不動産屋にいると、お客さんからたまに孤独死とか自殺の現場を聞かれることがあります。
地方の不動産屋とはいえ、実際問題ゼロではありませんし、高齢化が進む中、孤独死はこれから増えると事案と認識しています。
今回は、僕の会社の大阪部署のその中であった実話をお話していきましょう。
今回記事はそのパート1です。
- 1 謎にカビるクローゼットの原因、正体とは。
- 1.1 事の始まり
- 1.2 Mさんを部屋に案内する
- 1.3 Mさんの契約完了、採寸したいと申し出があった
- 1.4 クローゼットにカビが生えていた
- 1.5 水漏れについて、管理会社からの返答
- 1.6 クローゼットの壁紙を張り替え
- 1.7 Mさんが入居すると、即クレームの電話が鳴った
- 1.8 8日後にMさんから再び電話が鳴る
- 1.9 除湿剤。
- 1.10 クローゼット付近からカビが生えてくる
- 1.11 Mさんから退去しますとの電話が入った
- 1.12 退去後の調査
- 1.13 原状回復工事を実施
- 1.14 それ以降、クローゼットがカビることはなくなった
- 1.15 Mさんから謝罪の電話が鳴る
- 1.16 クローゼットのカビ生えの原因(?)は…
謎にカビるクローゼットの原因、正体とは。
これは東京都23区内の僕の会社が仲介した某マンションの1室でおきた怪奇現象です。
※ 僕の所属する不動産会社は、俗にいういわくつき物件の案内は基本行いません。僕たちも決して気持ちが良いものではありませんし、決められるのであれば他で楽に決めたいからです。
事の始まり
2017年7月、東京都23区内の某マンションで起きたお話です。
そのマンションは11階建て、9階までが1Kで、10、11階が1LDKのマンションで全28室、当時築4年でまだ築浅カテゴリーに分類される真新しいマンションでした。
築年数も新しいこともあり当然、その怪奇現象が発生した部屋で亡くなった方はいませんし、同じマンション内でも自殺や他殺があったことはありません。
1Kでお部屋探しをされていた20代の女性Aさんが、某所付近で部屋探しをしているということで、原状回復がまだ終わってないそのマンションを内見したいということから始まります。
Mさんを部屋に案内する
そのまま、当日中にMさんを某マンションの案内になった。
1K 31平米の都内でいえば若干広めの1Kのお部屋です。
その部屋は5階にある部屋でした。
原状回復も終わっていないし、まぁまぁほこりだらけだったので靴のままあがってください。とお伝えし、そのまま上がっていただいた。
部屋に入ったらすぐに
「あー-、ここいいですねー!ドラッグストアがあるのがありがたいですよねー!ここ申し見たいんですがどうしたらよいですか?」
とても気に入った様子でAさんは当日に申込書を記入して帰りました。
駅からかなり近いマンションで、ドラッグストアのほかに、近隣にスーパーもありました。
Mさんの契約完了、採寸したいと申し出があった
保証会社の審査も完了し、契約を進めることが出来るようになったMさんからすぐに電話があった。
「お部屋の採寸と、他いろいろ確認したいのでもう一度お部屋って見れますか?」
「もちろん可能ですよー。いつが良いでしょうか?」
「早速で申し訳ないんですが、今日の夕方とかでもいけますか?」
「あ、大丈夫ですよー!」
と、その日の夕方に現地合流することになり、私たちは現地に向かった。
クローゼットにカビが生えていた
合流し、お部屋の鍵を開け、Aさんと一緒に中に入った。
この時はまだ内見からすぐで、原状回復工事はまだ完了していなかった。
Mさんは、冷蔵庫置き場や脱衣所ドアのサイズなどを図り終えたあと、最後、クローゼットの寸法を測ろうと開けたところ、最初内見した時にはなかったカビが生えていたのです。
Mさんはそれを見て、こういった。
「これ、私が入居する時にはきちんと直ってるんですよね?」
「そ、それはもちろんです!」
時期も時期だったせいでカビも生えたのか知らないが、クローゼットの壁クロスをよく見ると、水が流れていたのが確認出来た。
手で触っても水だったので、時期的な問題ではなく、上から漏水しているんだとすぐ上を調査するよう管理会社に依頼した。
水漏れについて、管理会社からの返答
漏水はさすがにまずいので、管理会社もすぐ動いてくれた模様で、翌日午前中にすぐに連絡があった。
しかし、その内容は、どこも水漏れしていない。ということだった。
その部屋は5階で、管理会社は連絡を入れた直後、すぐに現地に行き、6階にあった3室をすべて入居者に連絡をとって同時にチェックしたようだった。
が、しかし、6階の水漏れは確認出来ず。
他、7階と同じフロアの5階を確認したようだったが、いずれも漏水は確認出来なかったらしい。
とりあえず、水漏れ箇所を引き続き探ります。ということだった。
てか、普通に考えてクローゼットの上ってクローゼットだよな…?一体どこから水がもれてくるんだ?
クローゼットの壁紙を張り替え
原状回復工事も進んで、クローゼットの壁クロスも張り替えが完了したようだった。
業者曰く、壁から水が回ってきた感じはしない。やっぱり梅雨だし、それでカビちゃったのでは?とのことだった。
「あー、そうなんですね。。」と、業者の言ったことを信じてそれで終わった。
その後、ハウスクリーニングを終え、入居日まであと4日となる。
Mさんが入居すると、即クレームの電話が鳴った
Mさんの入居を迎えた。
当日鍵渡しを行ったが、現地に着いたであろうMさんからすぐにクレームの電話が鳴った。
「あのー、すみません。クローゼットのクロス、張り替え終わってませんけども。。」
「えっっ!?それは申し訳ございません!すぐに張り替えを手配します!」
ホコリがたつ可能性などを説明し、納得して頂いた上で張り替えることになった。
こちらからすると、業者の張り替え忘れだと思い、業者にクレームの電話を入れた。
「張り替えたって言ってたけど、クロス内張り替えの忘れてない!?すぐに張り替えてよ!〇〇マンションの〇号室!入居者さんに連絡するからいつ行けるか教えてほしい!」
「はい!?そこのクローゼットなら同日貼り返してますよ!?」
「えぇ?どういうことよ。でも確かに壁から水が回ってきた感じはしないって言ってたわよね。」
そのマンションは、特別、瑕疵的な問題があるわけでもなく他の部屋からもそういったクレームはないという。
とにかくその部屋のクローゼットだけがカビが生えるようだった。
「んー、、とりあえず申し訳ないけど、張り替えお願い出来ない?」
「はい、まぁ分かりました。」
ということで業者は翌日早速張り替えに動いてくれた。
その際も、どう見ても壁側から水が回ってきた感じはしないという。
8日後にMさんから再び電話が鳴る
「あのー、、すみません。クローゼット、変な臭いがするからなんだろう思って荷物探ったりしてた時、壁みたらまたカビが生えちゃってるんですけど、、、。」
「えぇ??なんで…?どうして?」
マンション、他の部屋からの漏水は一切確認出来ないこともあり、やっぱり時期的な問題でカビが生えたとしか思えなかった。
とはいえ、入居者であるMさんがそんなことで納得するわけがないので、
除湿剤を無償で提供する、しっかりよく調査するということで納得して頂いた。
最悪の場合、クローゼットの荷物は同じマンションの空室を一時的に使用してもらう、という案も用意していたが、上の2つで了承頂いたのでそのまま調査となった。
除湿剤。
調査してもらっても、原因が分からないまま2日が過ぎた。
Mさんから電話が鳴った。
「頂いた除湿剤、もう使い切ってしまいました。」
「えぇ!?!?」
信じられないぐらい湿気が多い状態であったらしい。
となれば、やはり漏水などは発生しておらず、純粋にクローゼット内の湿度が高いことが原因でクロスにカビが生えていた可能性が高くなる。
とはいえ、部屋には一切カビが発生することはないらしく、とにかくクローゼットだけカビが生える。
なんならクロスにツヤがあるぐらい、水気が付着するほどだった。
クローゼットがそんなことになるのか、解決できない時間が続く。
クローゼット付近からカビが生えてくる
再びMさんからクレームの電話が鳴る。
「除湿剤、どれだけおいてもダメで、、、そうしたら次はクローゼットの折れ戸回りからカビが生えるようになってしまいました。どうしたら良いでしょう?」
クローゼット内の湿気が多ければ、当然その付近からカビが生えてくることは容易に想像出来るが、問題はそれ以前の問題がまだ未解決であるということ。
何度もMさんの入居するお部屋にお伺いして調査することもあって精神的にも迷惑をお掛けしてしまったようだ。
Mさんから退去しますとの電話が入った
一向に解決しないまま、時間ばかりが過ぎ、Mさんから電話が入った
「大変申し訳ないんですが、この部屋、気持ちがいいものではないので退去します。クローゼットなんかは退去するまで何も手つかずで良いので退去後によく調査されてみてください。」
こちらこそ大変申し訳ないと思いながら、退去予告を社内で共有し、約1か月後、Mさんは退去した。
退去後の調査
Mさんが、退去したものの原状回復工事を行うといっても湿気の原因が分からないままでは工事も行えない。
オーナーにもなんて報告すればいいのかわからない。
試しに湿度計を設置してみた。
どれだけ待っても湿度が上がらない。
「なぜ・・・?」
湿度計の湿度は一向に上がらない。
ひょっとして落ち着いたのか?
原状回復工事を実施
湿度計の数値も変わらず、除湿剤を置いても、まぁそんなもんかな、という程度でしか水化しない。
オーナーさんも「落ち着いたのであればもう工事入って欲しい。次の入居を急いでほしい。」というので工事にかかった。
それ以降、クローゼットがカビることはなくなった
不思議なことにMさんが退去以降、一切カビることはなかった。
その後、入居が決まったらしいがもちろんクレームが来るわけでもなく。
原因が分からないまま、時間が過ぎた。
Mさんから謝罪の電話が鳴る
数か月たったある日、Mさんから謝罪の電話と追加工事料金を支払いたいという申し出があった。
「どういうことでしょうか?」
「実は、、引っ越した先でも同じ現象が発生したんです。」
「え?引っ越し先でもクローゼットにカビが生えてきたんですか?」
「そうなんです。実は…。」
クローゼットのカビ生えの原因(?)は…
その後、Mさんから引っ越し先でも同じ現象が発生したことを気味が悪いと感じたMさんは、お祓いを頼んだそう。
その際、男の霊がクローゼットの中に入っていることが分かった。
Mさんには思い当たる節があった。
実は、Mさんはちょうど2年前の夏、デートで海水浴に出かけていた際、実は彼氏が水難事故で亡くなったらしい。
亡くなった彼は、亡くなっても彼女と別れきれず、彼女が選んだ引っ越し先に、彼女より先に入居してしまっていたそうだ。
クローゼットの中であれば、バレないで済むだろうと思ってクローゼットの中に入り込んでしまっていたのかもしれない。