
「排水芯(はいすいしん)」とは、トイレや洗面台、キッチンシンクなどの排水口から排水管の中心までの距離を指す用語です。
新築やリフォームで住宅設備を設置する際に、正しい位置に排水口を配置するために重要な指標となります。
一般的にはトイレでよく使われる言葉です。
排水芯の基本的な考え方
排水管の中心位置
排水芯は、設備と排水管を接続する際に、排水管の中心がどの位置にあるかを示します。
寸法の基準
設備メーカーが指定する排水芯の寸法に従って設置することで、設備が正しく取り付けられます。
水平・垂直の位置関係
水平(左右のずれ)や垂直(前後のずれ)が正確でないと、排水管の接続に問題が生じる可能性があります。
排水芯の用途
トイレ設置
トイレの排水芯は便器の種類(床排水、壁排水)によって異なります。
床排水
近年に多いのは床排水です。
便器の下(見えないところ)に排水が通っています。
昔はバラバラでしたが、近年では壁から200mmの距離が一般的です。
壁排水
壁排水の場合は、便器後方から後ろの壁に向かって太い排水管が出ているため、排水高と呼ばれる寸法を測ります。
洗面台設置
洗面台の排水芯は、洗面台本体の排水口と一致するように調整する必要があります。
なので、場合によっては追加工事が必要になります。
キッチンシンク設置
洗面台と同じく、シンク下の排水口と排水管をつなぐために、排水芯の位置が正確であることが重要です。
浴室
もちろん浴槽やシャワーの排水口でも排水芯の調整が必要になります。
排水芯の測り方
トイレの場合(床排水)
壁から排水管の中心までの距離を測定します。
床排水の場合は、便器の後ろの壁から排水管の中心までの距離が排水芯で、壁から便器下側のネジ部分(大きなキャップっぽいものを被っているところ)の距離がそれに該当します。
一般例
壁から200mmや305mmが主流。
洗面台やキッチンシンクの場合
壁や床の基準線から排水口の中心までの距離を測定します。
壁排水の場合
トイレ同様、ひと昔の前のもので多いです。
床から壁に取り付けられた排水管の中心までの高さを測定します。
水平と垂直の確認
水平器やコンベックス(巻尺でもOK)を使用して、正確に位置を確認します。
排水芯のメリット
設備の正確な設置
排水芯を基準に設置すれば、基本的にはトラブルは起きません。
排水効率の向上
当たり前といえば当たり前ですが、適切な位置に排水口を設置することで、詰まりや逆流のリスクが大幅に低減します。
施工の効率化
排水芯を基準に施工することで、作業時間が短縮され、仕上がりも向上します。
トイレなどでは排水芯が異なるものは、そもそも設置さえ出来ないものもあります。
排水芯のデメリット
誤差によるトラブル
排水芯がずれると、設備の取り付けに支障をきたすどころか漏水してしまう可能性があります。
面倒でもきちんと合わせる必要があり、個人的なDIYではうまくいかないことが多いです。
特殊寸法への対応が必要
古い建物や一部のメーカーや設備では、標準的な寸法と異なる場合があるため注意が必要です。
排水芯に関する設置時の注意点
設備メーカーの仕様確認
設備によって指定される排水芯の寸法が異なるため、必ず事前にしっかり確認をするようにしましょう!
正確な測定
測定誤差を防ぐため、複数回測定して、基準を確実に守るようにしましょう!
施工業者との連携
業者に発注する場合は排水芯の位置を適切に施工するために、施工業者と打ち合わせを行うようにしましょう。
発注する側もきちんと理解しておくほうが無難で、分からなければ施工業者と現地での打ち合わせを行うようにしてください。
リフォーム時の確認
既存の排水芯が設備の新設に対応しているか必ず確認を怠らないようにしてください。
防水対策
万が一に備えて、排水芯周辺の防水処理を適切に行い、水漏れや腐食を防止するようにしましょう。
排水芯に関する豆知識
標準寸法がある
現在の日本のトイレでは「床排水:200mm」「壁排水:120mm」が一般的です。
リフォームで調整可能
排水芯が合わない場合、エルボやアジャスターを使って調整する方法があります。
ただし、もちろん別途手間と費用が掛かります。
設備の互換性に注意
古い住宅では排水芯が現在の標準仕様と異なる場合があるため、互換性を確認する必要があります。
DIYでの施工は慎重に
排水芯の調整ミスが水漏れや詰まりの原因になるため、プロに依頼するのが安心です。
注意
仮に現在がプロという立場であっても、慣れないうちは先輩に確認するようにしたほうが良いでしょう。
特に、この手の水漏れは階下漏水という大きな事故を起こしかねませんので慎重に行う必要があります。
「排水芯」に関するまとめ
排水芯は、水回りの住宅設備を正しく取り付けるための重要な基準となる寸法です。
特に、トイレやキッチン、洗面台などの設置には欠かせないポイントです。
設備を長持ちさせ、トラブルを防ぐためには、排水芯を正確に測定し、メーカーの指定に従った施工が必要です。
設置前の確認と調整をしっかり行い、快適な生活環境を整えるようにしましょう。