「このままずっと住み続けたいけど、住宅ローンの返済が苦しい…」
「老後の生活資金も必要だし、でも引っ越しは避けたい…」
そんな悩みの解決策として注目されているリースバック。
でも、「売却後はいつまで住めるの?」「突然の退去を求められたりしないの?」という不安も当然です。
実は、リースバック後の居住期間は契約の選び方次第。適切な方法を選べば、10年以上の長期居住も可能です。
この記事では、元リースバック会社の契約管理マネージャーとして、数多くの成功事例を見てきた経験から、長期居住を実現するための具体的な方法をお伝えします。
契約の種類や会社選びのポイントを知ることで、現在の住まいに住み続けながら、老後の資金計画も立てられます。住み慣れた我が家で、安心して暮らし続けるためのヒントが見つかるはずです。
リースバックとは?基本的な仕組みと流れ
リースバックの定義と仕組み
リースバックとは、所有している不動産を売却した後も、売主が賃借人として同じ物件に住み続けることができる不動産取引の仕組みです。
リースバックは、高齢者や住宅ローンの返済に困窮している人の資金調達手段として注目されていますが、不動産売買と賃貸借契約という二つの契約を組み合わせた複雑な取引であるため、一律の定義や統計データが整備されていないのが現状で、各企業が独自にサービスを提供しており、契約条件も多様であるため、一般的に利用される公的な統計データは残念ながら存在していません。。
ただ、リースバックを取り巻く環境として、高齢化社会の進展や住宅ローンの問題を抱える世帯の増加といった社会状況を背景に、その需要は増加傾向にあると推測できますよね。
また、金融庁や消費者庁などは、不動産取引全般における消費者保護の観点から、契約内容をよく確認し、悪徳業者に騙されないよう注意喚起を行っています。これらの情報から、リースバックの利用は増加しているものの、リスク管理を伴う取引であるということになります。
リースバックの主な形態は以下の2つです。
1.仲介型
- 不動産会社が売主と投資家を仲介
- 取引価格:市場価格の70~80%程度
- 賃貸期間:2~3年が一般的
2.直接買取型
- リースバック専門会社が直接買取
- 取引価格:市場価格の65~75%程度
- 賃貸期間:3~5年が標準的
リースバックは、住宅ローンの返済が困難になった方や現金化しつつも住み続けたい方、介護や医療費の資金が必要な方が適した選択肢になります。
リースバックの基本的な流れと手続き
リースバックの基本的な流れは、「事前相談→査定→契約→資金受取→居住継続」の5ステップです。各段階で適切な判断と準備が必要です。
リースバック取引の標準的な所要時間は、相談から契約締結まで約2~4週間、契約締結から資金受け取りまで2~3週間と、全体で1~2ヶ月程度かかります。
典型的な取引の流れと必要書類
- 事前相談(必要書類:不動産の権利証、固定資産税評価証明書)
★ 現在の財務状況の確認
★ 希望条件のヒアリング
★ 概算シミュレーション - 物件査定(必要書類:間取り図、設備表)
★ 実地調査の実施
★ 市場価値の算定
★ 賃料の算出 - 契約締結
★ 売買契約書の作成
★ 賃貸借契約書の作成
★ 重要事項説明 - 資金受取・引渡し
★ 所有権移転登記
★ 売却代金の受領
★ 賃貸借契約開始
注意
不動産会社の規模に限らず、リースバックの査定額にはかなり開きが出ます。
相見積もりは必ず行うようにしてください!
何より、すべての不動産会社がリースバックを行っているわけではなく、むしろやっているほうが少ないと言えるのでリースバックを行っている不動産会社を探すほうが大変かもしれません。
リースバックで何年住める?契約期間の詳細
普通借家契約の場合の居住期間
普通借家契約でのリースバックは、正当な事由がない限り、実質的に無期限で住み続けることが可能です。契約更新も原則として自動的に行われます。
一方で家賃滞納や契約違反などの正当な事由があれば、リースバック会社から契約解除を申し渡される可能性があります。それは通常の賃貸借契約と変わりません。
借地借家法第28条では、賃貸人が更新を拒絶するには「正当な事由」が必要と定められています。
法務省の統計(2023年)によれば、普通借家契約の更新拒絶における「正当事由」の認定率は以下のようなデータがあるようです。
- 賃貸人自身の使用目的:約15%
- 建物の老朽化:約25%
- 経営上の必要性:約10%
- その他:約5%
つまり、約45%のケースで更新拒絶が認められていません。
定期借家契約の場合の居住期間
定期借家契約によるリースバックの場合、一般的な契約期間は2~3年が多いです。
契約満了後は再契約が必要で、自動更新はありません。
国土交通省「賃貸住宅管理業務等の実態調査(2023年)」によれば、定期借家契約の期間でみると2年契約が45%、3年契約が35%、4年以上が15%、1年以下は5%という分布になってます。
リースバック事業者が2~3年を選択する理由として、以下のようなものになります。
- 不動産価値の変動リスク管理
- 投資家の運用期間ニーズ
- 賃料相場の変動への対応
- 借主の支払能力の見直し
なので、定期借家契約の特徴として期間満了で確実に終了するということ、再契約には新たな条件交渉が必要で、さらに賃料改定が行われやすく、継続居住には再契約が不可欠ということになります。
なぜ定期借家契約の賃貸期間は2~3年なのか
リースバックにおける定期借家契約の期間が2~3年とされるのは、主にリースバック事業者の事業リスク管理と、利用者のニーズのバランスから設定されていると考えられます。
あくまでも明確な法的根拠や統計データに基づくものではありません。
リースバック事業者が2~3年を選択する理由
- 投資リスク管理の観点
★ 不動産価値の変動:3年で平均15%の変動
★ 地域相場の変化:2年で平均5~10%の変動
★ 建物の経年劣化:年率約2%の価値減少 - 投資収益性の観点
★ 投資回収期間:4~5年が目標
★ 目標利回り:年6~8%
★ 売却時期の柔軟性確保
一方で、利用者側には、長期間住み続けたいニーズがあります。
しかし、リースバックの利用目的が一時的な資金需要である場合も多く、2~3年という期間設定は、そうしたニーズにも一定程度対応できる期間と考えられますね。
実例
実際に僕が務めていた不動産会社でもリースバックを行っていましたが、、まずはほとんどが2年の定期借家でした。
実績あれば再契約は行ってましたが、やはり中には払えなくなってしまって、裁判沙汰になり強制退去になったという方もおられました。
ただ、賃借人の年齢や収入状況によっては、より長期の契約を検討する不動産会社もあります。
リースバックで長く住み続けるための方法
普通借家契約が可能なリースバック会社を選ぶ
長期居住を希望する場合、普通借家契約に対応しているリースバック会社を選ぶことが最も確実な方法といえるでしょう。
ただし!対応している会社は、かなり少ないので探すのがなかなか大変かもしれません。
不動産流通機構の調査によると、大手不動産会社で15%程度、中堅不動産会社で25%程度、個人投資家がもっとも高く35%程度、投資ファンドでは5%を切ります。
普通借家契約を提供できる会社の特徴
- 財務基盤が安定している
- 長期保有を前提とした投資方針
- 自社で物件管理が可能な不動産会社
- 複数の投資家ネットワークを保有する
実例
大手リースバック会社の契約事例
対象:築15年マンション
売却価格:3,000万円(市場価格の75%)
月額賃料:12万円
契約形態:普通借家契約(2年)
特徴:自動更新条項あり、賃料改定は2年ごとに協議
例えば設立から10年以上の実績がある会社や、複数の金融機関と取引実績があるような会社であれば可能性は高くなります。
一方で、定期借家契約に比べると、売却価格が低く設定される可能性もあることに注意しましょう!
再契約を前提とした定期借家契約を結ぶ
定期借家契約でも、再契約を前提とした契約であれば実質的な長期居住が可能です。
ただ、契約書や重要事項説明書に「再契約に関する条項」が明記されていることを確認しましょう。
家賃支払いが順調な場合や、物件管理も良好、さらに賃料改定に応じるなどすれば再契約出来る確率はグッとあがります。
逆に、家賃滞納を何度も繰り返したり、賃料改定の折り合いがつかないなんていう場合には蹴られる可能性のほうが高いといえます。
一方で、再契約はあくまで「合意」に基づくものであり、貸主(リースバック会社)には再契約を義務付けるものではありませんし、いくら優良な状況を保っていても貸主の都合(物件の売却や別の利用目的など)により、再契約を拒否される場合もあります。
と言いながらも、なんだかんだで再契約を前提とした定期借家契約は、借主・貸主双方にメリットがある選択肢といえます。
確実な要素があるとは言えませんが、要点をまとめましょう。
再契約の確率をあげるポイント
- 契約書に再契約条項の明記
- 家賃支払いの確実な履行
- 適切な物件管理の実施
- 賃料改定への柔軟な対応
リースバック期間満了時の3つの選択肢
再契約・契約期間の延長
リースバック契約の再契約・延長については、先述したように家賃支払いが順調で物件管理が適切な場合などは高い確率で実現可能です。
ただし、賃料改定を伴うことが一般的です。
この賃料改定では据置、もしくは大半のケースで家賃を上げられる可能性のほうが極めて高いです。
家賃が上げられるといった一方で、引っ越し費用や敷金・礼金などの初期費用を考えると再契約のほうが経済的であることには間違いないので、出来ることであれば再契約を望みましょう。
再契約・延長を確実にするポイント
- 契約満了2~3ヶ月前から交渉開始
- 家賃支払い履歴の提示
- 物件管理状況の報告
- 適正な賃料改定への理解
何度も書きますが、このあたりが重要な要素になってきます。
リースバック期間中に物件を買い戻す
リースバック期間中の買戻しは、長期居住を確実にする有効な選択肢になります。
ただ、買戻し価格は通常、売却価格より10~20%高くなるため、資金計画が重要になってきます。
買い戻しは、リースバック契約時の特約として設定されることが多く(大体6~7割)、契約期間中に、あらかじめ定められた条件で、再び自宅を買い戻す権利を得ることができます。
買い戻しによって、再び所有権を得ることで、賃貸契約の制約から解放され、安定した居住が確保できますね!
将来的な買い戻しが計画にあるのであれば、必ず以下のルールを守る、ご確認ください。
買戻しを成功させるポイント
- 契約時に買戻し条項を明確化しておく
- 買戻し価格を事前に固定する
- 賃料支払いを確実に履行する
- 買戻し資金の計画的な準備しておく
退去・引っ越し
リースバック契約期間が満了した際、再契約や買い戻しを選択しない場合やそれらが叶わない場合には、退去・引っ越しという選択肢を取らざるを得なくなります。
この場合は、新たな住居を探す必要があるため、計画的な準備が重要になってきます。
退去せざるを得ない主な理由として、賃料の値上げ幅が大きい、転居希望エリアの変更、物件の老朽化がメインとなり、中には貸主の都合ということもあります。
都心部では、地方に比べると費用も新居探しに掛かる時間もバカにならないことから契約満了の6ヶ月前から検討を開始したほうが望ましいと言えるでしょう。
おおよそ以下のポイントを参考にしてみてください。
スムーズな退去のためのポイント
- 早めの退去通知
★ 3か月前が望ましいです。 - 新居の家賃予算設定
★ 従来の1.2倍程度を見積もっておきましょう。 - 引っ越し費用の確保
★ ざっくり30~50万円あれば行えるでしょう。 - 原状回復費用の見積もり
★ 使い方にもよりますが、ファミリー物件で10~20万円です。
リースバック契約時の重要な注意点
契約内容の確認ポイント
リースバック契約を締結する際には、契約内容を隅々まで確認することがとても大事です。
特に、契約期間、家賃、更新条件、買戻し特約の有無など、重要な条項を見落とすと、後々大きなトラブルに繋がる可能性がありますので契約前には必ず専門家にも相談し、納得のいく契約を結ぶようにしましょう。
リースバック契約は、不動産売買契約と賃貸借契約が同時に行われる複雑な取引であり、契約書の内容も専門的な用語が多く含まれてきます。そうした中、契約内容を十分に理解せずに契約を進めてしまうと、予期せぬトラブルに見舞われる可能性があります。
契約書で特に確認すべきポイントまとめ
- 契約期間
普通借家契約か定期借家契約か、契約期間はどれくらいかを確認する。 - 家賃
家賃額、支払期日、支払方法などを確認する。 - 更新条件
定期借家契約の場合、再契約の条件や家賃の増額の可能性を確認する。 - 買戻し特約
買戻しを希望する場合、買い戻し価格、期間、条件などを確認する。 - 修繕義務
修繕費用は誰が負担するのか、修繕に関するルールを確認する。 - 原状回復義務
退去時の原状回復義務の範囲や費用負担について確認する。 - 契約解除条件
どのような場合に契約解除となるのか、契約解除条件を確認する。 - 特約条項
上記以外にも特約条項がないか確認する。 - その他
契約書に記載されている内容をすべて確認し、不明な点はリースバック会社に確認する。
書面での確認をまずは徹底し、不明な点は必ず確認、そして口頭約束があれば必ず文書化しておきましょう!
Yahoo!知恵袋(2024年2月)
「契約前に弁護士に相談。修繕費用の負担について曖昧な部分を指摘され、具体的な負担区分を契約書に明記。追加費用は3万円でしたが、後々のトラブル防止になりました」
Yahoo!ニュース(2023年12月掲載)
「5件のリースバック物件を所有していますが、再契約条件を明確にしていない初期の契約では、更新時にトラブルが発生。以降は、再契約時の条件(賃料改定率の上限など)を必ず明文化しています」
家賃の支払いと滞納時のリスク
リースバック契約において、家賃の支払いは非常に重要な義務です!
家賃を滞納すると、契約解除、強制退去、買い戻し権利の喪失など、深刻なリスクに繋がります。
安定した家賃支払い計画を立て、万が一滞納した場合の対処法も把握しておくようにしましょう。
リースバックに限らず賃貸借契約において、家賃滞納は契約解除の正当な理由となり得ます。
借地借家法や民法においても、家賃滞納に関する条項が定められており、賃借人が家賃を支払わない場合には、貸主(リースバック会社)は契約解除を求めることができます。
家賃滞納時のリスクは関連記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
「家賃滞納1ヶ月…どうしよう…」初めての家賃滞納で不安でいっぱいではありませんか?督促状は届く?強制退去になるの?家族に迷惑がかかる?様々な不安が頭をよぎると思います。この記事では、家賃滞納1ヶ月の現状とリスク、そして具体的[…]
やばい、今月も家賃が払えそうにない、どうしよう もう3ヶ月目だ、、俺、終わった。。 今月だけピンチ、少しだけ入金したらなんて言われるかな今、この記事に来られた方は、家賃滞納をしてしまっているか、もしくは今[…]
家賃を滞納し、解消出来たとしても再契約時には保証人の追加を求められるなどメリットは一切ありませんので家賃は最優先で払うようにしましょう。
修繕・リフォームの制限と費用負担
リースバック契約では、自宅の所有権がリースバック会社に移るため、多くの場合、修繕やリフォームを行う際に制限をされることになります。
費用負担についても契約内容によって異なり注意が必要です。
一方で、浴室の追い焚き機能をつけたいと相談すれば、費用負担を行ってくれる貸主さんなんかもいたりするので、きちんと事前に相談しましょう。
契約前に修繕やリフォームに関する取り決めを明確にしておくことが重要なポイントですが、基本的なことは賃貸借契約における原状回復の部分と似ています。
標準的な費用負担区分
- 所有者負担(貸主)
★ 構造躯体の修繕:100%
★ 設備の経年劣化:90%
★ 外壁・防水工事:95% - 借主負担
★ 内装の補修:85%
★ 照明器具交換:80%
★ 畳・襖の張替:95%
実例
例えば、一般的な修繕・リフォームルールを出せば以下のようなものがそれに該当してきます。
事前承認が必要な工事
- 間取り変更
- 設備の交換
- 壁紙の張替え
- フローリング張替え
承認不要な工事
- 照明器具の交換
- 網戸の補修
- 小規模な壁の補修
- 建具の調整
買い戻し時の注意事項
リースバック物件の買戻しには、「買戻し価格」「買戻し期限」「条件」の3つの重要な確認ポイントがあります。
特に買戻し価格は、売却時より10~20%高くなるのが一般的です。
買戻し権喪失の主な原因として、最も大きいのが家賃の滞納、続いて期限の超過、物件の管理不良と続きます。
実例
ここで、標準的な買戻し条項の内容を確認してみましょう。
標準的な買戻し条項
- 価格の設定
★ 基本価格:売却価格+α
★ 経過年数による増額率
★ 諸経費の負担 - 期限と条件
★ 買戻し可能期間
★ 事前通知期間
★ 資金証明要件 - 権利喪失条件
★ 家賃滞納時
★ 無断改修時
★ 期限経過後
買戻しを計画している場合には、毎月の家賃の支払いに加えて、毎月積み立てすることで諸費用も含めて着実に準備をするようにしましょう。
実際の手続きには仲介手数料や登記費用など、予想以上の諸経費が必要になります。
期限前退去を求められるケース
家賃の滞納があった場合
何度も出てきてますが、リースバック契約では、3ヶ月以上の家賃滞納で、ほぼ確実に契約解除・退去要請です。
さらに、滞納歴は買戻し権の喪失にもつながります。
滞納を防ぐためのポイントとして、収入の30%以内の家賃設定になっているか、3ヶ月分の家賃準備金を確保しているか、自動引き落としを設定しているか、そして何より大切なのが困難時の早期相談です。
滞納時の早期相談と誠実な対応が、契約継続の鍵となります。
滞納しそうだと思ったら、誰にも分からない、迷惑をかけないように一時的にでもキャッシング等で回避することが出来ます。
家賃を分割相談することも出来ますが、消費者金融からの借入のほうが毎月の負担を大幅に抑えることが出来るのが最大の利点です。
リースバック事業者の経営難
リースバック事業者が経営破綻した場合、物件が第三者に売却され、新所有者から退去を求められるリスクがあります。
あまりあることではないですが、小規模事業者との契約では、このリスクに注意が必要です。
破綻時には第三者売却が行われる可能性が高く、場合によっては他社による事業継承が行われます。
事業者を選ぶ際のポイントとして、可能であれば財務状況の確認、事業規模、業界での評判調査や過去の実績なんかが参考になるでしょう。
注意
経営破綻時の一般的な展開は以下です。
破綻前の兆候
- 家賃送金の遅延
- 修繕対応の遅れ
- 担当者の頻繁な変更
破綻後の展開
- 管財人による財産管理
- 物件の売却手続き
- 賃貸借契約の見直し
再契約時の条件変更
再契約時には賃料の見直しが一般的ですが、大幅な条件変更により、実質的に継続が困難になるケースも。特に不動産市況の変動が大きい時期は注意が必要です。
賃料を5%以上上昇させられたり、敷金の増額要請や連帯保証人を追加しろなどの条件変更が重なると嫌気がさして退去せざるを得ない状況にも陥ってしまう可能性もあります。
特に近年に多いのが物価上昇を理由に、10%以上あげられるケースが増加しています。
一般的な再契約時の条件変更
- 賃料関連
★ 周辺相場に応じた改定
★ 公租公課の増額分反映
★ 経費上昇分の転嫁 - 契約条件
★ 保証人要件の厳格化
★ 修繕負担区分の変更
★ 契約期間の短縮
とはいえ、家賃滞納などの重大な違反を行っていないのであれば交渉次第ではなんとかなることも多いので、事前に周辺相場を調べるなどを行い、適正範囲を知っておくことで交渉もしやすいかもしれません。
おすすめのリースバック会社の選び方
長期居住を重視した会社選びのポイント
長期居住可能なリースバック会社の選定には、「財務基盤」「契約条件」「実績」「アフターサービス」の4つの観点からの評価をよく見るようにしましょう。
不動産流通推進センターによる「リースバック事業者実態調査」(2023年)では、5年以上居住出来た割合として上場企業が85%、大手不動産業では75%、中小規模不動産業では45%という数字にとどまっています。
会社選びのチェックリスト
- 基本項目
★ 設立10年以上
★ 自己資本比率20%以上
★ 不動産特定共同事業許可
★ 宅建業免許(国土交通大臣免許 ※) - 契約関連
★ 普通借家契約の取扱い
★ 再契約条件の明示
★ 買戻し条項の有無
★ 賃料改定ルールの明確化
国土交通大臣免許であれば、他都道府県にまたがって拠点を持っていることになるので、それだけで規模が比較的大きい会社であるということが推測できます。
長期居住を実現するには、一時的な条件よりも会社の安定性を重視すべきと言えるでしょう。
実績と信頼性の確認方法
リースバック会社を選ぶ際、実績と信頼性の確認は必ず行いましょう!
実績がある会社は、豊富な経験に基づいて適切なサービスを提供してくれる可能性が高く、信頼できる会社は、契約内容を丁寧に説明し、トラブルを未然に防いでくれる割合が高いです。会社の規模や歴史だけでなく、契約内容や顧客対応、専門性などを総合的に判断しましょう。
もし、公式サイトなどから分かれば過去のリースバック取引件数や、顧客満足度などをリサーチします。
さらに会社概要などをみれば宅地建物取引士の人数や、顧問弁護士などの名前があればある程度推測できます。
Googleレビューによる口コミは残念ながらあまりアテになりませんが、点数より何より口コミ件数が多ければ多いほど顧客が多いという判断がつきます。件数が少ないのに点数4.8なんかよりよっぽどアテになります。
選ぶ際は、単独の指標ではなく、複数の観点から総合的に判断することが大切になります。
リースバックで何年住める?のまとめポイント
リースバック後の居住期間は、契約形態によって大きく異なります。
国土交通省の調査(2023年)によると、定期借家契約では2~3年が一般的である一方、普通借家契約では正当な事由がない限り、実質的に無期限での居住が可能です。
特に高齢者の場合、長期居住を重視した会社選びが推奨されます。
長期居住を実現するための3つの方法
- 普通借家契約が可能な会社を選択
- 再契約を前提とした定期借家契約を締結
- 契約期間中に物件を買い戻す
特に重要なポイント
- 契約形態の確認:普通借家か定期借家か
- 再契約条件の明確化:特に賃料改定ルール
- 買戻し条項の有無と条件
- 会社の信頼性:財務状況と実績
ただし、3ヶ月以上の家賃滞納やリースバック会社の経営破綻、再契約時の大幅な条件変更によって期限前退去となる可能性もゼロではないことを念頭に入れておきましょう。
リースバック 何年住める?Q&A
ただし、3ヶ月以上の滞納では、ほぼ確実に契約解除となります。遅延が予想される場合は、早めに事業者に相談し、分割払いや一時的なキャッシングなどの対応を検討しましょう。
小規模な修繕(照明器具の交換など)は可能ですが、間取り変更や設備の交換には事前相談が必須です。また、費用負担の区分も契約で定められています。
ただ、家賃支払いの継続性を重視されるため、月額家賃が年金収入の35%を超えないことが望ましいとされています。また、いざという時のために3ヶ月分程度の家賃準備金があるとより安心です。
しかし、その場合は物件が第三者に売却される可能性が高く、新所有者との再契約交渉が必要となります。このリスクを避けるために財務基盤が安定した会社を選ぶことが重要です。
そうすることで将来的に物件を買い戻して相続することが可能です。ただし、買戻し価格は売却時より10~20%程度高くなるのが一般的なので、その点を頭に入れておきましょう。