
「パーティクルボード」は、木材の細かいチップや削りくずを接着剤で固めて板状に加工した建材の一種です。
リサイクル材や端材を活用して作られるため、環境に優しい素材として注目されています。
パーティクルボードは家具や住宅建材、内装材など幅広い用途に使用されています。
チップボードもほぼ同義語と考えて大丈夫です。
ただし、略してPBといえば、パーティクルボードではなく、プラスターボード(石膏ボード)のことを指します。
「石膏ボード」は、建築用の内装材として広く使用される建材の一種で、石膏(せっこう)を芯材にして両面を紙で覆った板状の素材です。軽量で加工がしやすく、防火性能や断熱性、遮音性に優れているため、壁や天井の仕上げ材として多くの建物で使われてい[…]
パーティクルボードの特徴
リサイクル素材から作られる
木材チップや端材(はざい)、製材くずなど俗に言う廃材を主原料としています。
そのため、資源リサイクル性に優れ、地球環境に優しい建材の一つです。
均一な構造
板全体が均一な密度を持ち、曲がりや反りが少なく、狂いも少ないのが特徴です。
サイズや厚みが豊富
用途に応じてさまざまなサイズや厚みが選べます。
さらに軽量でありながらも強度が高いです。
コストパフォーマンスが高い
天然木材や合板に比べて安価で、汎用性が高く、さらに大量生産が可能と言われます。
表面加工がしやすい
メラミン化粧板や塗装で仕上げることで、化粧ベニヤなどと同じように美観を高めたうえで使用することも出来ます。
パーティクルボードの製造方法
原料の加工
木材をチップ状や粉状に加工。
この小片をパーティクルと呼ぶことからその名称となっています。
接着剤との混合
メラミン樹脂やフェノール樹脂などの接着剤を混ぜ、木材チップを固める準備をします。
どんな接着剤?
ホルムアルデヒドを原材料とした接着剤です。
このホルムアルデヒドは毒性が強く、シックハウス症候群の原因物質の一つとして知られていますが、建築基準法にて使用量が制限されているため、そこまで心配する必要はありません。
また、面材などで保護される、見えないところで使用されることが多いので直接触れる機会は少ないといえます。
日本において建物を安全かつ快適に使用できるように、構造や設備などに関する最低限の基準を定めた法律です。地震や火災などの災害リスクが高い日本では、建築基準法によって建物の品質を一定以上に保ち、人々の生命や財産を守ることを目指しています。[…]
成形と加圧
混合物を型に入れ、高温・高圧で圧縮して板状にします。
乾燥と仕上げ
成形された板を乾燥させ、必要に応じて表面加工を施します。
パーティクルボードの用途
家具
テーブル、キャビネット、クローゼット、棚などの内部構造材によく使用されています。
面材が剥がれたところから木のカスがボロボロになっているところを見た事あるかもしれませんが、まさにそれがパーティクルボードです。
住宅建材
床下地材や壁材、間仕切り材として活用されています。
内装材
化粧板を貼ることで、見た目の美しい仕上げ材としても利用されています。
梱包材
住宅建材以外にも重量物を支えるパレットや梱包用木箱としても使用されます。
パーティクルボードのメリット
コストが安い
天然木材に比べてとにかく安価なので、経済的な建材です。
環境に優しい
リサイクル材を使用するため、資源の有効活用に貢献しています。
加工のしやすさ
ノコギリやドリルで簡単に加工でき、DIY愛好者にも人気のパネルボードにもなってます。
加工がしやすいことから初心者でも簡単に扱えるため、家具や小物の制作に適しています。
多様な表面仕上げ
塗装、ラミネート、メラミン加工など、デザインの自由度が高いです。
パーティクルボードのデメリット
耐水性が低い
水や湿気に弱く、長時間の浸水で膨張や劣化が起こります。
例えば、賃貸などでよく使われるキッチンキャビネットの扉など水を吸ったところがボロボロになってしまいます。
強度が劣る
天然木材や合板に比べると、どうしても耐荷重性能が低いと言わざるを得ません。
エッジの加工が難しい
切断面が粗くなるため、エッジ部分の仕上げには手間が掛かります。
化学物質の放散
接着剤に含まれるホルムアルデヒドが気化する場合があり、低ホルムアルデヒド仕様の製品を選ぶ必要があると言えます。
気化するとホルマリン臭を感じることがあります。
リサイクルが難しい
そもそもがもうリサイクルされたものであるので一度成形されたボードは、再加工や再利用が難しいです。
パーティクルボードの選び方
用途に合わせた厚み
軽い家具なら薄めのもの、床材や棚板には厚みのあるものを選ぶようにしましょう。
低ホルムアルデヒド仕様
低ホルムアルデヒド仕様とは、ホルムアルデヒドの放散量が少なく、日本の農林規格(JAS)や日本工業規格(JIS)で最も高い等級の評価を得ているものを指します。
「F☆☆☆☆(エフフォー)」や、最低でも「F☆☆☆(エフスリー)」の製品を選ぶことで、健康リスクを軽減します。
防水性の確認
水回りで使用する場合は、表面を耐水加工された製品を選ぶようにしましょう。
重量の確認
それなりに重量があるため、大型家具では運搬や設置に注意するようにしましょう。
パーティクルボードに関する豆知識
メラミン化粧板との相性
メラミン化粧板を貼ったパーティクルボードは、キッチンカウンターや家具表面に多用されています。
大昔の家でない限り、ほぼほぼどの家庭でもどこかに使われています。
E0基準とは?
E0基準とは、加工木材のホルムアルデヒド放散量が0.05mg/m3以下の基準で、環境や健康に配慮した製品に表示されます。
強度を補う方法
外部フレームや補強材を組み合わせることで、家具の耐久性を向上させることが可能です。
パーティクルボードが適している場所
- 家具
棚、デスク、クローゼットの内部材。 - 住宅
床下地、壁材、間仕切り。 - 商業施設
展示台や簡易什器。 - オフィス
パーテーションや収納家具。
「パーティクルボード」に関するまとめ
パーティクルボードは、リサイクル素材を活用して作られたエコで経済的な建材です。
コストの安さや加工のしやすさから、家具や住宅建材、DIYなど幅広い用途で使用される一方で、耐水性や強度に制約があるため、使用環境や目的に応じた選択が重要となるでしょう。
用途に合ったパーティクルボードを選び、正しい使い方で健康にも環境にも優しい空間作りを目指しましょう。