重要事項説明ってなに?聞くの面倒くさいんだけど。
重要事項なんかなさそうな物件決めたのに、そんなもの必要なの?
今回記事は、主に売買契約締結時の重要事項説明書となります。途中、賃貸借契約締結時も解説はしていますが賃貸借契約の方は見なくて大丈夫です。
不動産契約に付き物の重要事項説明書は、契約前に確認が必須となる重要事項をまとめた書面になります。
重要事項説明は項目が多く、つい聞き流してしまいがち。しかし、重要事項説明は物件条件を口頭で説明してもらえる最後の機会になるんです。
契約してから「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、一点ずつ内容の確認が必要です。
今回は知らない用語が多く出てくるかもしれませんが、不動産投資、不動産を購入は10万円や100万円ではありません。
決して安くない買い物だからこそ、投資するからこそ最低限の知識を頭に入れておくべきとあえて難しい用語も入れています。
長文ですけど、売買契約締結時や不動産投資ではとっても大事なことなので自分自身を守るためにもきちんと理解しておきましょう。
記事前半では重要事項説明書がどういう書類なのか、、後半では特に注意が必要なポイントを解説するので是非参考にしてくださいね。
重要事項説明(重説)=不動産契約に関する重要事項を口頭で説明すること
重要事項説明とは、不動産の契約前に確認が必要な重要事項を対面で宅地建物取引士に説明してもらうことです。
重要事項説明書はその内容をまとめた書面のこと。物件の状況や契約条件、各種の法律の規制内容などについて説明を受けることが可能です。
売主が不動産業者である場合はその業者に、個人間の売買なら仲介業者に説明義務が発生します。重要事項説明は、不十分な説明によるトラブルを防ぐことが目的であり、説明の実施は宅地建物取引業法で義務付けられています。
重要事項説明書の内容
重要事項説明書では、どのような項目が確認できるのか確認してみましょう。物件によって確認が必要な項目は異なります。ここでは、売買契約の確認事項のうち代表的なものを挙げてご説明しましょう。
ん??説明なかったな?と思ったら、間髪入れずツッコミを入れて確認するぐらいの勢いが必要です。
- 対象の物件の所在地・面積
- 登記されている情報
- 各種法令に基づく制限
- 私道に関する負担
- 水道・電気・ガスなどの整備状況
- 建物の工事完了時の構造(未完成物件の場合)
- 立地の災害区域指定について
- アスベスト(石綿)の使用調査について
- 耐震診断について
- 取引金額に関する事項
- 契約解除に関する事項
- 手付金保全措置の内容
- 金銭の貸借に関わる事項
、、、さて、多いですね。でも大事なことなのできちんと聞いて理解しておくことが必要になります。
なぜなら、これに同意して購入したということになるので、そんなことは聞いていない!と文句は言えません。
少しでも疑問に思う点があったら忘れないうちに、質問するようにしましょう。
一先ずは、それぞれがどんな項目なのか確認していきますね。
対象の物件の所在地・面積
対象の物件の基本情報に対する確認事項です。
- 土地の住所
- 面積
- 建物の構造
などをチェックします。
登記されている情報
対象の物件の登記に関する内容です。
ここで確認できるのは、主に物件に設定されている権利と、その名義。建物と土地の所有権者や、借金の担保にされている場合は抵当権者の名前が載っています。
各種法令に基づく制限
物件は、立地や構造によって各種法律の制限を受けることがあります。この項目では、どの法律を根拠に、どんな制限を受けているのかが確認可能です。
重要な項目になるので、きちんと理解しておきましょう。
例えば
- 建築基準法に定める接道義務を満たしていないため再建築不可
- 都市計画法の市街化抑制区域に位置するため建て替えが制限される
などが代表的です。
現在の法律で再建築不可となれば、老朽化が進んだあとはどうするの?なんてこともよく考えてみましょう。
私道に関する負担
私道に関する負担は大きく分けて二つのケースがあります。
- 敷地の一部が私道でありその部分に建築ができない
- 隣接した道路が他者所有の私道であり通行料を支払う必要がある
どちらの場合も、負担の内容と、負担金が発生する場合はその金額を確認できます。
水道・電気・ガスなどの整備状況
電気やガス、上下水道など、いわばライフラインの整備状況です。
とはいっても、仲介業者を通して居住用の住宅を売買する場合、ライフラインが全く整備されていないことは稀です。考えられるのは、オール電化でガスが通っていない場合や、希望するガス種と異なるといったケースです。このような事態を回避するために確認が必要な項目になります。
建物の工事完了時の構造(未完成物件の場合)
未完成物件の完成時の構造を確認できます。中古住宅の購入時は無関係ですが、以下のような場合にチェックが必要です。
- 建築前のマンションを予約購入するケース
- 建売住宅を未完成で購入する場合
家の構造のほか、家の前の道幅や導入予定の設備などが確認できます。
立地の災害区域指定について
物件の立地に土砂災害や津波災害のリスクがある場合、売主の不動産業者は重要事項説明でその旨を説明する義務があります。
これは、家が被災する可能性があるだけでなく、購入後に売却する際の価格にも影響を及ぼすためです。
アスベスト(石綿)の使用調査について
人体に有害な建築素材、アスベスト(石綿)の使用調査歴についての項目です。
調査自体は物件の売主が行うもの。不動産業者では、アスベストの調査歴があるかどうか、あればその概要と結果を教えてくれます。
近年建築の新築ではまずありませんし、平成17年以降築の中古住宅であれば問題ないと考えてよいですね。
それより前の中古アパートやマンションを買う際は、気に掛けるようにしましょう。
耐震診断について
過去に耐震診断を行なったかどうかを確認できる項目です。耐震診断の調査歴の有無と、過去の調査の結果を説明してもらえます。
ちなみに、昨今建築の日本の建物は震度7の揺れに一度は耐えれると言われています。
取引金額に関する事項
物件の代金以外に、売主と買主の間でやりとりが発生する場合のお金についての取り決めです。なお、ここで対象となるのは売主と買主の間でやり取りするお金のみ。仲介手数料や印紙代などの経費は含まれません。
例えば以下のようなものが対象となります。
- 手付金
- 売主が地主に支払い済みの借地代(借地付き建物の場合)
- 売主が支払い済みのマンションの管理費
契約解除に関する事項
契約後、万が一解除に至った場合のルールをあらかじめ定めた項目です。
- 物件が災害などで倒壊した場合
- 買主の都合で解除した場合
- 住宅ローンが受けられなかった場合
- あらかじめ合意のない欠陥が物件に見つかった場合
など、様々なケースを想定して手付金の清算や損害賠償、違約金の支払いなどを確認します。
手付金保全措置の内容
何らかの事情で物件の引き渡しができなくなった場合に、買い主に手付金を返還するための仕組みが手付金の保全措置です。第三者機関に保管を依頼し、保証書を発行することで行います。
手付金の保全は宅地建物取引業法で定められており、以下の条件に該当する場合は保全義務が発生します。
未完成物件の場合 | 物件価格の5%以上 または 1,000万円以上 |
完成物件の場合 | 物件価格の10%以上 または 1,000万円以上 |
不動産業者はこの内容を重要事項説明で伝える義務があります。保全は行われるのか、保全を行う場合はどこに保管を依頼するのかを説明しなければなりません。
手付金等の保全の意味について。【アットホーム】の不動産用語集で不動産の基本的な用語から専門用語まで幅広く意味を調べること…
金銭の貸借に関わる事項
仲介業者が提携している金融機関の住宅ローンを利用する場合に、その詳細を説明する項目です。
重要事項説明書で特に注意して確認したい6つの項目
重要事項説明書の各内容を簡単に説明しました。ここからは、その中でも特に注意が必要な6つの項目について解説します。
- 物件の資産価値に直結する
- 家の住み心地を大きく左右する
- 住人の命に関わる可能性がある
こういったリスクを孕むことがあります。一つずつ詳しく説明していきましょう。
売却活動の結果、所有するマンションや土地、戸建など不動産の買主が決まったら売買契約を交わすが、その前に買主に対して不動産…
物件の権利関係
物件の権利関係は、重要事項説明書の中でも特に重大な項目の一つです!
物件の登記簿に記載されている内容について、不動産業者から説明を受けることができます。
権利関係の確認が重要な理由は、買主が預かり知らないところで、他人が物件に権利を設定している可能性があるからです。
いくつか具体例を挙げてみますね。
事前に説明のない抵当権が設定されている
抵当権の設定されている物件は、簡単に言うと誰かの借金の担保になっています。重要事項説明書には抵当権者(多くの場合借金の貸主)の名前が記載されます。仲介業者のチェックが必ず入るため、事前説明なく抵当権の設定された家を購入するケースは稀です。しかし、悪意を持った売主もいないとは言い切れないため注意してください。
物件の所有者と売買相手の名義が違う
登記上の所有者と売買相手が別人のケースです。
高齢の親に変わって子が売買を行う際などにみられます。中には遺産相続がこじれ、委任状を偽造して親の土地を勝手に売却しようとしていることも。確認せずにうっかり購入すると、後になってから「やっぱり返してください」などとトラブルに発展する可能性があります。
もちろん、全てのケースでトラブルに発展するとは限りませんが、納得できるまで話を聞いて判断しましょう!
借地権付き建物を地主に無断で売ろうとしている
借地付き建物を地主に断りなく売却しようとしているケースです。
借地権付き建物とは、家と土地を別の人が所有しているタイプの物件のこと。家を購入したあとは、地主に土地の使用料を支払うことになります。地主にとって家の売却は、土地の貸借契約の相手が変わることを意味します。そのため土地の貸借契約では、地主に無断で家を売却することを禁止していることも多いです。
このような理由から、勝手に売却された借地権付き建物を購入すると、地主との間でトラブルになることも考えられます。
借地権付建物の購入を検討している場合は、地主の合意は取れているかきちんと確認しましょう。
都市計画法・建築基準法上の制限
都市計画法や建築基準法で規制を受けている場合、物件の工事を自由に行えないことがあります。
購入した時点で物件は買主のものになりますが、買ったからといって無条件で工事出来るわけではありません。
- 現行の建築基準を満たしていない古い家
- 物件の立っている場所が市街化抑制区域に指定されている
このような場合、建て替えや建て増しを行う際、工事の許可が出ないことが考えられます。デメリットは工事が出来ないことのみではありません。工事の規制を受けている物件は総じて資産価値が低いです。
売却価格が安い、売却自体が難しいといったリスクが想定されます。
重要事項説明書には、どの法律によってどんな制限を受けているのか記載されています。資産価値はどの程度なのか、どのくらいの範囲なら工事可能なのかを購入前に確認しましょう。
その質問の返答が曖昧な業者であれば、その業者から購入すべきではありません。
私道に関する負担
私道に関する負担は
- 土地の一部が私道になっていて用途が制限されるケース
- 他人の私道の利用料を支払わなければならないケース
の二通りがあります。それぞれ内容を詳しく見てみましょう。
土地の一部が私道になっている場合
この場合、他人の通行のために敷地の一部を提供している状態です。私道となっている部分は建物を建てられませんが、通行料を受け取れる場合があります。
近隣と金銭の絡む利害関係を持つことになるため、私道の使用者とどのような関係だったか、背景を聞いておくと良いと思います。
通行料を払って私道を利用するケース
私道を利用しないと生活できない場合は、逆に私道の所有者に通行料を払わなければならない場合があります。
また電気や水道の整備などで私道部分を工事するなら、その分の掘削料が発生する場合も考えられます。
今までどの程度の通行料を支払っていたか予め確認しておきましょう!
物件の設備
物件の設備は侮ってはいけません!
ここでいう設備とは、上下水道や電気、ガスなどのライフラインが主な対象です。
設備の確認をいい加減に済ませると、以下のような問題に直面する可能性があります。
- 都市ガスの物件が良かったが契約してからプロパンガスだと分かった
- 上水道の代わりに井戸から水を引いていることがあとから発覚した(近年ではなかなか無いと思いますがゼロではありません)
ライフラインの種類は生活のランニングコストや機器のメンテナンスにも関わることです。契約前によく確認しておきましょう。
立地の災害区域の指定について
土砂災害や津波の被害が想定される立地の場合、災害区域指定を受けている場合があります。よく確認せずに購入すると、万が一の災害の際に被災してしまうかもしれません。
また、立地が宅地造成工事規制区域の指定を受けている場合は特に注意が必要です。これは土砂災害のリスクが特に高い地域が指定されるもので、崖を削ったり土を盛ったりする工事が規制される区域です。
宅地造成工事規制区域は土砂災害のリスクもありますが、指定されると物件の資産価値が低くなるというデメリットも存在します。検討している物件が指定されている場合、金額に見合った物件か再考が必要です。
土砂災害や津波については各地域のハザードマップでも確認できます。危なそうな立地なのに何も注意書きがない場合は不動産業者に確認してみましょう。
物件の耐震強度
中古物件を購入する場合、耐震強度は要注意項目の一つです。
特に注意が必要なのが、昭和56年より以前に建築されている物件。昭和56年は耐震基準が更新された年であり、この年より以前の物件は古い耐震基準に従って建築されています。こういった物件は地震のリスクがあるだけでなく、耐震強度不足を懸念され売却時に敬遠されることもデメリットです。
耐震検査を受けて合格している場合や、追加の耐震工事を行なっている場合は問題ありません。しかし、古い物件で耐震検査を一度も実施していない場合は詳しい確認が必要です。
耐震基準の大きな転換期は1981年の新耐震設計法の制定 地震に強い建物の調査や研究が始まったのは1891年に起こった濃尾…
結論:不明点は納得するまで説明してもらう
重要事項説明を受ける上で大切なことの一つが、不明点・不安点を納得できるまで聞くことです!
物件の欠陥を疑うようで心苦しいと思うかもしれませんが、遠慮する必要はありません。多くの人にとって不動産は一生の買い物であり、大金を支払うことになるからです。
自分が住む家でなく、投資である場合も同様です。
とにかく疑問点は納得できるまで説明してもらいましょう!
もう一度、言います。
その聞いた答えが曖昧であったらその不動産業者から買うのはやめましょう!
それぐらい慎重に行くべきなんです。
重要事項説明を受けるタイミング
重要事項説明を受けるタイミングは、売買と賃貸の場合で異なります。
それぞれどんなタイミングで行われるのか見ていきましょう。
売買の場合は契約締結より前に行う
売買契約の重要事項説明が行われるのは契約締結の日よりも前です。
物件選びから引き渡しまでの中だと、このような順番になります。
- 物件選び
- 問い合わせ・内見
- 購入申し込み
- 重要事項説明
- 売買契約締結
- 引き渡し
一般的には申し込みの後、契約締結より前に行われることが多いです。なので、重要事項説明から契約締結までには、短くても数日程度間を置くことをおすすめします。
説明の後、一旦持ち帰って冷静に検討する期間を設けた方が良いですよ。
業者の説明を受けた直後は、誰しも舞い上がっているもの。話を聞いた時点では小さな問題に思えることでも、いざ購入してみたら大きなデメリットになることもあるので、不動産購入においても俯瞰(ふかん)してみることが大切になります。
こういった自体に陥らないためにも、重要事項説明から契約までは数日間の余裕を持つのが良いと思います。
重要事項説明を受けたあとで契約を断ることはできる?
重要事項説明は、物件の状況や契約の条件を確認するのを目的としているので当然、納得できなければ契約を断ることは可能です。
重要事項説明は、契約を結んで良いか検討できる最後の機会です。契約を結び手付金を支払ってしまうと容易に解約できなくなります。
前向きに検討していた物件であっても、解消できない不安点がある場合や、致命的な悪条件が発覚した場合は断るしかありません!
どれだけ面倒でも重要事項説明に対して理解は必要
不動産契約では重要事項説明は付き物です。チェック項目が多く、話も長くなるのでついつい聞き漏らしてしまいがち。
しかし、重要事項説明をいい加減に済ませてサインしてしまうと、購入後に思わぬ落とし穴が見つかるかもしれません。
重要事項説明は、物件のチラシだけではわからない条件を確認できる大切な機会になります。
長い説明が苦手な方のために、最重要の6つの項目をピックアップしました。
最低限これだけでも確認しておくと、契約後のトラブルを減らすことができるでしょう。不動産契約で重要事項説明を受ける際は、是非今回の記事を参考にしてみてください。