「専任媒介契約」とは、不動産の売却や賃貸を依頼する際に、不動産会社(媒介業者)と結ぶ契約形態の一つです。
この契約では、売主や貸主が1社の不動産会社のみに仲介を依頼する代わりに、売主や貸主自身が直接購入希望者や借主を見つけて契約することは可能です。不動産取引の透明性を確保しながら、効率的な取引を実現するために利用されます。
専任媒介契約の基本
専任媒介契約とは?
売却や賃貸の依頼を1社の不動産会社に限定して行う契約です。
売主や貸主が自ら直接買主や借主を見つけて契約することは許されています。
契約期間
契約期間は最長で3ヶ月と法律で定められています。期間終了後は更新するか新たな契約を結ぶ必要があります。
レインズ(REINS)への登録義務
不動産会社は、契約締結後7日以内に物件情報を不動産流通標準情報システム(レインズ)に登録する義務があります。そうすることで、広く情報を公開できます。
日本には4つあるレインズ
日本には東日本、中部圏、近畿圏、西日本と4つのレインズがあり、それぞれの管轄レインズに登録を行う必要があります。
報告義務
専任媒介契約において不動産会社は、2週間に1回以上、売主や貸主に販売状況や問い合わせ状況を報告する義務があります。
専任媒介契約のメリット
効率的な販売活動
1社の不動産会社に任せるため、営業活動が集中し、物件の販売や賃貸募集が効率的に行われます。
実例
あっちやこっちやに声かけが出来る一般媒介契約に比べると、不動産会社も客付けを頑張る気になるのは間違いありません。
情報公開が広範囲に行われる
レインズへの登録により、多くの不動産業者が情報にアクセスでき、広範囲で買主や借主を探せます。
定期的な報告で安心
不動産会社から定期的に状況報告があるため、売主や貸主は進捗状況を把握しやすくなります。
直接契約も可能
売主や貸主自身が直接購入希望者や借主を見つけた場合でも、不動産会社を通さずに契約を締結できます。
専任媒介契約のデメリット
不動産会社の選定が重要
1社に限定して依頼するため、選んだ不動産会社の能力や営業力が契約の成功を大きく左右します。
営業マンの多い不動産会社、または集客力の高い不動産会社に依頼しましょう。
活動力が総じて弱いと良い物件もなかなか売れないという実情です。
自由度の制約
他の不動産会社にも同時に依頼したい場合は、この契約形態では対応できません。
それを希望する場合は、一般媒介契約にするしかないです。
競争が少ない
1社のみが仲介に関与するため、複数社が競争して積極的に販売活動を行う「一般媒介契約」と比べて、競争力が低下する可能性があります。
専任媒介契約と他の契約形態との違い
一般媒介契約との違い
一般媒介契約では複数の不動産会社に依頼できますが、専任媒介契約では1社のみ。
一般媒介契約にはレインズ登録や報告義務がありません。
専属専任媒介契約との違い
専属専任媒介契約では、売主や貸主が自ら買主や借主を見つけて契約することが禁止されています。
一方、専任媒介契約では直接契約が可能です。
専任媒介契約の豆知識
レインズの効果的活用
レインズへの登録により、物件情報が広く共有されるため、他の不動産会社からも買主や借主が見つかる可能性があります。
不動産会社の実績を確認
契約前に、その不動産会社の販売実績やエリアでの評判を確認することで、成功率を高められます。
実例
レインズ以外にも依頼した不動産会社の自社サイトや、SUUMOやライフルホームズ、アットホームなどのポータルサイトに掲載されているかなども要チェックです。
報告内容をチェック
不動産会社からの報告が具体的かどうかを確認しましょう。
問い合わせ件数や内覧状況、広告の反応などが含まれていると安心です。
売却・賃貸価格の設定
価格設定が適切でないと、売却や賃貸がスムーズに進まないことがあります。
不動産会社と相談して、適切な価格を設定することが重要です。
契約終了後の選択肢
契約期間が終了した場合、他の不動産会社に変更することや、契約形態を一般媒介契約に切り替えることも検討できます。
専任媒介契約が適している人
- 効率的に販売活動を進めたい人
1社に任せることで、集中した販売活動が期待できます。 - 報告を受けて状況を把握したい人
定期的な報告を希望する場合に最適です。 - 不動産取引に慣れていない初心者
不動産会社と密接に連携することで安心して取引を進められます。
「専任媒介契約」に関するまとめ
専任媒介契約は、1社の不動産会社に限定して仲介を依頼する契約形態で、不動産の売却や賃貸を効率的に進めるための選択肢の一つです。
レインズへの登録や定期報告の義務があるため、取引状況を把握しやすく、初めての方でも安心して利用できます。
一方で、不動産会社の選定が成功の鍵となるため、その不動産会社の信頼性や実績を事前にしっかり確認するようにしましょう。また、契約形態によるメリット・デメリットを理解し、売却や賃貸の目標に合った方法を選びましょう。専任媒介契約を上手に活用して、スムーズな不動産取引を実現してください。