「ケレップ」は、特に水道関連の部品として知られる小さな部品の一種で、蛇口の中にあるゴム製のパッキンと金属が一体化している部品のことを指します。
正式には「コマパッキン」とも呼ばれ、蛇口の閉じた状態を維持し、水漏れを防ぐ重要な役割を果たします。
古くからの水道蛇口には欠かせない部品であり、定期的な交換が必要です。
ケレップの役割
水漏れの防止
蛇口のバルブ部分に設置され、水道の止水を確実に行うための部品です。
ケレップが悪い状態だと蛇口先端からの水漏れが発生します。場合によってはスピンドルの可能性もあります。
蛇口先端ではなく、根本からの水漏れである場合は三角パッキンの交換が必要となり、その発生原因にケレップは関係ありません。
ケレップが使われる場所
一般家庭の蛇口
古いタイプの単水栓や混合栓の内部に設置されています。
写真のような混合水栓にもケレップは確実に使われています。
屋外水栓
庭や駐車場に設置される蛇口にももちろん使用さています。
洗面所や台所
旧型の手動で開閉する蛇口に多く見られます。
シングルレバー水栓やサーモスタット水栓には使用されていません。
ヒント
現在では、キッチンではシングルレバー水栓、浴室ではサーモスタット水栓が主流となってきています。
項目 | 単水栓 | 混合水栓(2ハンドル水栓) | シングルレバー水栓 | サーモスタット水栓 |
---|---|---|---|---|
水栓イメージ | ||||
ケレップの使用 | あり | あり | なし | なし |
ケレップの特徴
ゴムと金属が一緒になった小さな部品
柔軟で水密性の高いゴムが使用されており、工具さえあれば簡単に取り外し・交換が可能です。
消耗品
長期間使用すると、劣化や摩耗により水漏れの原因になります。
ケレップが劣化するとどうなる?
水漏れ
主な症状として蛇口を閉めても、吐水口から水がポタポタと垂れるようになります。
蛇口の緩み
ハンドルをきつく閉めないと水が止まらない状態になります。
ここであまりきつく閉めすぎてしまうと次はスピンドルという部品、もしくは本体が傷むので注意しましょう。
「スピンドル」は、水栓金具(蛇口)の構成部品の一つで、ハンドルの回転を伝える軸(ねじ状の部品)を指します。この部品が水の出し止めを制御しており、蛇口の開閉操作をスムーズに行えるようにする重要な役割を果たしています。スピンドルの役割[…]
長期間使用していない水栓
水栓を長期間使用していないと閉めっぱなしになっている結果、ケレップについているゴム部の圧迫が続き、かえってケレップの寿命が早まります。
ケレップの交換方法
ケレップの交換は、初心者でも比較的簡単に取り換えることが出来ます。2個セットとなっているので、ついでに水とお湯水栓を同時に交換するようにしましょう。
ケレップの取り替えが必要になる主な症状は吐水口からの水漏れです。
ケレップを交換しても吐水口からの水漏れが収まらない場合はスピンドルを疑うようにしましょう。
なお、蛇口の根本からの漏水であれば三角パッキンの取り替えが必要で、この場合はケレップを交換しても意味がありません。
ヒント
また、賃貸アパートや賃貸マンションではスピンドルだろうとケレップだろうと、通常は大家さん負担で修繕するので自分で変えようとせず、管理会社に連絡するようにしましょう。
必要な道具
- プラスドライバー
- ウォーターポンププライヤー
- モンキー(必要に応じて)
- ラジオペンチ(あれば)
- 新しいケレップ
- 古い歯ブラシ(掃除用)
交換手順
1.元栓を閉める(絶対!)
作業中に水が噴き出さないよう、必ず元栓を閉めます。
もし、万が一元栓を閉めずにやってしまうと室内で本当に噴水のように水が噴き出し、大変なことになります!
元栓(止水栓)はどこにある?
キッチンや洗面台ではキャビネットドアを開けた先にあることもあります。
その場合はマイナスドライバーで止水することでキッチン、もしくは洗面台だけを止水することが出来、他の水栓は使用出来ます。
そこに見つからなければ戸建てや小さなアパートでは庭先や駐車場に「量水器」と書かれた蓋の下、3階以上のアパートやマンションでは玄関ドア横手にあるパイプスペース(PS)扉の中にあることが一般的です。
止水栓はかなり重たいこともあるので場合によっては工具が必要です。
この場合は、家全体を止水することとなることに注意しましょう。アパートの場合は、間違えて他の部屋の止水しまうことがあるのでどれがその部屋か分からない場合は、少し水を出しながらメーターを確認するとメーターが回っていることが分かるので、まずは怪しい水栓を閉めてから先ほど流していた水が止まったか確認する、という動作を繰り返してください。水が止まれば当たりです。
2.ハンドル、ナットを外す
ハンドルの固定ネジをドライバーで外し、ハンドルを取り外したあと、ナットを外します。
その際に三角パッキンとワッシャーも一緒に取り外します。
3.スピンドルを取り外す
ウォーターポンププライヤーを使い、スピンドルを回して取り外します。
その際、スピンドルも確認してみましょう。スピンドルのネジ部分などが欠けているとケレップよりもスピンドルが原因で水漏れを起こしていることもあります。
注意
一体型スピンドルの場合など、非常に固くなっている場合があります。
その場合、ウォーターポンププライヤーではなく、モンキーを使ってハンマーなどでショックを与えながら回します。
4.ケレップを取り外す
さらにその内部にあるケレップを取り出します。
素手では取り出しにくいのでラジオペンチなど先端が細いものを利用して掴むと良いです。
あれ、ケレップがないぞ?という時はスピンドルにひっついて出ています。
5.新しいケレップを取り付ける
サイズが合うケレップを穴の真ん中に正確に装着します。
その後は取り外した逆の手順で、スピンドルを取り付け、三角パッキン(+ワッシャー)、ナット、ハンドルの順番に取り付けます。
取り付けたら、水栓をきちんと締めておきましょう。
ヒント
その際にスピンドルのネジ部分に緑青(ろくしょう)というサビがついていることが多いので、古い歯ブラシで掃除しておくとよいでしょう。
同時に本体側もあまり力を入れないようにゴシゴシして一緒に掃除します。
6.元栓(止水栓)を開けて確認
元栓を開け、水漏れや動作の確認を行います。
吐水口からの水漏れが収まっているようであれば取り替えは完了です。
適切に処理したにも関わらず、吐水口からの水漏れが収まらない場合はスピンドルが原因であることが高いです。
ケレップに関する豆知識
定期交換が必要
ケレップのゴムの部分は、5~8年程度で劣化することが一般的です。
特に、全く使わない蛇口であった場合はゴムの部分がずっと押されっぱなしとなり、かえって寿命が縮みます。
汎用品が豊富
ホームセンターやネット通販で手軽に購入できます。
交換コストが安い
ケレップ自体の価格は数十円から数百円程度と安価です。
DIYで対応可能
特別な技術がなくても、簡単な工具で交換できます。
水漏れの予兆
蛇口を閉める際、固さを感じるようになったらケレップの劣化を疑いましょう。
ケレップの交換が適している人
蛇口からの水漏れが気になる人
ケレップ交換することで、簡単に解決できます。
解決しない時はスピンドルが原因です。
DIYで修理したい人
上述のように工具さえあれば、自分で交換作業が可能です。
古い蛇口を使っている人
新しい蛇口であるシングルレバー水栓などはケレップを使用しないため、旧式の蛇口を使っている場合に必要です。
注意点
元栓を必ず閉める
交換作業中に水が噴き出すことを防ぐため、必ず元栓を閉めて水が止まったことを確認してから交換作業を実施してください。
サイズの確認
適合しないサイズのケレップを使うと、水漏れは解消できません。
一般家庭の蛇口に使われているケレップは15mmサイズの「呼13」と呼ばれるものが一般的ですが、極稀に21mmサイズの「呼20」が使われていることがあります。
定期的に交換するのもOK
定期的に点検し、早めに交換することで漏水トラブルを未然に防げます。
劣化した蛇口の部品調達
古い蛇口の場合、互換性のあるケレップを探す必要があることがあります。
「ケレップ」に関するまとめ
ケレップは、水漏れを防ぎ、蛇口の動作をスムーズにする重要な部品です。
劣化すると水漏れや操作性の低下を引き起こすため、定期的な点検と交換を行うようにしましょう。交換作業は比較的簡単で、DIY初心者でも気軽に挑戦できます。
蛇口のトラブルが発生した際は、まずケレップの状態を確認し、適切に対応することで快適な水回り環境を維持しましょう。