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重量鉄骨(じゅうりょうてっこつ)

「重量鉄骨」とは、厚さ6mm以上の鋼材を柱や梁(はり)の主要構造部に使用した建築工法のことを指します。
木造や軽量鉄骨(厚さ6mm未満の鋼材を使用)と比べて、はるかに頑丈な骨組みを形成できるため、大規模な建物や中高層の集合住宅、耐震性を重視した大型施設などで多く採用されます。

重量鉄骨の基本的な特徴

厚みのある鋼材を使用

主にH形鋼や箱形鋼など、6mm以上の厚みを持つ鋼材が使われます。
これによって曲げや引っ張りなどの力に対して強い抵抗力を発揮し、建物が大きな地震や強風にさらされても倒壊しにくい構造となっています。

高い強度と剛性

一般的に、重量鉄骨は軽量鉄骨よりさらに耐久性や剛性が高いとされます。
高さのある建物でも柱や梁がしっかり支えることができるため、高層ビルや大規模マンションなどに多用されます。

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大きな空間を確保できる

太い柱と梁(はり)を用いることで、壁や柱の少ない広々とした空間を作りやすく、大きなスパン(柱と柱の距離)が可能になります。
イベントホールや工場などの大空間を求める建築にも適しています。

重量鉄骨のメリット

優れた耐震性・耐久性

厚い鋼材が建物を支えるため、地震や台風などの外力に対しても変形や倒壊を起こしにくい構造です。
定期的なメンテナンス(塗装や防錆)をしっかり行えば、長期にわたって安定した性能を発揮します。

設計の自由度

柱と梁の配置を工夫することで、壁の少ない大空間や複雑な間取りにも対応可能です。店舗併用住宅や趣味部屋のある家など、独自のプランを形にしやすいのが魅力です。

火災・シロアリに強い

鋼材そのものは燃えず、木材のようにシロアリ被害を受けるリスクもありません。木造と比べると防火・防虫性能で優位に立ち、保険料面で多少の恩恵を得られます。

重量鉄骨のデメリットや注意点

建築コストが高い

厚みのある鋼材や専門的な施工技術が必要になるため、木造や軽量鉄骨と比べると建築費用は高いです。特に大きな建物の場合、さらにコストが上昇することも。

メンテナンスで防錆対策が必要

鉄は錆(さび)に弱い素材であり、特に屋外に露出する部分や高湿度の環境下では錆びやすくなります。
定期的な塗装や防錆処理を行わないと、構造体の劣化や安全性の低下につながるリスクはあります。

遮音・断熱性能への配慮

鉄骨造は空気の振動を伝えやすいため、騒音や熱伝導の面で木造やRC造(鉄筋コンクリート造)より不利です。壁や床にしっかりした遮音材・断熱材を適切に施工することで、快適な室内環境を保つことが大切です。

重量があるゆえの基礎工事

鉄骨自体が重いため、しっかりとした基礎工事を行う必要があります。地盤が弱い場所だと、地盤改良の費用や工期がかさむ可能性があるので注意しましょう。

重量鉄骨の豆知識

重量鉄骨と軽量鉄骨の境界

前述のとおり、一般的には板厚6mmを境にして「重量鉄骨」「軽量鉄骨」と呼び分けるのが一般的です。ただ厳密な法的定義はなく、建築会社や地域によって説明の仕方が若干異なる場合もあります。

SE工法などの技術開発

重量鉄骨造を発展させた工法として、SE工法(Safe and Eco)などが注目されています。これは、構造計算を高度に行い、安全性を確保しながら自由度の高い設計を可能にするものです。

高層マンションやビルの主力

超高層ビルにはRC造(鉄筋コンクリート)やS造(鉄骨造)、あるいは両者を組み合わせたSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)が使われます。中高層のビルやマンションでは重量鉄骨が広く採用されています。

リセールバリューの安定

耐震性能や耐久性の高さから、重量鉄骨造の建物は不動産市場で評価されやすいです。よって、売却や賃貸の際に、他の構造と比べてメリットをアピールしやすいといえます。

「重量鉄骨」に関するまとめ

重量鉄骨は、厚みのある鋼材を用いることで高い耐震性、耐久性、設計自由度を実現した建築工法です。
大空間や独創的なデザインを求める場合、また中高層の大規模建築には特に適しています。一方で、建築コストの高さやメンテナンスの煩雑さ、遮音、断熱対策といった課題もあります。

不動産会社での物件紹介時には「鉄骨造」と一まとめにされていることがあるので、詳細を知りたければスタッフに確認するようにしましょう。

重量鉄骨の建物を選ぶ際は、施工会社の信頼度や実績、使用材の品質、メンテナンス計画などをしっかり確認することが大切です。メリットとデメリットを正しく把握すれば、長期的に安心して暮らせる住まいや投資物件としての活用が期待できるでしょう。

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