「民法(みんぽう)」は、私たちの日常生活におけるルールを定めた法律です。
契約や財産、家族関係など、個人間の関係を円滑にするための基本的なルールをまとめています。
日本では、「一般法」として、さまざまな法律の基礎となる重要な役割を果たしています。
この民法において、最近でいうと2020年4月に大幅な改正が施行されました。
民法の目的
個人の権利を守る
所有権や契約自由の原則を基に、個人の権利や自由を保護します。
トラブルの解決を促す
契約違反や財産争いなどの問題を、公正なルールで解決する指針を提供します。
社会の秩序を保つ
誰もが守るべき基本的なルールを示し、公平な社会を実現します。
民法の構成
日本の民法は、大別すると以下のような5つの主要な分野に分かれています。
総則
民法全体の基本的なルールが定められています。
- 権利能力
誰が法律上の権利を持つか。 - 意思表示
契約を成立させるための基本原則。 - 時効
一定期間が経過した場合に権利が消滅したり、取得されるルール。
物権
財産(物)に関する権利やルールが規定されています。
- 所有権
物を自由に使ったり、処分できる権利。 - 担保物権
借金の担保として物を提供する際のルール(例:抵当権)。
「抵当権」とは、借金などの債務を保証するために、債務者が所有する不動産に設定される権利のことを指します。主に住宅ローンや事業資金の融資を受ける際に、銀行や金融機関が設定することが一般的です。抵当権を設定することで、債務者が返済できなくな[…]
債権
人と人との間での約束や義務(契約など)についてのルールです。
- 契約
売買契約、賃貸借契約など。 - 不法行為
他人に損害を与えた場合の賠償責任。
親族
家族や親族間の関係が規定されています。
- 結婚
婚姻の条件や手続き。 - 親子関係
扶養や相続のルール。
相続
人が亡くなった際の財産の分配方法が定められています。
- 遺産分割
相続人間で財産を分けるルール。 - 遺言
被相続人が財産の分け方を指定する仕組み。
民法が適用される場面
契約を結ぶとき
賃貸契約、売買契約、労働契約など。
財産を管理・相続するとき
不動産の購入や、遺産の分配。
家族関係を整理するとき
結婚、離婚、養子縁組など。
トラブルが発生したとき
損害賠償請求や貸し借りの問題解決。
民法の原則
契約自由の原則
当事者同士が自由に契約内容を決めることができます。
権利濫用の禁止
権利を不正に行使して他人に損害を与えることは禁止されています。
信義誠実の原則
社会的に誠実な行動が求められます。
民法に関する豆知識
民法改正
民法は時代に合わせて改正されており、近年では2020年に大きな改正が行われ、契約のルールや相続に関する制度が見直されました。
時効期間の変更
2020年の改正で、債権に関する時効が「5年」に統一されました(原則)。
未成年者の契約
未成年者が契約を結ぶ場合、親の同意が必要ですが、2022年から成人年齢が18歳に引き下げられました。
ヒント
各種借入、ローンなど
成人年齢の引き下げに伴い、現在では18歳から保護者の同意無しで可能です。
ただし、19歳、20歳の高校生などはクレジットカード会社、他の金融機関の制限を受けることが多いです。
成人式
民法が改正された後も、少なくとも2025年現在では各自治体が成人式対象を20歳としており、このあたりは法律的な定めはありません。
タバコやお酒
非行防止、青少年保護法の観点から、民法改正後も20歳です。
ギャンブル
競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走などの公営競技は20歳です。
ただし、パチンコやスロットにおいては18歳です。
そのあたりは闇ですね。
消費者保護
消費者契約法や借地借家法など、特定の分野で消費者や弱者を守るための特例があります。
婚姻の年齢制限
2022年から男女ともに婚姻可能な年齢が18歳に統一されました。
注意点
契約書の確認
それぞれの契約において、契約内容が民法の規定に反していないかを確認しましょう。
専門家の相談
トラブルや不明点がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するようにしましょう。
詐欺など金銭が絡むものは、消費者センターなどの相談もあります。
法律の理解が必要
民法は日常生活に密接に関連するため、基本的なルールを知っておくと便利です。
「民法」に関するまとめ
民法は、日常生活のあらゆる場面で適用される法律で、契約、財産、家族関係など、私たちの生活を支える基本ルールを提供しています。
トラブルを防ぎ、安心して生活を送るために、民法の基本を知っておくことはとても大切です。
困った場合や詐欺などの被害にあった場合は必要に応じて専門家や警察に相談するようにし、ルールを正しく活用することで、より良い日常生活を実現しましょう。