
「敷居」とは、建具(障子や襖、引き戸など)の下部に設けられた水平な木材や金属部材のことで、建具を支えたり、滑らかに動かしたりするための重要な要素です。
日本の伝統的な建築でよく使われ、鴨居(かもい、上部の横木)とともに建具を挟み込む形で使用されます。
近年では和室がない戸建てやマンションが増えたため、敷居が分からないという方も増えてきたかもしれません。
敷居の特徴
建具の下部に位置する横木
障子や襖、引き戸が下部で支えられるための部材です。
溝が掘られている
建具をスムーズに動かすための溝が加工されています。
これをレールともいいますが、敷居レールとはまた別物です。
日本建築で広く利用される
和室や和風建築では欠かせない要素で、見た目にも調和が取れています。
木材が一般的
自然素材として、ヒノキやスギ、ケヤキなどの木材が多く使われています。
敷居の役割
建具を支える
障子や襖が敷居に乗ることで、安定して開閉できるようになります。
建具の滑りを良くする
溝に建具が沿うことで、スムーズな動きが可能になります。
空間の仕切り
鴨居とともに、部屋を分ける役割を果たします。
「鴨居」とは、主に日本の伝統的な建築や住宅で使われる建具の部材の一つで、障子や襖(ふすま)、引き戸などの建具をスムーズに開閉できるようにするための上部の横木のことを指します。鴨居は、建具がはまる溝(レール)を備えており、扉や障子が滑らか[…]
耐久性の確保
建具の荷重を分散することで、床や壁の負担を軽減します。
和室の美観を保つ
敷居の木目や仕上げが、和室の雰囲気に調和します。
敷居の種類
一条敷居
一列の溝が掘られており、一枚の建具を支えるタイプ。
二条敷居
二列の溝があり、二枚の建具を並べて設置できるタイプ。
一般的によく見られるタイプがこれで、主に引き戸で使われています。
三条敷居
三列の溝を持ち、多くの建具を同時に使用する場面で採用されています。
一枚の建具にレールが一本と、三枚の建具を使用するときに使われています。
注意
この場合、リフォーム時には注意が必要で、敷居の溝と鴨居の溝は同じ位置にないといけません。
例えばトリプルのフロアレールを使用してバリアフリー化を行おうと思っても、鴨居のサイズに合わなければ取り付けることは出来ません。
鴨居も変える必要があるため、さらに費用をかけて鴨居を変えるか、もしくは1本の溝の部分に戸袋を作り、2本の溝を有効活用したりする方法、または鴨居にあわせてVレールを設置するなどの方法も選択肢の一つです。
フラット敷居
溝がない、または非常に浅い敷居。
一般的には開き戸の下に使われたり、バリアフリー設計で用いられることが多いです。
敷居のメリット
スムーズな開閉が可能
溝に沿って建具が動くため、力を入れずに開閉できます。
建具を安定させる
敷居に建具がしっかり固定され、グラつきを防ぎます。
長寿命
木材などの耐久性が高い素材が使われ、きちんとメンテナンスさえすれば長く使えます。
デザイン性が高い
和室や伝統的な建築と調和するため、空間の美しさを引き立てりゅことが出来ます。
敷居のデメリット
埃が溜まりやすい
溝の中に埃やゴミが溜まると、建具の動きが悪くなります。
経年劣化が発生する
木材の場合、長期間使用すると擦れや傷みが目立ってきて、スムーズな開閉を行うことが難しくなってきます。
さらに溝や建具が湿気や摩耗で滑りにくくなります
バリアフリーに不向き
基本的には段差ができるため、高齢者や車椅子利用者には不便です。
敷居に関する豆知識
メンテナンスのコツ
溝の掃除や滑りを良くするために、専用の敷居ワックスや滑り材を使用すると滑りがよくなります。
それでも一向に改善しない場合は、プロの建具屋さんに任せるしかない場合がほとんどです。
木材の種類が多彩
ヒノキ、スギ、ケヤキなどの国産木材が多く使われ、木目の美しさも楽しめます。
段差を工夫したデザインも可能
最近では、段差を低くした敷居やフラットな敷居も登場しており、バリアフリー住宅で採用されています。
現代建築との融合
和風のデザインを取り入れたモダン住宅では、伝統的な敷居をアクセントとして使用していることもあります。
「敷居が高い」の由来
「敷居が高い」という言葉は、家の敷居をまたぐ(訪問する)のがためらわれる様子からきています。
敷居が高い
- 相手に不義理をしたり、面目のないことがあったりして、その人の家に行きにくい、会いにくい状態
- 程度や難度が高い
- 心理的な障壁や抵抗感を感じる状況
敷居のメンテナンス方法
埃やゴミを掃除する
定期的に溝を掃除機や細いブラシで清掃します。
特に油を吸ったほこりなどが詰まると、一気に滑りが悪くなるのでそれらを取り除くだけでも大幅に改善します。
滑りを良くする
ゴミを取り除いたあとは、ワックスや専用スプレーを塗布することで、建具の滑りを改善できます。
破損部分の補修
擦り減った部分は、必要に応じて木材の補修や取り替えを行うことで復活しますが、素人にはかなり難しいので建具屋さんに依頼するのがベストです。
敷居が適している人
- 和室のある住宅を好む人
伝統的な建具を使用する場合、敷居は欠かせません。 - 空間の仕切りを調整したい人
敷居と建具を活用して、柔軟に空間を分けたい方。 - 建具のスムーズな動きを求める人
ストレスなく開閉したい方に適しています。
「敷居」に関するまとめ
敷居は、和室や日本建築において建具を支える重要な要素の一つです。
鴨居とともに空間の仕切りや安定性を提供し、滑らかな建具の動きを支えます。
伝統的な美しさや機能性が魅力ですが、定期的なメンテナンスやバリアフリーの対応が課題となる場合があります。
敷居を適切に活用し、快適で美しい住空間を作りましょう。