「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」とは、不動産の登記情報をまとめた書類の正式なコピーのことです。
不動産の所有者や構造、面積、抵当権など、重要な情報が記載されており、取引やトラブル防止に欠かせない存在です。
登記簿謄本の基本構造
登記簿謄本は、大きく以下のパートに分かれています。
表題部
不動産の物理的な情報(所在地、面積、構造など)が記載されています。
土地の場合は「地積」、建物の場合は「床面積」などが書かれています。
甲区(こうく)
主に所有権に関する情報が記載され、現在の所有者や過去の所有者の移り変わりが分かります。
乙区(おつく)
抵当権や賃借権など、所有権以外の権利に関する情報がまとめられます。
銀行ローンを利用すると、乙区に抵当権が登記されます。
登記簿謄本の取得方法
登記簿謄本は、不動産の所在地を管轄する法務局で取得できます。
近年ではオンライン(登記情報提供サービス)で情報を閲覧する方法も一般的ですが、契約や法的手続きに必要な場合は原本に近い形の登記事項証明書(紙ベースのもの)が求められます。
取得の手順
- 法務局の窓口に行く
- 申請書に必要事項を記入(不動産の地番や家屋番号など)
- 手数料(数百円~数千円程度)を支払う
- 登記事項証明書を受け取る
オンラインでも同様に手続きできますが、紙の証明書が郵送で届くまでに数日かかることがあるので、余裕をもって申請するのが望ましいです。
登記情報提供サービスは,登記所が保有する登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。…
登記情報提供サービスを利用すると、PDFでダウンロードすることが出来ます。
登記簿謄本が必要なシーン
不動産の売買や相続
所有者が誰なのか、抵当権がついていないかを確かめるために取得します。
融資を受ける際
金融機関が担保評価のために登記情報を確認します。
境界や権利関係のトラブル防止
近隣トラブルや再建築時に、正確な情報を確認するために取得するケースがあります。
初心者向け豆知識
登記情報は誰でも閲覧可能
登記簿謄本は、公的書類として一般公開されているため、手数料を支払えば誰でも請求できます。
プライバシー保護の観点から個人情報の取り扱いには注意が必要ですが、不動産取引の安全性を高めるための仕組みでもあります。
「登記簿謄本」と「登記事項証明書」の違い
現在の制度上は「登記簿謄本」の名称は使われず、正確には「登記事項証明書」と呼びます。日常的には慣用的に「登記簿謄本」という言葉が使われていますが、法務局で申請する際は「登記事項証明書」が正式名称です。
地番と住居表示の違い
申請時には「地番」や「家屋番号」が必要です。地番は登記上の番号であり、普段の郵便物で使う「住居表示」とは異なる点に注意しましょう。
最新情報の確認が大切
登記情報は、売買や相続が起きたタイミングで更新されます。取得した登記簿謄本が古くなっている場合、最新情報が反映されていない可能性があるため、重要な取引前は新しい書類を入手するのが望ましいです。
「登記簿謄本」に関するまとめ
登記簿謄本は、不動産に関する情報を公的に確認できる重要な書類です。
所有者や抵当権などの権利関係が明確になるため、売買や相続、融資などの場面で必ず確認されます。取得のハードルはそれほど高くありませんが、地番と住居表示の違いや申請書類の書き方など、初めての方にはやや戸惑う点もあるでしょう。
必要に応じて法務局の中に聞いてみてください。