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私道(しどう、わたくしどう)

「私道」とは、その名のとおり個人や法人など私的な所有者が管理・維持する道路のことです。
一般的には、公道(国や自治体が管理する道路)とは異なり、幅員や整備状態、通行ルールなどが所有者の判断に委ねられやすいという特徴があります。
私道をめぐるトラブルや法的制限は意外と多く、土地の購入や建物の建築を検討する場合には注意が必要です。

私道の主な種類

位置指定道路

法定の手続きを踏み、自治体から「道路」として認められた私道です。
建築基準法上の「道路」とみなされるため、接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上敷地が接している必要)を満たすことができます。
幅員や構造などに一定の基準があり、維持管理は私道の所有者や利用者が負担するのが原則です。

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通路扱いの私道

単に所有者が自分の敷地内に通路を設けただけの場合や、昔からの通り道がそのまま私道として使われている場合があります。
これらは建築基準法上の「道路」として認められないことが多いため、建物を建てる際の接道義務が満たせず「再建築不可」となるリスクがあります。

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私道に関わる注意点

所有権と通行権の問題

私道を所有しているからといって、必ずしも自由に通行を制限できるわけではありません。
周辺住民が通行地役権を持っているケースや、共有名義の場合もあり、勝手に通行を遮断するとトラブルになりかねません。

維持管理費の負担

私道の舗装や照明の設置・維持、除雪などは公道と違い、原則として所有者や利用者の負担です。
もし所有者や利用者が複数いる場合は、費用負担やメンテナンスの範囲を明確にしておかないと、維持管理の合意が得られず放置される可能性があります。

融資や売却への影響

私道が建築基準法上の道路として認められない場合、建物の建て替えや大幅なリフォームが行えず、金融機関の融資審査も厳しくなることがあります。
また、売却時にも買い手がつきにくい、資産価値が下がるなどのデメリットが生じるかもしれません。

私道に関する豆知識

「42条2項道路(みなし道路)」との関係

幅員が4m未満の既存道路でも、建築基準法が施行された際に「道路」として扱われることになったものを「みなし道路」と呼びます。
これらは私道であってもセットバック(後退)を行えば建築が可能な場合があるので、自治体に相談してみましょう。

隣地との交渉で道路認定を得る

通行人や隣地所有者と合意し、私道を法的な道路として認めてもらう「位置指定道路」の手続きをとれば、接道義務をクリアできるケースがあります。
ただし測量費用や舗装費用などの負担、協議に時間がかかります。

共有私道の売却・譲渡

私道の一部が共有名義の場合、売却や譲渡の際には他の共有者の同意が必要となります。
利用者が複数いる場合、事前に話し合いをしてルールを確認しておくことが重要です。

「私道」に関するまとめ

私道は所有者が自由に扱えるイメージがある一方、実際には通行権や接道義務など複数の法的・実務的な制約や責任を伴います。
とりわけ、不動産の購入・売却や新築・増改築の計画時には、私道が建築基準法上の道路として認められているか(位置指定道路か否か) を確認することが欠かせません。
維持管理費や周辺住民との協力関係なども考慮に入れ、トラブルを未然に防ぐよう配慮しましょう。

もし私道を含む物件を検討している場合は、行政や専門家(不動産会社・司法書士・測量士など)に相談して、所有者や通行権の有無、将来的な管理体制などをしっかり把握したうえで進めることが大切です。

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