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建蔽率(けんぺいりつ)

不動産や建築に興味を持ち始めると、しばしば耳にする用語として「建蔽率(けんぺいりつ)」があります。
これは、建物を建てる際に必ず押さえておきたい重要な指標です。

建蔽率とは?

建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積(建物が地面を覆う部分の面積)の割合を示したものです。具体的には、

建蔽率(%)=(建築面積 ÷ 敷地面積)× 100

という式で求められます。

たとえば、100平方メートルの土地に対して建蔽率50%が上限と決まっている地域では、「建築面積が最大50平方メートルまでの建物を建てられる」ということになります。

建蔽率が決まっている理由

日本の多くの地域では、市町村が「用途地域(ようとちいき)」を定め、その用途地域ごとに建蔽率の上限を規定しています。
これは、防火や採光、通風などを確保し、健康的かつ安全な街づくりを行うためのルールです。
建物だらけで隙間がない街並みになると、防災上のリスクが高まったり、日当たりや風通しが悪くなるなどの問題が生じます。
そのため、適切な建蔽率を設定することで、建物同士の適切な間隔や空間を保ち、住環境を健全に維持しています。

建築面積と延べ床面積の違い

建蔽率を理解するうえで混同しがちなのが、「建築面積」と「延べ床面積」の違いです。

  • 建築面積
    建物を真上から見下ろしたときの“外壁の中心線”で囲まれた水平投影面積。ベランダや庇(ひさし)が一定以上のサイズであれば、この面積に含まれる場合があります。
  • 延べ床面積
    建物の各階の床面積の合計(吹き抜け部分などを除く)。

建蔽率は「建築面積」を使って計算するので、延べ床面積がいくら広くても、建築面積が上限を超えなければ建蔽率の規定には違反しません
逆に、平屋であっても横に大きい設計だと、建蔽率を超えてしまう可能性があるので要注意です。

建蔽率を超えるケースとペナルティ

もし建蔽率の上限を超えてしまうと、建築基準法違反となり、建築確認が下りない、あるいは是正指導や罰則の対象となります。
違反状態のままだと売却や増改築が難しくなるだけでなく、将来の資産価値にも大きな影響を与える恐れがあります。
間違ってしまったら大変なので設計段階でしっかり計算し、専門家(建築士や不動産業者)と相談して、規定内に収まるプランを立てることが肝要です。

豆知識:建蔽率の緩和措置

実は、地域や条件によっては建蔽率の緩和措置が適用されるケースも存在します。
たとえば、防火地域や準防火地域にある建物で、一定の耐火性能を備えている場合、建蔽率が10%加算されるなどの特例があります。また、角地(かどち)などの場合も、建蔽率がプラスされる場合があります。
土地探しや建物プランを検討するときには、これらの緩和規定が使えるかどうかを調べると、より柔軟な設計が可能になるでしょう。

建蔽率と合わせて知っておきたい容積率

建蔽率とセットで覚えておきたいのが「容積率(ようせきりつ)」です。
容積率は、敷地面積に対する「延べ床面積」の割合を示すため、建物の高さや階数に関わる規制といえます。
建蔽率が“平面的な広がり”を制限するルールなら、容積率は“空間的な広がり”を制限するルールとイメージすると分かりやすいでしょう。

両者を同時に考慮することで、計画的かつ法令を守った建築が可能になります。

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「建蔽率」に関するまとめ

建蔽率は、敷地面積に対する建築面積の割合を示す重要な指標です。
各地域の用途地域ごとに上限が定められており、防火や採光などを確保するための都市計画の一環として機能しています。
設計や土地選びの段階で、「どのくらいの範囲まで建物を広げていいか」を把握しておくことで、トラブルや違反リスクを避けることができます。
加えて、角地や防火地域などの特例をうまく活用すれば、思い描くプランに近づけることも可能なので、ぜひ容積率とも合わせて理解し、安心・安全で快適な住まいや建物を実現しましょう。

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