土地の広さに対してどのくらいの延べ床面積(建物の各階の床面積の合計)を建てられるかを示す指標のことです。
建物を横にどれだけ広げられるかを規定する「建蔽率」に対し、容積率は“高さ方向を含めた建物の大きさ”を左右するルールと考えるとイメージしやすいでしょう。
容積率の基本的な考え方
容積率は、以下の式で求められます。
容積率(%)=(延べ床面積 ÷ 敷地面積)× 100
たとえば、敷地面積が100平方メートル、容積率が200%の場合、建物の延べ床面積は最大200平方メートルまで建築可能ということになります。
2階建てで各階100平方メートルずつ、あるいは3階建てで少しずつ床面積を振り分けるなど、設計の自由度に影響を与える重要な指標です。
なぜ容積率が決まっているの?
日本の都市部では、防災や風通し、景観の保全などを目的に、用途地域ごとに容積率の上限が定められています。
住宅街では低めに設定され、商業地域や駅周辺の利便性が高いエリアでは高めに設定されることが多いです。
容積率があまりにも高い街は、高層建築が密集しやすく、人の集中や交通混雑、日照不足などの問題が起こりやすくなります。
一方、一定の上限を設けることでバランスの良い街づくりを実現しようというわけです。
建蔽率(建ぺい率)との違い
容積率とよくセットで出てくる用語に「建蔽率」があります。
- 建蔽率
敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た投影面積)の割合 - 容積率
敷地面積に対する延べ床面積(建物の総床面積)の割合
簡単に言うと、建蔽率が“平面的な広がり”を規定するのに対し、容積率は“高さ方向を含む全体のボリューム”を規定するイメージです。
不動産や建築に興味を持ち始めると、しばしば耳にする用語として「建蔽率(けんぺいりつ)」があります。これは、建物を建てる際に必ず押さえておきたい重要な指標です。建蔽率とは?建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積(建物が地面を覆う部分[…]
容積率を超えるとどうなる?
容積率が上限を超えた建物は、建築基準法違反となり、建築確認が下りないばかりか、すでに建っている場合は是正指導や罰則の対象となることもあります。
違反状態の不動産は売買や融資が難しくなる可能性が高く、資産価値が大きく下がるリスクがあるため注意が必要です。
これについては、たったわずかでも上限を超えてはいけません。
緩和規定・特例
敷地の形状や位置によっては、容積率が緩和される特例も存在します。
たとえば、角地(かどち)にある場合や、前面道路が広い場合など、一定の条件を満たすと容積率が加算されることがあります。
また、防火地域や準防火地域で、建物に耐火構造を採用している場合なども、建蔽率や容積率の特例を受けられる場合があります。
土地を探す際には、こうした緩和措置が適用できるかどうか調べておくと設計の幅が広がるでしょう。
豆知識:階数だけでは決まらない
容積率は延べ床面積で計算されるため、同じ容積率200%でも、2階建てにするのか3階建てにするのかで各階の面積配分が変わります。
吹き抜けやロフトなどを設ける場合、延べ床面積に含まれない部分と含まれる部分があるので、建築士や不動産会社と相談しながら設計を進めるようにしましょう。
「容積率」に関するまとめ
容積率は、敷地面積に対してどのくらいの延べ床面積が建てられるかを示す指標で、建物の大きさや階数を考えるうえで欠かせない要素です。
建蔽率とあわせて理解しておくことで、自分の理想とする住まいやビルを効率的かつ合法的に設計することが出来るでしょう。
土地探しの際には用途地域や前面道路の幅などを確認し、容積率の上限や特例が適用できるかをしっかりチェックしましょう!