都市の健全な発展や、住みやすい街づくりを実現するために、日本で定められている法律です。
人口が密集する市街地や農地・山林など、さまざまな用途を持つ土地を「どのように使い、どのように整備していくか」を大枠で決める役割を担っています。
都市計画法が必要な理由
都市が無秩序に拡大すると、交通渋滞や環境破壊、災害時の被害拡大といった問題が起こりやすくなります。
そこで、行政が都市の将来像や土地利用のルールをあらかじめ示すことで、インフラ(道路・上下水道など)の整備や住環境の改善を計画的に進めることができるのです。
都市計画区域の設定
都市計画法では、まず「都市計画区域」が定められます。
大きく「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれており、前者では積極的な市街化を、後者では原則として市街化を抑制する方針が採られています。
また、「非線引き都市計画区域」という区分も存在し、地域の事情に応じて柔軟に運用されています。
- 市街化区域
住宅や商業施設などの開発を推進するエリア - 市街化調整区域
農地や山林などを保全し、原則として建物の新規建築を制限するエリア
都市計画法に基づき、すでに市街地(街や住宅地など)として整っているか、今後10年程度で優先的かつ計画的に市街化を進めていく地域のことを指します。都市部や住宅が集まるエリアでは、建物を建てやすくさまざまな開発が積極的に行われる一方、用途地[…]
用途地域と建築規制
都市計画区域の中でも、市街地として発展させたい場所には「用途地域」が指定されます。
たとえば、閑静な住宅街を守るための「第一種低層住居専用地域」や、大型店舗やオフィスビルが建ち並ぶ「商業地域」など、全部で12種類があり、それぞれ建てられる建物の用途や規模が制限されています。
それによって、地域ごとの特色を生かしながら、騒音や環境被害を最小限に抑えることが可能となるのです。
都市計画法に基づいて市町村が定める、土地利用のルールを示す区分のことです。住宅地、商業地、工業地など、それぞれの地域の特性に応じて建てられる建物の種類や規模、建蔽率・容積率などを制限し、街づくりを計画的に進める役割を担っています。用[…]
都市計画事業と再開発
都市計画法の下では、道路の新設や拡幅、公園の整備、下水道・上水道の整備、さらには市街地再開発などが計画的に進められます。
これらの事業は、行政の予算や地権者の合意を得ながら進行するため、計画の告示や住民説明会などの手続きが必要です。
大規模な再開発では補償問題も絡むため、時間と調整が求められますが、その分街の利便性や安全性が高まり、資産価値の向上も期待できます。
豆知識:知っておきたいポイント
- 市街地再開発事業
老朽化した建物が密集する地区の再編を行い、防災や住環境の向上を図る取り組み。 - 地区計画
用途地域の中でも、さらに細かい街づくりルールを設けることで、景観や住環境を守る手段。 - 住民参加
都市計画の変更や大規模事業の実施には、住民や地権者の意見を取り入れるための公聴会や説明会が開かれることが一般的。自分たちの街をどう作っていくか、直接関わるチャンスでもあります。
「都市計画法」に関するまとめ
都市計画法は、私たちが暮らす街をより良くするための重要な法律です。
市街化区域や用途地域などの区分けによって、どこに住むか、どんな建物を建てるかといった選択肢にも大きな影響を与えます。
もし土地購入や建築を検討している場合は、自治体の都市計画図や用途地域の指定をしっかり確認し、自分の目的に合ったエリアを選ぶことが大切になってきます。
行政や専門家のサポートをうまく活用しながら、快適で安全な街づくりに参加してみてはいかがでしょうか。