「RC構造(アールシーこうぞう)」とは、鉄筋コンクリート造を指し、鉄筋(スチールバー)を中に組み込み、そこにコンクリートを流し込むことで一体化させた建築工法のことです。
コンクリートの圧縮強度(押す力への強さ)と、鉄筋の引張強度(引っ張る力への強さ)を組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合い、耐震性や耐久性に優れた建物を実現します。マンションやビル、一戸建てでも高級志向の物件によく採用されており、アパートと呼ばれる集合住宅でも、RC構造のものは比較的防音性や耐震性が高いです。
RC構造の仕組みと特徴
コンクリートと鉄筋の相性
コンクリートは圧縮力には強い一方、引っ張り力(引張力)には弱い特徴があります。そこで、内部に鉄筋を入れることで、引張力に対する強度を高めるわけです。
コンクリートと鉄筋の熱膨張率が近似しているため、一体化したときの収縮や膨張の度合いに大きな差がなく、変形や割れを最小限に抑えられます。
耐震性の高さ
日本は地震大国ですが、RC構造は粘り強く変形しながら耐える性質を持つため、地震動のエネルギーをある程度吸収できます。建物の規模や設計にもよりますが、一般的に木造や鉄骨造よりも耐震性能が高いとされ、安心感が得られます。
防音性・遮音性に優れる
重量があるコンクリートは、音や振動を伝えにくい性質を持ち、生活音や足音などを軽減しやすいです。
マンションなどで上下階や隣戸との騒音トラブルを抑えたい人には、RC構造が選ばれやすい理由のひとつになっています。
RC構造のメリット
長寿命・耐久性
定期的なメンテナンスや修繕を行えば、50年以上快適に使えることは当たり前で、築年数の古いマンションでもしっかりメンテナンスされていれば価値が保たれやすいです。
火災や風雨に強い
コンクリートは不燃材であるため、木造建築と比べると火災時の延焼リスクが低く、災害時に建物の損壊を最小限に抑えられる可能性があります。同時に台風や強風に対しても構造的な安定性を維持しやすい点が魅力です。
高層建築に向いている
マンションやビルのように階数の多い大規模建築では、RC構造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)が主流です。これは、建物の高さにともなう重量を支えるだけの強度と剛性を備えているためです。
RC構造のデメリットや注意点
建築コストが高い
木造や軽量鉄骨と比べると、RC構造は施工に手間や時間がかかり、材料費も高くなります。そのため、物件価格や家賃にも影響が及ぶことが多いです。
結露や湿気対策が必要
コンクリートは熱伝導率が低いため、室内外の温度差が大きい場合、結露が起きやすいことがあります。断熱材の施工や換気計画など、湿気対策がしっかり行われているかどうかを確認しましょう。
リフォームが制限される場合がある
コンクリート壁を抜くような大掛かりなリフォームは構造に影響を与えるため、許可が必要だったり、そもそも不可だったりすることがあります。特に分譲マンションのような集合住宅の場合で大規模なリフォームを行う場合、管理組合との合意は欠かせません(※)。
※勝手にやったら確実に管理組合から叱られます。
完成後の増改築が難しい
コンクリート構造体は既存の間取りを大きく変更するリノベーションにコストがかかりやすく、木造ほど柔軟な改修は難しいケースが少なくありません。
RC構造の豆知識
RC造とSRC造の違い
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、鉄骨フレームをさらに鉄筋コンクリートで包むため、RC造よりも強度と剛性が高く、超高層ビルをはじめ、高層ビルに採用されやすいです。一方で建築コストや施工難度はRC造をはるかに上回ります。
壁式構造とラーメン構造
RC造には、「壁式構造」と「ラーメン構造」の2種類があります。
壁式は主要な壁で建物を支える方式で、遮音性に優れますが間取り変更が難しいのが難点。ラーメン構造は柱と梁で荷重を支えるため、比較的間取りの自由度が高いです。
ひび割れ対策
コンクリートの経年劣化や乾燥収縮で表面に細かいひび割れ(通称クラック)が生じる場合があります。構造上の大きな問題とは限りませんが、定期的な点検と補修を行うことで、建物の寿命をのばすことができます。
分譲マンションでもRC造が主流
都市部に多い中高層マンションはほとんどがRC造かSRC造で建てられており、木造の集合住宅(アパート)に比べて防音性能・耐震性能の面で安心感があります。
「RC構造」に関するまとめ
RC構造(鉄筋コンクリート造)は、コンクリートの圧縮強度と鉄筋の引張強度を組み合わせることで耐震性や防音性能、長寿命を実現した建築手法です。
マンションやビルなど高層かつ多戸数の建物に幅広く採用され、安心感や快適性を求める人にとって魅力的な選択肢となります。
ただし、木造や軽量鉄骨に比べて施工コストが高く、結露対策やリフォームの制限など考慮すべきポイントも多いです。RC構造の物件を選ぶ際には、築年数やメンテナンス状況、断熱や防水の施工精度などをしっかりチェックすると、長期的に快適な住まいを得られるでしょう。