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原状回復(げんじょうかいふく)

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「原状回復」とは、賃貸物件を退去する際に、物件を入居時の状態に戻すことを指します。
不動産賃貸契約において、原状回復は重要な概念であり、退去時の修繕費用負担などに直接関わります。
この手続きを正しく理解することで、トラブルを防ぎ、スムーズな退去を実現することができます。

原状回復の基本的な考え方

原状回復は、「入居者が故意または過失によって生じさせた損傷や汚れを修繕し、次の入居者が快適に住める状態に戻すこと」を意味します。
しかし、自然な経年劣化や通常の使用による消耗は、原状回復の対象外とされています。

対象となるもの

  • タバコのヤニや臭いによる壁紙の汚れ
  • 室内でペットを飼ったことによる傷や臭い
  • 家具の移動でつけた床の傷
  • 掃除不足で発生したカビや汚れ

対象外となるもの

  • 壁紙の日焼けや色あせ
  • 家具の設置による軽微な床の凹み
  • 経年劣化による水回りのパッキンの劣化

原状回復の流れ

事前準備

退去を決めたら、まず契約書を確認しましょう。原状回復の範囲や費用負担についての規定が記載されています。
入居時に撮影した室内の写真やチェックリストがあれば、それを見返しておくと役立ちます。

退去立会い

物件の管理会社やオーナーと一緒に室内を回り、損傷や汚れの状態を確認します。この際、修繕が必要な箇所や費用負担について話し合います。

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費用の精算

故意や過失があった場合、必要な修繕費用が敷金から差し引かれる場合があります。費用の明細をよく確認し、不明点があればその場で質問しましょう。

ヒント

精算とはいえ、その場で精算が完了することは少なく、退去当日に費用の説明のあと後日、敷金から相殺され返金、また請求となるのが一般的です。
それに対して、県住や市住などの公営住宅は退去当日に精算というケースが多いです。

修繕作業

修繕が必要な場合、管理会社が業者を手配するのが一般的です。
ただ、軽微な汚れや傷であれば自分で修繕することも可能な場合があります。

ヒント

自分で直すことが出来る場合もありますが、大抵の場合は正直に申告をして修繕を行ってもらったほうが結果として安くあがることが多々あります。
一方で、県住や市住などの公営住宅の場合は自分で直しても有効となるケースが多いので退去前には積極的に行ってみても良いかもしれません。

水回りの清掃であれば退去時にご自身でそれなりに綺麗にしておけば追加の清掃費用は請求されないのでそのあたりが最も行いやすいでしょう。
追加費用が請求されるケースは、極めて汚い場合であって通常の使用の範囲であれば基本的には追加請求はありません。

注意すべきポイント

契約内容を確認

賃貸借契約書に「特約事項」として、通常の原状回復の範囲を超えた修繕義務が記載されている場合があります。これが不明瞭である場合、管理会社に相談しましょう。

実例

例として、畳の表替え費用があげられますが、実際には国土交通省のガイドラインに抵触しています。
ただし、「契約自由の原則」というものがあり、双方が同意していれば有効になってしまうことも事実で、納得がいかない場合にはトゲがない程度に交渉してみましょう。

敷金の精算

敷金が返金されるかどうかは、原状回復費用によって異なります。不明確な費用が敷金から差し引かれている場合、明確な説明を求めましょう。

トラブル防止のための写真撮影

入居時と退去時に、室内の状態を写真で記録しておくことをおすすめします。そうすることで不当な費用請求があった場合の証拠として利用できます。

豆知識

自然損耗と過失損耗の違い

自然損耗

俗に言う経年劣化といわれるものです。
年月の経過による劣化や消耗(例:壁紙の日焼け)

過失損耗

入居者の行動による損傷や汚れ(例:タバコのヤニ)

原状回復費用を抑えるコツ

退去前に簡単な掃除をすることで、費用を抑えられる場合があります。
特に水回りや壁の汚れを重点的に清掃すると良いでしょう。ただ、インクなどがついている壁を下手に掃除すると汚れが落ちるどころか広がってしまい、かえって張り替える範囲が広がってしまうことも多いので持っている洗剤など状況見ながら行うようにしましょう。

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DIY修繕の注意

小さな傷や汚れであれば、自分で補修用のペンやパテを使うことで修繕可能ですが、大がかりな作業は管理会社に事前に相談するほうが得策です。

原状回復の最新動向

日本では、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき、入居者の負担範囲がより明確化されています。このガイドラインでは、過度な費用負担を求められることを防ぐための具体的な例が示されています。

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…

「原状回復」に関するまとめ

原状回復は、賃貸物件を退去する際に避けて通れない手続きですが、その範囲や費用負担について正しく理解することで、不必要なトラブルを防ぐことができます。
特に、自然損耗と過失損耗の違いを明確に理解して、契約内容を確認することが重要になってきます。退去前にしっかりと準備を整え、管理会社やオーナーとの円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

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