
固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している人に対して課される地方税の一種です。
毎年1月1日時点で不動産を所有している人が納税義務者となり、市区町村に納めます。
固定資産税は、地方自治体の重要な財源であり、道路や学校、公園などの公共サービスの運営に使われます。
固定資産税の対象
土地、家屋及び償却資産が固定資産税の対象となり、その対象となるのは次の3つです。
土地
宅地、田畑、山林などの土地全般。
土地なので池沼や鉱泉地、原野なども課税対象です。
家屋
住宅や商業用建物、工場、倉庫など。
その他であれば変電所や発電所も対象になります。
償却資産(しょうきゃくしさん)
個人所有の家庭用動産(家電や家具など)は課税対象外ですが、事業用となると以下のものがすべて課税対象となります。
資産の種類 | 主な例 | 備考 |
---|---|---|
建物付属設備 | 照明設備、エアコン、給排水設備、、エレベーター | 建物本体は償却資産ではなく、上述した家屋にあたり固定資産税の対象 |
構築物 | 駐車場の舗装、フェンス、看板、外構設備 | 減価償却の対象 |
機会及び装置 | 工場の生産設備、ポンプ、ボイラー | 製造業・加工業で使用される機械など |
船舶 | 貨物船、漁船、ボート | 小型船舶も含む |
航空機 | 旅客機、ヘリコプター、小型飛行機 | 事業用航空機が対象 |
車両及び運搬具 | トラック、フォークリフト、営業用の車 | 自家用車は対象外 |
工具・器具・事務用品 | 事務机、パソコン、レジスター、コピー機 | 基本的には10万円以上の資産が対象 |
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算は、以下の手順で行われます。
固定資産税評価額の決定
各自治体が不動産の価値を評価し、固定資産税評価額を算出します。
これは市場価格の約70%が目安とされています。
課税標準額の設定
一部の土地(住宅用地など)には軽減措置が適用され、評価額より低い課税標準額が設定されます。
ここでいう軽減措置とは、例えば新築住宅であること(一定の条件を満たせば3年間1/2に)、耐震・バリアフリー・省エネ改修を行っていると対象とされます。
税率の適用
一般的な固定資産税の税率は1.4%で多くの自治体で適用されていますが、その自治体の財政状況によって異なります。
計算式
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(通常1.4%)
固定資産税の軽減措置
住宅用地の特例
小規模住宅用地(200㎡以下)
課税標準額が1/6に軽減されます。
一般住宅用地(200㎡を超える部分)
課税標準額が1/3に軽減されます。
新築住宅の減額措置
新築住宅の一部は、一定期間、固定資産税が軽減されます。
3階建て以上の賃貸アパートであれば、5年間と一般住宅よりも長く適用されます。
例
床面積120㎡以下の部分について、3年間固定資産税が1/2。
その他の特例
災害や土地利用計画の変更に伴う特例措置も存在します。
例えば、地震・台風、火災などで被災した場合は、一定の要件を満たすことで1/2、もしくは全額免除されます。
減額措置に関するまとめ
特例 | 内容 | 減免率 | 適用期間 |
---|---|---|---|
住宅用地の軽減 | 住宅用地の課税標準を軽減 | 1/6 or 1/3 | 恒久的 |
新築住宅の減額 | 新築の住宅(賃貸含む) | 1/2 | 3~5年 |
耐震改修 | 旧耐震基準の住宅を改修 | 1/2 | 1年 |
バリアフリー改修 | 高齢者向け改修を実施 | 1/3 | 1年 |
省エネ改修 | 断熱・省エネ改修を実施 | 1/3 | 1年 |
中小企業の設備投資 | 生産性向上のための設備投資 | 1/2 ~ 全額 | 3年 |
被災時の減免 | 災害で損害を受けた固定資産 | 1/2 ~ 全額 | 被災後適用 |
固定資産税の納税方法
固定資産税は、通常以下の方法で納めます。
納税通知書の受領
毎年4月〜6月頃に市区町村から納税通知書が送られてきます。
納付回数
一括払いまたは4回程度の分割払いが可能です。
納付場所
市区町村指定の金融機関、コンビニ、郵便局で支払いができます。
また、最近ではクレジットカードやスマートフォンを使用した決済納付も可能です。
固定資産税を確認する方法
固定資産税評価額や課税額を知りたい場合は、次の手順を参考にしてください。
固定資産税課税台帳を確認
市区町村役場の固定資産税課で確認できます。
所有者であれば、本人確認書類を提示して閲覧可能です。
納税通知書を確認
毎年送られてくる納税通知書に評価額や課税標準額、税額が記載されています。
固定資産税の注意点
所有者が変わった場合
固定資産税は1月1日時点の所有者に課されます。
なので途中で不動産を売買した場合は、売主と買主の間で税負担を調整することが一般的です。
滞納時のリスク
固定資産税を滞納すると延滞金が発生し、最悪の場合、不動産が差し押さえられる可能性があります。
税額の変動
地価の変動や建物の劣化により、評価額や課税額が見直されることがあります。
豆知識
課税標準額の据え置き
固定資産税評価額は3年ごとに見直されますが、急激な負担増を避けるため、税額が徐々に調整される仕組みがあります。
空き家対策
長期間放置された空き家は固定資産税の軽減措置が適用されない場合があり、税負担が増加してしまいます。
都市計画税
固定資産税と併せて課される「都市計画税」があります。
これは都市計画区域内の土地や建物に対して課される税で、税率は最大0.3%です。
「固定資産税」に関するまとめ
固定資産税は、不動産を所有する人にとって避けられない負担ですが、軽減措置や納税スケジュールを正しく理解しておくと計画的な支払いが可能です。
評価額や課税内容を定期的に確認するようにして、不動産売買や活用時の税負担を正確に把握することが大切です。所有する不動産の価値と固定資産税のバランスを意識して、賢く不動産を管理しましょう。