「汚水」は、日常生活や産業活動によって発生する、使用後の水で不純物や汚染物質を含んだ水を指します。
トイレ、キッチン、浴室などから排出される生活排水や工場で使われた排水が代表的です。適切な処理をしなければ、環境や健康に悪影響を及ぼします。
なお、「下水(げすい)」は一般的には、この汚水と雨水(うすい)を合わしたものを指します。
汚水の定義と種類
汚水の定義
水の中に汚染物質(有機物、細菌、化学物質など)が含まれている水を指します。
主に排水管や下水管を通じて排出されます。
汚水の種類
生活汚水
日常生活から発生する汚水。
例
トイレ、台所、浴室からの排水。
主な汚染物質
糞尿、食べ残し、洗剤、油脂
産業汚水
工場や施設の生産活動で発生する汚水。
例
工場排水、化学薬品を含む水。
主な汚染物質
化学薬品、重金属、油分。
雨水汚染
雨水が地面や道路の汚染物質を流して発生する。
主な汚染物質
泥、油、ゴミ。
汚水が環境に与える影響
水質汚染
未処理の汚水が河川や湖、海に流れ込むと、水質が悪化し、生態系に影響を与えてしまいます。
悪臭の発生
汚水に含まれる有機物が腐敗すると悪臭が発生します。
健康への影響
細菌やウイルスが繁殖し、感染症を引き起こす原因となります。
景観の悪化
ゴミや汚物が混ざった汚水が環境を損ない、観光地などの価値を低下させます。
汚水処理の流れ
汚水は環境への影響を防ぐために、適切な処理施設で浄化されます。
汚水の収集
配管や下水道を通じて、汚水を処理施設に集めます。
汚水処理施設での浄化
一次処理
大きなゴミや砂などを取り除く。
方法
スクリーン、沈殿槽
二次処理
有機物を微生物で分解し、汚染物質を除去。
方法
活性汚泥法、接触酸化法
三次処理
残留する栄養塩(窒素、リン)をさらに除去。
方法
高度処理、紫外線消毒。
放流
浄化された水を河川や海に放流。
汚水処理施設の種類
下水処理場
都市部をメインとして広く利用される施設です。家庭や工場からの汚水を集めて処理します。
ヒント
ちなみに、その下水の本管は、通常道路の路面から深さ3m以上(ただし、工事実施上やむを得ない場合は1m以上)のところに埋設されています!
これは道路法施工令第11条4によって、そのように規定されています。
浄化槽
個別の建物や施設で汚水を処理する小規模な装置で、アパートやマンションにも設置されています。
特に下水道が整備されていない地域で使用されます。
産業排水処理施設
工場や事業所専用の施設で、産業汚水を処理します。
雨水貯留施設
雨水を一時的に蓄え、浄化した後に放流します。
汚水に関する豆知識
生活汚水の割合
日本では、生活排水が水質汚染の約70%を占めているとされています。
汚水再利用
処理後の水は放出されるだけでなく、農業用水や工業用水として再利用される場合もあります。
下水道普及率
日本の下水道普及率は90%を超えていますが、都市部から離れた郊外や農村部などでは浄化槽の利用が一般的です。
汚水のエネルギー利用
汚水処理過程で発生するバイオガスをエネルギー源として利用する取り組みが進んでいます。
処理能力
汚水処理施設の能力は、地域や施設の規模に応じて異なりますが、都市部では1日数万トンの汚水を処理できる施設もあります。
汚水のトラブルと対策
詰まりや逆流
配管がゴミや油脂で詰まると、逆流や溢れ(あふれ)の原因になります。
場合によっては室内への溢れもあり、そうなると悲惨です。
いざ詰まらしてしまうと高圧洗浄が必要になり、多額の費用がかかります。
対策
定期的な清掃、油脂分離器の設置
臭気の発生
理不足や配管の劣化で悪臭が広がることがあります。
対策
配管の点検、消臭装置の設置
非適正放流
未処理の汚水を放流すると、環境汚染の原因になります。
対策
適切な処理施設の利用、環境規制の遵守
汚水をもっと理解しましょう
不動産や建設業に関わる人
汚水処理施設や排水システムを設計・管理する場合に重要です。
環境保護に興味がある人
汚水が自然環境に与える影響を知ることで、環境保全活動に役立ちます。
家庭でのエコ生活を目指す人
汚水の排出を減らし、浄化槽や下水道の利用を適正化できます。
「汚水」に関するまとめ
汚水は、日常生活や産業活動から発生する汚れた水で、適切に処理しなければ環境や健康に悪影響を及ぼします。
現代の日本のインフラでは下水道や浄化槽、処理施設が重要な役割を果たしていますが、個人でも排水を減らし、処理施設の負担を軽減する努力が求められます。
汚水の種類や処理方法を理解し、環境に優しい生活を心がけることで、持続可能な社会に貢献できます。