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賃貸借契約書の内容とは?注意すべきポイントと回避のコツを解説!

こないだ部屋借りたけど賃貸借契約書は読んでないな
来月退去するけど、違約金とかあるわけないよな…
内緒でペットを飼ってしまったが、、まぁなんとかなるよな

マンションやアパートの賃貸契約には付き物の賃貸借契約書。この書類にはどんな内容が書かれているのかご存知ですか?
賃貸借契約書は、賃貸契約の際の契約内容を記した重要書類で、物件を借りる予定がある場合、あらかじめ内容を知っておきたいところです。

でも、よく目を通していない方が実際のところ大半で、いざという時に困ってしまうこともあります。
退去の際、揉めることがないように今からでも目を通しておいてみましょう!

今回は賃貸借契約書と、後半ではトラブルを防ぐために注意すべきポイントを紹介しますね。
特に、これから賃貸契約を控えている方、入居前にトラブルの対策をしたい方には特におすすめの内容ですので、ぜひ読み込んでみてください!

賃貸借契約書とはどんな書類なのか

そもそも、賃貸借契約書とは何のための書類なのでしょうか。ここでは賃貸借契約書の概要と、契約時の手続きに関する疑問にお答えしていきます。

  1. 賃貸契約の条件を書面に起こしたもの
  2. 賃貸借契約書にサインするタイミング
  3. 賃貸借契約書に印紙は必要か

以上の順に見ていきましょう!

賃貸契約の条件を書面に起こしたもの

賃貸借契約書は、賃貸契約を結ぶ際の契約条件を書面にまとめたものになります。

物件を借りるときの約束を明記しておき、内容を確認の上で当事者がサインします。これによって契約後トラブルに発展した際、解決するための指標として利用できますし、賃貸借契約書で取り決める内容は多岐に渡ります。例えば以下のようなものが一例です。

  • 家賃や敷金など金銭の関する内容
  • 居住中の物件の管理に関する内容
  • 契約の解除の条件

賃貸借契約書の各項目については後ほど詳しく説明します。そちらも参考にしてくださいね。

賃貸借契約書にサインするタイミング

賃貸借契約書にサインするのは、一般的には入居前です。賃貸住宅の場合、物件選びから入居までは概ね以下のような順になります。

  1. 物件選び
  2. 内見
  3. 申し込み
  4. 審査(家賃保証会社の審査含む)
  5. 重要事項説明
  6. 契約
  7. 入居

賃貸借契約書へのサインは不動産屋で行われますが、新型コロナが流行ってから郵送での手続きやり取りすることも増えてきました。

賃貸借契約書に印紙は必要か

マンションやアパートの賃貸借契約書には、基本的に印紙は必要ありません。印紙税が非課税になる書類の一種だからです。

そもそも印紙税とは、経済取引の契約書にかかる税金のこと。印紙税の支払いは収入印紙の購入によって行います。課税対象の契約書に印紙を貼付し、消印を押すことで支払いの証明とするものです。
印紙税は全ての契約書に対して課税されるものではありません。マンションやアパートの賃貸借契約書は非課税の書類に該当します。そのため印紙は必要ありません。

なお、、、土地付きの建物の賃貸借契約書は課税対象です。この場合は収入印紙が必要なので注意してください。

賃貸借契約書の主な内容

賃貸借契約書の内容は案件ごとに異なります。ここでは、ほとんどのケースに登場する代表的な項目を説明します。

  1. 対象の物件と付属施設の確認
  2. 契約期間
  3. 賃料・敷金について
  4. 契約の当事者について
  5. 反社会勢力でないことの確約
  6. 居住者の管理義務
  7. 居住中の修繕について
  8. 契約の解除・明け渡し
  9. 居住者の通知義務
  10. 延滞損害金について
  11. 機関保証について
  12. 原状回復の条件

それぞれ詳細な中身を順番に解説していきます。

対象の物件と付属施設の確認

契約対象の物件とその所在地、附属施設の内容が記される項目です。自分が選んだ物件に間違いないかどうか確認を行います。

附属施設とは、部屋以外でセットになっている屋外施設を指します。具体的には

・駐車場
・庭(専用庭)
・専用物置(トランクルーム)

などが該当しますね。

契約期間

いつからいつまでの契約なのかを記す項目です。別途借主への引き渡し日を定める場合、合わせて記載されることもあります。

賃料・敷金について

家賃・管理費・共益費といった月ごとの費用と、敷金・礼金など入居時の費用をまとめた項目です。契約時は事前の説明と相違がないか、必ず確認するようにしましょう。

契約の当事者について

誰と誰の契約なのかを記す項目です。一般的な賃貸借契約では、借主・貸主・仲介業者・保証会社・保証人の名前が記載されます。

反社会勢力でないことの確約

いわゆる暴力団など、反社会勢力ではないことを約束する項目です。

居住者の管理義務

入居中の物件の管理に関する項目です。管理といっても特別なことではなく、以下のような内容が該当します。

  • 火災に十分注意して生活する
  • むやみに物件を傷つけない
  • 鍵の管理を徹底する

鍵は紛失すると居住者の負担で交換する場合もあります。注意してください。

居住中の修繕について

居住者が物件を使用するために必要な設備のメンテナンスについて定めた項目です。

  • 入居者が壊した場合を除き貸主が設備を修繕する義務
  • 修繕に対する借主の協力義務

などが定められています。ここで言う修繕とは、ふすまの張替えや電球の交換、エアコンの故障など設備の不具合全般を指します。

契約の解除・明け渡し

賃貸借契約を解除する場合の取り決めです。借主の落ち度によって契約を解除されるケースと、借主の希望によって契約解除となるケースがあります。

借主の落ち度によって解除する場合とは、例えばこんな場合です。

  • 賃料を払わない(債務不履行)
  • 無断で第三者に転貸(又貸し)した
  • 居住用の物件を事務所として使用した
  • 虚偽の内容で契約した

こういった場合は貸主が一方的に契約を解除できるとする場合が多いです。

借主からの申し入れで契約を解除する場合は、その条件を詳しく記載されます。一般的には住居であれば退去の1ヶ月に連絡するよう定められていることが多いです。

居住者の通知義務

賃貸借契約書に記載した内容が変更された場合の居住者から貸主への通知義務を記している項目です。

  • 居住者の増加(出産・親との同居など)
  • 緊急連絡先の変更
  • 連帯保証人の死亡や倒産

このような内容が該当します。長期間居住していて事情が変わった場合は、不動産会社、もしくは家主への連絡が必要です。

延滞損害金について

家賃の滞納など、貸主への支払いが遅延した場合の損害金を定める項目です。一般的には、支払額の○%という形で利息を設定しておきます。

機関保証について

機関保証に関する取り決めです。機関保証とは、借主が家賃を支払えない場合に備え、保証会社が家賃の支払いを担保することを指します。この項目では、利用する保証会社の名前と、機関保証に関する手続きの履行義務が定められています。

原状回復の条件

居住中の物件の損傷・消耗の修繕に関する取り決めです。退去時に借主がどの程度費用を負担するのかを定めます。
原状回復は、物件から退去する際最もトラブルになりやすい項目です。しっかりとチェックするようにしましょう。

重要事項説明書との違い

賃貸借契約書の他に、重要事項説明書という書類を聞いたことはないでしょうか。ここでは、重要事項説明書と賃貸借契約書の違いを説明していきます。

重要事項説明書は、業者が重要事項説明の際に使用する書面

重要事項説明書とは、宅建士が契約条件の重要事項をまとめた書類です。

賃貸借契約では、契約の締結前に借主に対して重要事項を説明する必要があります。これは仲介業者に法律で義務付けられており、宅地建物取引士による口頭での説明が必要です。
この口頭説明の際に使用する書類が重要事項説明書

宅建士は各項目を順に説明し、終了後に借主のサインをもらうことで、説明義務を履行します。重要事項説明書は、いわば重要事項の説明と、口頭説明の証明のために作成される書類です。契約条件をまとめた賃貸借契約書とは意味が異なります。

賃貸の重要事項説明は契約締結の直前に行うことが多い

賃貸の場合、一般的に重要事項説明は契約締結の直前に行います。仲介業者の事務所で契約を締結する場合、重要事項説明が終わった後に契約書にサインするのが一般的です。

一方、コロナ禍になってからオンラインで行うことも当たり前となってきました。契約締結を郵送で行う場合は流れが異なります。まずはオンラインで重要事項説明を受け、契約書は後日押印して返送になることもあります。

賃貸借契約書で特に注意したいポイント

賃貸借契約書の内容は多岐に渡ります。全て熟読できれば良いのですが、相当な長さなので骨が折れるといったところが正直なところです。。

ここでは、賃貸借契約書を見る上で最低限抑えておきたい要注意ポイントをまとめました。

一つずつご紹介するので読んでみてください。

敷金・礼金の取り扱い

敷金・礼金の取り扱いは最重要項目の一つです。

敷金とは、家賃の滞納や借主の過失による物件の損傷に対する保証金です。何も問題なければ通常は全額返金されます。一方、礼金は貸主に対して契約のお礼として支払います。礼金は原則返還されません

入居時に支払う敷金・礼金の金額と、どんな場合に敷金を使うかは必ずチェックするようにしましょう。
中には、退去時のハウスクリーニングや防虫施工に敷金を使用すると記載があることも。

敷金は、物件を通常使用していれば退去時に返還される費用です。取り扱いに納得いかない場合は詳細を説明してもらいましょう。

設備破損時の修繕負担

入居中に設備が故障した際、きちんと直してもらえるかは必ず確認してください。

物件の付属設備は、借主が原因で壊れた場合を除き、貸主負担で修理するのが一般的。問題は、壊れた設備が前の住人の置き土産だった場合です。場合によっては「エアコンは前の人がつけた物なので自分で修理して下さい」と言われてしまうでしょう。

エアコンはあまり例がないですが、特に多いのはガスコンロです。契約書内の設備にガスコンロがない場合は、置き土産の可能性が高く、その場合は家主が面倒を見てくれることはありません。

  • 全ての設備が物件の付属物であること
  • 修理対応してもらえること

この2点を契約前に確認して下さい。
上のようなガスコンロがあった場合でも、基本的には不動産屋のほうから、このガスコンロどうしますか?いらないなら撤去しておきますけど、、なんて入居前に確認が入ります。

退去時の手続き

退去時にどんな手続きが必要になるのかは、契約前に確認が必要です。

  • 退去の連絡は何日前にすれば良いか
  • 月半ばの退去の場合家賃の日割り計算は可能か

この2点は特に注意が必要です。

急な退去の場合は、1~6ヶ月(主に事業用)の違約金が取られることが一般的です。

家賃を日割り計算できない場合、早めに連絡して退去日を調整する必要があります。柔軟な不動産会社では日割に対応しますが、そうでない場合でうっかり月の初めに退去すると、ほとんど住んでいないのに家賃を1か月分払わなければいけません。

引越しのタイミングで慌てないためにも、引き渡しの流れは確認しておきましょう。

早期退去の違約金の有無

敷金礼金ゼロ円物件で見かけるのが、早期退去で違約金が発生するケースです。半年以内の契約解除で○万円、などと定められている場合があります。
家賃半額キャンペーン!などで入居した際もよくある話です。

入居してすぐに引越しの予定がある方は少ないと思います。しかし何があるか分からないので、こちらも契約前に確認しておくようにしましょう。
気を付けないと不動産屋によっては、ものすごい額を要求してくることもあります。

入居時・退去時の費用負担

入居時・退去時に、家賃以外に費用負担が発生するケースがあります。代表的なのがハウスクリー二ングや鍵の交換代、害虫駆除費用などです。

  • 何にどのくらいかかるのか
  • 借主に支払い義務がある費用なのか

契約前に、最低限これだけは確認しておきましょう。

入居者に非がないよくある例を一つ紹介します
入居中にスズメバチの巣がバルコニーに出来たことが分かったため不動産屋に連絡した → 借主負担で駆除(貸主には責任がないからあなたがやってと言われるのが普通)
バルコニーにスズメバチの巣があることを把握していたが退去時までだまっていた → 家主負担で駆除(知らんかったといえばそれまでだが、厳密に言うと善管注意義務に違反する)

通常本来はこうなりますが、シロアリに対しても同じことが言えるのか?と考えると、実際はスズメバチの駆除も家主負担で行うのが一般的です。

中には、ハウスクリーニングや鍵交換の費用を、入居時・退去時で二重請求される場合もあります。もちろん一部の悪徳不動産業者に限った話ですが、こういった費用の負担は念入りに確認しましょう。

賃貸契約のトラブルを回避する4つのコツ

悪徳な不動産屋は思っているよりも多く、賃貸契約のトラブルは非常に厄介なもの。
特に原状回復にまつわる揉め事は多く、2022年にはおよそ12,000件の相談が消費者センターに寄せられているそうです。

できれば遭遇したくない賃貸契約のトラブル。実は、工夫次第である程度リスクを軽減できます。

ここでは、賃貸契約のトラブルを回避する4つのコツを、以下の順に紹介します。

  1. 退去時は必ず業者に立ち会ってもらう
  2. 入居時の部屋の写真を撮影しておく
  3. 原状回復のためのガイドラインを契約前に確認しておく
  4. 原状回復費用の請求がきたら見積書をもらう

一つずつ詳細を見てみましょう。

ちなみに、まともな不動産屋の立ち合いであれば、年間を通じても通報はゼロが普通で、10年やっていて裁判1本、不動産協会の仲介1本なんてのが通常です。

退去時は必ず業者に立ち会ってもらう

物件から退去する際、必ず業者の立会いのもとで部屋をチェックしてもらうようにしましょう!

物件によっては借主の立会いなしで修繕費用を清算する場合もあります。しかし、以前からの損傷や、貸主負担の自然損耗まで費用を請求される可能性があり危険です。退去の際は、一部屋ずつ業者に確認してもらい、納得の上で書面にサインしてください。

万が一トラブルになった場合に備え、訪問担当者の名刺をもらっておくのもおすすめです。

入居時の部屋の写真を撮影しておく

入居時から部屋にあったキズや汚れは入居時のチェックシート(無いところもある)に記入していれば退去時に請求されることはないでしょうが、荷物を入れる前に写真を撮っておくようにしましょう。

お部屋のキズや汚れは、管理会社も把握していないことがあります。自分がつけたキズではなくても、誤って退去時に費用を請求されるかもしれません。こんな場合に入居時の写真は証拠になります。

チェックシートがなかった場合、入居時から存在する損傷については、入居から間もない早い時期に管理会社に報告しておくと安心です。

原状回復のためのガイドラインを契約前に確認しておく

賃貸物件の原状回復には、国土交通省の発行しているガイドラインがあります。契約前に目を通しておき、契約書に不審な点があった場合は説明を求めましょう。

このガイドラインには、退去時の原状回復に関する様々な基準が記載されています。

  • どんな場合に借主の負担になるのか
  • 貸主負担の自然損耗とはどの程度のものなのか
  • 傷をつけてしまった場合、どこまでを借主が負担すべきか

こういった内容がまとめられています。契約前に読んでおくのがおすすめです。

とはいうものの、この話を持ち出した時が一番揉める原因になります。
なぜだ!?ガイドラインにはこうやって書いてあった!と感情的になれば、立ち合い担当者も感情的になることが多々あります。

この場合は感情的にならずに、少しでも非があると感じるところがあれば妥協することも大切です。でないと、我々、不動産会社も折れるに折れなくなります。

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…

原状回復費用の請求がきたら見積書をもらう

入居中に部屋を傷つけてしまい、原状回復費用を請求された場合、請求書だけでなく見積もり書を出してもらうようにしましょう。

原状回復でトラブルになっているケースでは、軽微なキズや汚れで数十万円請求されることがあります
かなり悪質な不動産会社と言える可能性も高いですが、実際には1個10万円という部品(分譲マンションなどによくある玄関ドアのハンドルなど)もあるということも事実です。

そのため、まずは見積書を見せてもらい、妥当な金額かどうかの判断が必要です。

見積書は、合計金額だけでなく内訳の書かれているものをもらうようにしましょう。クロス(壁紙)であれば、1平方メートル当たりいくらで、どのくらい張り替えるかまで分かるものです。

こうすることで、修繕の範囲や金額が妥当かどうかを明確にできます。内容に納得できなければ、国交相のガイドラインを武器に管理会社と交渉してみてください。

もう一度おさらい

今回は、賃貸借契約書の内容、賃貸契約のトラブルについてお話しました。

入居してから、そして退去する時に「こんなはずではなかった!」とならないためにも、契約内容はしっかりと確認するようにしましょう!
契約締結前に、重要事項説明で契約内容の重要部分を説明してくれます。分からない点や難しいところがあれば、遠慮なく質問してください。
特に敷金を始めとした諸費用は、後々トラブルになることが多い項目です。説明を受けても納得できないことがあれば、契約を断ることを視野に入れても良いでしょう。

賃貸借契約の締結を控えている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。重要事項をあらかじめ確認し、快適な新生活を送りましょうね!

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