
「石膏ボード」は、建築用の内装材として広く使用される建材の一種で、石膏(せっこう)を芯材にして両面を紙で覆った板状の素材です。
軽量で加工がしやすく、防火性能や断熱性、遮音性に優れているため、壁や天井の仕上げ材として多くの建物で使われています。
プラスターボード(Plaster Board)は、ほぼ同義語です。
石膏ボードの特徴
石膏を芯材に使用
石膏は硫酸カルシウムを主成分とする天然素材で、結晶水を含んでいるため不燃性や吸湿性を持っています。
軽量で扱いやすい
板状の形状で軽く、切断や加工が簡単です。
多機能な性能
防火性、断熱性、遮音性があり、住宅から商業施設まで幅広い用途に対応します。
耐用年数は20年です。
ヒント
断熱性があるとはいえ、石膏ボードだけではとても足らないのでスタイロフォームやグラスウールなども併せて使用することが一般的です。
「スタイロフォーム」は、住宅や建築物の断熱材として広く使われている押出法ポリスチレンフォーム(XPS:Extruded Polystyrene Foam)の商標名で、発泡ポリスチレンを板状に加工した軽量かつ高性能な素材です。高い断熱性能[…]
「グラスウール」は、建築や住宅の断熱材として広く利用されている素材の一つで、ガラスを繊維状に加工したものです。柔らかく綿のような形状をしており、断熱性や吸音性に優れています。主に壁や天井、床の内部に施工され、室内の温度や音の管理に大[…]
仕上げ材として活躍
壁紙や塗装を施す前の下地材として使用されることが多いです。
ほとんどの壁のクロスの下に石膏ボードがいると思って間違いないでしょう。
石膏ボードの種類
これ以外にも種類はありますが、一般的によく使用される石膏ボードを紹介します。
一般石膏ボード
標準的な性能を持つボードで、住宅やオフィスの内装に広く使用されており「なくてはならない建材」の一つになっています。
耐火石膏ボード
普通硬質石膏ボードと呼ばれています。
石膏に添加剤を加えた不燃性の高いボードで、通路、廊下などの防火壁に使用されます。
耐湿石膏ボード
ジージング石膏ボードと呼ばれています。
防水処理が施されており、吸水時の強度低下が生じにくいため、台所、洗面所などの水回りや湿気の多い場所に適しています。
遮音石膏ボード
強化石膏ボードと呼ばれています。
密度を高めた構造で、さらなる耐火や音の伝わりを抑える効果があります。
石膏ボードのメリット
防火性能が高い
石膏ボードは総じて防火性能、耐火性能が高いです。
石膏自体の不燃性によって、火災時の燃え広がりを防ぐ効果があり、高温にさらされると、石膏ボードに含まれる結晶水が熱分解して水蒸気となり、温度の上昇を遅らせます。
加工が容易
カッターやのこぎりで簡単に切断でき、ビス留め、クリップ留め、接着など加工や施工がスムーズです。
断熱性・遮音性が優れる
熱や音を遮断する性能があり、石膏ボードを利用することで快適な室内環境を作りやすくなります。
基本的には重い面材であるため、隣の部屋からの音を遮断します。
もちろんリフォームでも使用でき、既存の壁に重ね張りすることで断熱性や遮音性をさらに高めることができます。
経済的
他の建材と比較して材料コストが安く、大量施工に向いています。
一度設置してしまえば、ランニングコストや特別なメンテナンスも不要という面も経済的といえます。
表面が平滑で仕上げがしやすい
壁紙や塗装をきれいに仕上げるための下地材として最適です。
石膏ボードのデメリット
水や湿気に弱い
水や湿気に弱く、水分を含むと強度が低下します。
なのでキッチンや洗面所、浴室などの水がかかりやすい場所や湿気の多い場所には不向きです。
衝撃に弱い
石膏と紙で構成されており、面への衝撃には強いです。
しかし、釘や画鋲などの鋭利な物体が当たると、穴が空いたり欠けたり、衝撃の度合いによってはボードそのものが割れてしまって壊れる場合もあります。
重量がある
一般的なサイズの石膏ボード(12.5mm厚)は一枚で約9.8kgの重量があり、大きなサイズを扱う場合は負担が大きいです。
粉塵が出やすい
切断時に粉塵が発生するため、作業時には防塵対策が必要です。
リサイクルに制限がある
廃棄時にはリサイクル対応が難しい場合があり、結構な処理コストがかかることが普通です。
石膏ボードの施工方法
壁や天井の下地を準備
下地材(柱や間柱)を設置し、石膏ボードを固定するための基盤を作ります。
この下地とは、木や軽天など相手は様々なものになります。
石膏ボードをカット
必要な寸法に合わせてカッターやノコギリで切断します。
この際に粉塵が出ます。
入居中の部屋など汚してはいけないシーンでは、きちんと養生を行うようにしましょう。
固定
下地材に石膏ボードをネジやビスで固定します。
ビスの間隔は通常30cm程度ですが、石膏ボード自体がそのようなものに強くないので、下地がしっかりしていないと留めることが出来ません。
場合によっては石膏ボードアンカーを使ってしっかり留めるようにしてください。
隙間や継ぎ目を処理
ボード同士の隙間やネジ頭部分にパテを塗り、表面を平滑にします。
仕上げ
壁紙や塗装を施して完成です。
下地処理をしていないとどうなる?
パテなどの下地処理をしっかり行っていないと、薄い壁紙は当然のこと、クッションフロア(CF材)であってもデコボコ(凸凹)が顕著に出ます。
下地処理はきちんと行うようにしましょう。
石膏ボードに関する豆知識
厚さの違いで性能が変わる
一般的な厚さは9.5mmや12.5mmですが、用途に応じて選ぶようにしましょう。厚いほど遮音性や強度が高まります。
賃貸アパートでは壁は12.5mm、天井は9.5mm(薄い分軽くなるため)などでコストを削減しています。
防音性能を高める使い方
遮音性能を上げるためには、複数の石膏ボードを重ねたり、防音材と併用したりするのが効果的です。
石膏ボードの使用が適している人
- 防火性能を重視する人
火災対策が必要な建物に最適。 - 快適な室内環境を求める人
断熱性や遮音性を高めたい方。 - DIYを楽しむ人
扱いやすい素材で、壁のリフォームや模様替えをしたい方。
「石膏ボード」に関するまとめ
石膏ボードは、内装工事やリフォームに欠かせない建材の一つで、防火性や断熱性、遮音性など多くのメリットを持つ素材です。
扱いやすく加工が簡単なため、初心者でも取り入れやすいのが魅力な一方で、水や衝撃には注意が必要です。
正しい使い方と施工方法を理解し、石膏ボードを活用して快適で安全な空間を作りましょう!