「公道(こうどう)」とは、国や地方公共団体(市区町村など)が管理・維持を行う道路のことを指します。
私道と対比される用語であり、一般的には「多くの人が通行できる」ことや「道路の幅員や整備状況が一定の基準を満たしている」ことが特徴です。
家を建てるときの「接道義務」を満たしやすかったり、資産価値に影響しやすかったりするため、不動産の売買や建築計画ではとても重要なポイントになります。
1. 公道の基本概要
管理者が公的機関
公道は、国・都道府県・市区町村などの公的機関が管理や維持を行います。
したがって、舗装の修繕や除雪、標識の設置などが比較的安定して行われる傾向にあります。
誰でも通行できる道路
原則として不特定多数の人が自由に通行することができます。
通行料金を徴収されることや、利用できる時間が限定されるケースはほとんどありません。
法的な「道路」として扱われやすい
建築基準法では「幅員4m以上の道路」に2m以上接していなければ建物を新築できないと定められていますが、多くの公道はこれを満たしているため、建築計画がスムーズに進みやすいという利点があります。
公道のメリット
建築基準法の接道義務を満たしやすい
公道に面していれば、原則として法定道路として認められるため、新築や増改築における接道義務をクリアしやすいです。結果的に、再建築不可物件になるリスクが低く、資産価値が安定しやすいでしょう。
維持管理の安定
道路の舗装や除雪などを自治体が行うため、私道よりも管理が行き届きやすく、トラブルに発展しにくいのが特徴です。インフラ整備(上下水道・ガス・電気など)も進めやすく、生活利便性が高い環境が整いやすいと言えます。
融資や売却がスムーズ
金融機関は担保価値を重視しますが、敷地が公道に接していると接道義務の問題が少なく、融資審査や査定がスムーズになる傾向があります。
売却時も買い手にとって安心感が大きく、取引が成立しやすいです。
公道に関する注意点
道路幅員が4m未満の場合
中には公道でも、建築基準法が施行される前から存在していた「4m未満の道路」があり、これを「42条2項道路(みなし道路)」と呼びます。
建て替えの際にセットバック(後退)を求められ、敷地が狭くなるケースがあるので注意しましょう。
都市計画道路の指定
将来的に拡幅や新設が予定されている「都市計画道路」の一部にあたる土地の場合、建築が制限される、もしくは将来道路として買収される可能性があります。
市区町村の都市計画課で事前に確認するようにしておきましょう。
交通量や騒音リスク
公道は広く開かれた道路なので、交通量が多い幹線道路沿いだと騒音や排気ガスなどのリスクがあります。
家の間取りや防音対策を考慮する必要があるかもしれません。
豆知識:公道に面した土地を選ぶときのポイント
道路の幅員を正確に確認
先述したように公道とはいえ、4m未満の場合にはセットバックが必要なケースがあります。
公図や役所の資料などで、道路の正式な幅員・位置・形状を確認しましょう。
用途地域と合わせて検討
公道に面していても、住居専用地域や商業地域、工業地域などの用途地域によって建てられる建物の種類や規模が異なります。想定する建築プランに適合するか確かめましょう。
角地の優位性
2本以上の公道に面した「角地」は、通風・採光・防災面でメリットが多く、建ぺい率が緩和されることもあるため、資産価値が高まりやすいです。ただ、交通量の多さやプライバシー面には配慮が必要です。
「公道」に関するまとめ
公道は、国や地方自治体が管理する道路で、私道に比べて建築基準法の面や維持管理面などで多くのメリットがあります。
特に建物の新築・増改築を予定している場合には、法定道路として認められやすいため、接道義務を満たしやすく、将来的な再建築がしやすいという利点があります。
一方で、交通量や騒音、都市計画道路の指定などの問題もあるため、実際に土地を選ぶ際には十分な下調べと専門家への相談が欠かせません。公道の特性とリスクを正しく把握して、自分のライフスタイルや資産形成の目的に合った選択を行うことで、快適で安心な暮らしを実現しましょう。