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立ち退き(たちのき)

「立ち退き」とは、賃貸物件の貸主(オーナー)が入居者に対して物件から退去するよう求めることを指します。
立ち退きは、貸主が正当な理由を持ち、法律に基づいて進める必要があり、正当な理由がない場合や適切な手続きを踏まない場合、入居者に退去を強制することはできません。

立ち退きの主な理由

建物の老朽化や改修工事

建物が老朽化し、安全性を確保するために取り壊しや改修工事が必要な場合。

貸主やその親族が使用するため

貸主やその家族がその物件を居住用や事業用として使用する場合。

土地や建物の売却

土地や建物を売却する際、新しい所有者の意向により立ち退きが求められる場合。

契約違反

入居者が賃貸契約のルールを著しく違反している場合(例:家賃滞納、無断転貸、ペット禁止物件での飼育など)。

立ち退きの法的要件

立ち退きには、貸主がいくつかの法的要件を満たす必要があります。

正当事由

立ち退きを求める理由が法律で認められる「正当事由」に該当する必要があります。
正当事由には、上記の理由(建物の老朽化や貸主の使用など)が含まれます。
後に説明する立ち退き料は、この正当事由の強弱によっても変わってきます。

立ち退き料の支払い

正当事由だけでなく、立ち退きを求める際には「立ち退き料」を提示し、入居者が納得するよう交渉することが一般的です。
立ち退き料は、入居者の移転費用(引っ越し費用)や精神的負担を補償するための金銭です。

通知期間の遵守

通常、貸主は立ち退きを求める際に6か月以上前に通知を行う必要があります。

立ち退きの流れ

通知

貸主が入居者に立ち退きを求める旨を正式に通知します。

交渉

貸主と入居者が立ち退き条件(立ち退き料の額や退去時期など)について話し合います。

合意書の作成

双方が合意に達した場合、立ち退きの条件を明記した合意書を作成します。

立ち退き料の支払い

貸主が入居者に立ち退き料を支払い、入居者が退去します。

法的手続き(必要な場合)

入居者が立ち退きを拒否した場合、貸主は裁判所に訴訟を提起し、判決を得る必要があります。

立ち退き料の相場と計算方法

立ち退き料の額は法律で明確に定められているわけではなく、ケースバイケースで決まりますが、以下の要素が影響します。
基本的な相場でいえば家賃の6~12ヶ月が一般的です。

例えば、現在が8万円の家賃であれば48~96万円が平均的な相場です。

物件の立地や家賃

高額な家賃や好立地の物件では、立ち退き料も高くなる傾向があります。

残りの契約期間

入居者が長期間住む予定だった場合、その損失を補填する必要があります。

入居者の負担

引っ越し費用や新居の礼金・敷金など、入居者に発生する実費を考慮して差し上げることが普通です。

精神的負担

立ち退きによる生活環境の変化やストレスに対する補償も考慮されることがあります。

入居者としての注意点

立ち退き理由を確認する

立ち退きを求められた場合、その理由が正当かどうかを確認します。

立ち退き料の妥当性を検討する

提示された立ち退き料が適正かどうかを検討し、納得できない場合は交渉します。

専門家への相談

弁護士や不動産コンサルタントに相談することで、法的に有利な対応を取ることができます。

貸主としての注意点

正当事由を明確にする

入居者に説明できる十分な理由を持つことが重要です。

誠実な交渉を心がける

入居者の事情を考慮し、立ち退き料やスケジュールについて柔軟に対応します。

法的リスクを理解する

立ち退きが不適切に行われた場合、損害賠償請求などのリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

豆知識

立ち退きと更新拒絶の違い

立ち退きは、契約期間中の退去を求めるもの。一方で、更新拒絶は契約更新のタイミングで契約終了を申し入れるものです。

立ち退き料の代わりに物件の紹介

立ち退き料の代わりに、新しい住居の紹介や引っ越しサポートを提供するケースもあります。

裁判になることも

入居者が立ち退きを拒否した場合、最終的には裁判所の判断が必要になることもあります。

「立ち退き」に関するまとめ

立ち退きは、貸主・入居者の双方にとって慎重な対応が求められる重要な手続きです。
貸主は正当事由を持ち、適切な立ち退き料を提示することで入居者との円満な合意を目指す必要がある一方で、入居者は提示された条件が妥当かどうかを確認し、必要であれば専門家の助言を求めましょう。
立ち退きはトラブルになりやすいテーマですが、法律やルールを守ることで円滑に進めることが可能です。

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