「液状化リスク」は、地震が発生した際に地盤が液体のように振る舞い、建物やインフラが損傷を受ける可能性を指します。
特に、地下水位が高い砂質地盤で発生しやすく、建物の傾きや倒壊、道路の陥没などを引き起こすことがあります。
液状化現象とは？
液状化とは、地震の揺れによって地盤中の水分が地表に吹き出し、地盤が液体のように振る舞う現象を指します。
この結果、地面が強度を失い、建物や構造物が沈下したり傾いたりします。
液状化の仕組み
1.地震による揺れ
地震による強い振動が地盤に伝わる。
2.地中の圧力変化
地盤中の砂粒が緊密に詰まり、間隙（かんげき）に含まれる水圧が急激に上昇。
3.砂粒の分離
水圧が高まり、砂粒が分離して浮遊状態に。これにより地盤が液体状に。
4.地表の被害
地面が陥没し、建物や道路が沈下・傾斜する。
液状化が発生しやすい条件
砂質地盤
地盤が砂質で構成されている地域は、液状化のリスクが高いです。
地下水位が高い
地下水が浅い位置にある地域は、液状化が起こりやすいです。
地震の規模が大きい
強い地震や長時間続く揺れがある場合、液状化が発生しやすい状況になります。
埋立地
埋立地や人工的に造成された土地は、液状化リスクが特に高いです。
「埋立地（うめたてち）」とは、海、湖、沼地、河川などの水域や湿地に土砂や廃棄物を投入し、土地を造成して作られたエリアのことです。日本では都市部の土地不足を解消するため、埋立地が大規模に開発されており、住宅地、工業地帯、商業施設など、さま[…]
液状化の影響
建物への影響
基礎部分が支えを失い、建物が沈下、傾斜、倒壊することがあります。
道路やインフラへの影響
道路が波打ったり陥没したりします。
地下配管（水道・ガス・下水）が損傷すると、断水やガス漏れが発生します。
生活環境への影響
液状化後の地盤は修復が困難で、建物の再建が難しくなる場合があります。
液状化リスクの評価方法
ハザードマップの確認
自治体が提供する「液状化リスクマップ」を確認することで、対象地域のリスクを把握できます。
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…
地盤調査
土壌の性質や地下水位を調べることで、液状化の危険性を詳しく評価します。
過去の被害状況
過去に液状化が発生した地域は、再び液状化が起こる可能性が高い地域といえます。
液状化への対策
建物の基礎工事
杭（くい）工法
地下の強固な地盤まで杭を打ち込み、建物を支える。
耐震基礎
地盤の揺れを吸収する基礎設計を採用。
地盤改良
薬液注入
地盤に薬液を注入し、地盤を固める。
砂地盤の締め固め
振動や重機を使って地盤を圧縮し、液状化しにくくする。
排水工法
地中に排水管を設置し、地下水位を下げることで液状化を防ぐ。
自治体のサポート
一部の自治体では、液状化対策工事に補助金を提供している場合があります。
液状化リスクに関する豆知識
埋立地はリスクが高い
埋立地である東京湾や大阪湾の埋立地は、液状化のリスクが特に高い地域として知られています。
地下水位は地震前後で変化
液状化後、地下水位が下がることもありますが、基本的には再び元に戻ります。
保険の適用
地震保険で液状化被害が補償される場合があります。
ただし、液状化によって家が一定以上傾いた、沈んだなどの条件がありますので補償内容を確認するようにしてみましょう。
注意
当たり前ですが地震前から地盤沈下していた場合は、補償を受けることが出来ません！
液状化しやすい砂の粒径
液状化が起こりやすい砂は、粒径が0.1～2mm程度の範囲に集中しています。
地震後の応急処置
液状化後の地盤修復には費用と時間がかかるため、事前の対策が重要と言えます。
液状化リスクを考えないといけない人（知識活用）
住宅購入を検討している人
新築や中古物件の購入時に地盤リスクを評価するために役立ちます。
土地開発を計画している人
新しい土地の利用や開発時に、液状化リスクも考慮するようにしましょう。
防災対策を考える人
災害に強い住環境を目指す人に適しています。
注意点
リスクゼロはない
液状化対策を行っても、完全にリスクをなくすことは難しいどころか出来ないため、他の防災対策も併用することが大切です。
土地価格に影響
液状化リスクが特に高い地域では、土地や建物の資産価値が下がる可能性もあるかもしれません。
事前調査が必須
土地購入や建物建築の際は、地盤調査をしっかり行うようにしましょう。
自治体の情報を活用
自治体が公開する液状化リスクマップや地震防災計画を活用しましょう。
「液状化リスク」に関するまとめ
液状化リスクは、地震に伴う災害の一つであり、地盤や建物に大きな被害を及ぼす可能性があります。
特に砂質地盤や地下水位の高い地域では、事前に液状化の危険性を把握して、適切な対策を講じるようにしましょう。
ハザードマップの確認や地盤調査を通じてリスクを評価し、必要に応じて建物の基礎工事や地盤改良を行うことを検討してみても良いといえます。また、併せて地震保険への加入もリスク軽減の一環として検討すると良いでしょう。災害への備えを万全にし、安心して暮らせる住環境を整えましょう。
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