事が完了した段階で、図面どおりに施工されているか、防火や耐震などの基準を満たしているかを最終確認します。
トラブル防止
検査済証がない建物は、将来のリフォームや売却の際に融資を受られなくなる、瑕疵担保責任が問われるなど、とても不利な状況が起こることが多いです。
検査済証の取得の流れ
1.建築確認申請
新築や大規模増改築をする際には、まずは図面や設計を役所や指定確認検査機関に提出し、建築基準法に適合しているか審査を受けます。合格すると「確認済証」が交付され、工事をスタートできます。
2.中間検査・完了検査
工事の途中で行う「中間検査」が義務付けられる場合があり、柱や配筋などを確認。工事が完了したら「完了検査」が行われ、最終的に基準を満たしているかをチェックします。
3.検査済証の交付
完了検査に合格すると「検査済証」が交付されます。
建物が法令をクリアしている証明として、将来的な売買や融資、増改築時にも大きな安心材料となります。
検査済証がないとどうなる?
融資・売却が不利
銀行などの金融機関は、検査済証のない物件に融資をしない、または審査を厳しくするのが普通です。中古住宅市場でも、買い手が付きにくい、価格が大幅に下がることを覚悟しておきましょう。
融資が下りないということは、買い手はキャッシュ(現金)で買う以外方法はありません。
法律違反のリスク
建築基準法違反とみなされると、是正勧告や罰則を受ける恐れが出てきます。特に増改築や用途変更をする際には、検査済証がないとトラブルに発展しやすいです。
豆知識:検査済証をめぐる注意点
検査済証と完了検査の違い
完了検査に合格すると検査済証が発行されますが、「完了検査を受けずに工事が終わってしまった」ケースも少なくありません。この場合、正規の方法で建物の安全が確認されたとはいえない状態なので注意です。しっかり確認してください。
再発行は基本的に不可
いったん紛失すると、原則として再発行はできません。ローンや売却で必要になる場合もあるため、大切に保管しましょう。
「既存不適格」との違い
以前は適法に建てられたが、法令改正で基準を満たさなくなった建物は「既存不適格」です。一方、検査済証が発行されていない物件は「違法建築(もしくはグレーゾーン)」の可能性があり、法律上の扱いが異なります。
これらの物件も同様に、銀行からの融資を受けることは難しいです。
「検査済証」に関するまとめ
検査済証は、建物が安全面や耐震性、防火性など建築基準法に適合していると公的に証明する大切な書類です。
将来的な売買や融資の際に大きく影響するほか、居住者の安心にも直結します。
もし検査済証がない物件を購入・所有する場合は、その理由やリスクをしっかり確認して、必要に応じて専門家をはじめ、必ず銀行に相談しましょう。
マイホームの建築やリフォームでは、建築確認から完了検査、検査済証の交付までのプロセスをきちんと踏むことが、快適で安全な暮らしへの一番の近道といえます。