「融資実行後だけど、住宅ローンが取り消されるかもしれない…」
そんな不安で眠れない夜を過ごしていませんか?安心してください。
あず大前提として、融資実行後に銀行から一方的に契約が取り消されるリスクは限りなくゼロに近いです。
本記事では、融資実行前と後で何が違うのか、どんな場合にリスクがあるのか、そして転職や新たな借入を考えている方が安全に行動するための具体策を解説します。
住宅購入という人生の一大プロジェクトを不安なく進めるための確かな知識を手に入れ、晴れて「マイホームオーナー」への道を歩みましょう。
住宅ローンの融資実行から取り消しまでの基本知識
住宅ローン事前審査から融資実行までの流れ
住宅ローンの流れは「事前審査(仮審査ともいう)→本審査→(ローン契約)→融資実行」の3段階で進み、各段階で必要書類や確認事項が異なります。
融資実行までには通常で1~2ヶ月程度かかり、この間に申込者の状況に変化がないことが前提となっています。
住宅ローン利用者の約92%が事前審査(仮審査)を利用しており、本審査から融資実行までの平均期間は約40日となっています。この期間は物件の種類や金融機関によって異なり、新築マンションの場合は竣工までの期間が長くなることがあります。
融資実行は早めることは出来る?
よほど買い急ぐから!といっても融資実行を早めることは基本的には出来ませんが、なんやんかんやで融通を聞かせてくれることも実際にはあります。
その場合でも個人でお願いしても難しく、不動産屋さんと銀行の付き合いによって大きく結果が変わるので不動産屋の担当営業から銀行に当たってもらうのが良いでしょう。
ただし、不動産屋さんが普段付き合いのない遠い地方銀行や楽天、イオン銀行などの場合は難しいです。
住宅ローンの審査から融資実行までの流れはおおむね以下のような流れになります。
1. 事前審査(仮審査)
この事前審査の目的は、本審査前に借入可能額や条件を確認することです。
仮審査を受けるにあたって、本人確認書類や収入証明書(主として源泉徴収票)や勤務先情報が必要になり、期間は長くても1週間、平均すると2~3日で完了します。
年収や勤続年数、他社の借入状況などから返済能力が判断されますが、事前に購入を検討している物件の情報を銀行側に渡しておくと仮審査がOKであればほとんどのケースで本審査で審査可決します。
その一方で、金融ブラックであればこの時点で100%アウトになります。
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2. 本審査
タイミングとしては、不動産売買契約締結後に申請するのが一般的です。
この審査期間は通常であれば2週間~1ヶ月程度かかり、仮審査の内容に加えて、物件価値や担保評価もあわせて判断されます。
例えば、ここで違法建築であったことが分かればこの本審査を通貨することは出来ません。
本審査に必要な書類
- 事前審査時の書類一式
- 物件関連書類(売買契約書、重要事項説明書、登記簿謄本など)
- 頭金が証明出来るもの(預金通帳のコピーなど)
- 健康保険証
合わせて、売買契約に住宅ローン特約を設定するようにしましょう。
「ローン特約」は、不動産の売買契約において、購入者が住宅ローンを利用して物件を購入する際に設けられる特約条項のことです。主に住宅購入者が万が一ローン審査に通らなかった場合、契約を白紙撤回できるようにするための保護措置です。「住宅[…]
3. 融資実行
融資実行は本審査が可決し、契約、登記手続き(移転登記)完了時に即実行(つまり当日)されます。
ここでの融資実行先は売主(不動産販売会社含む)の口座へ直接送金されることや、契約者の口座へ送金するという二つのケースがありますが、後者の場合であっても事前に手続きを済ませ、契約者の口座へ振り込みがあったと同時に売主側に即支払うようになっていることが一般的です。
融資に合わせて、「金銭消費貸借契約」、「抵当権設定契約」の締結と、団体信用生命保険の加入手続きを行います。
住宅ローンの融資実行までは複数の審査段階と手続きがあり、申込者の状況や物件情報を詳細に確認した上で進められます。
この全プロセスを通じて「申込者の状況に変化がないこと」が大前提になっていて、特に本審査から融資実行までの間に転職や新たな借入れ増などの大きなマイナスの変化があると、審査結果が覆る可能性があります。
融資実行とは「お金を実際に貸し出す」段階であり、この時点で契約が完全に成立するため、それまでは細心の注意を払って変化を避けることが何よりも大切ということを頭に入れておいてください。
本審査可決後の融資実行取り消しは原則ない
まず、一つ安心しておいてほしいことは住宅ローンにおいて、本審査が正式に可決された後に金融機関側から融資実行を取り消すケースは原則としてありません。金融機関は当然に厳格な審査プロセスを経て融資可決の判断を下しており、一度承認した内容を覆すことは信用問題につながるからです。
そもそも金融機関が本審査可決後に融資実行を取り消すことは極めて稀である理由としては、以下の点が挙げられるでしょう。
1. 法的責任の観点
金融庁の「金融機関における与信取引に関する顧客説明態勢のあり方」によれば、金融機関には「契約の締結の拒絶の場合の説明」義務があり、一度承認した融資を取り消す場合は、その合理的理由を説明する必要があります。合理的理由なく取り消した場合、銀行だろうと信用金庫だろうとその金融機関に対して損害賠償責任が生じます。
2. 金融機関の信用リスク
全国銀行協会の調査によれば、融資承認後の取り消しは金融機関の信用問題に直結するため、99%以上のケースで融資承認後は予定通り実行されているという報告があります。
3. 審査プロセスの厳格性
金融機関は融資承認前に以下の項目を厳格に審査しています。
- 返済能力(年収、勤続年数、他の借入状況)
- 担保評価(物件価値、立地条件)
- 信用情報(個人信用情報機関の情報)
- 資金計画の妥当性
これらを総合的に判断した上での可決であるため、覆る可能性は極めて低いです。
ここからは、実際に取り消される可能性のあるケースを深堀りしていきましょう。
融資実行が取り消しになるケース
申込者本人の大きな変化
住宅ローンの本審査可決後であっても、融資実行までの間に申込者本人に「大きな変化」が生じた場合、融資が取り消しになる可能性が実際にはあります。
具体的には、健康状態の著しい悪化、婚姻関係の変化、刑事事件への関与など、返済能力や信用状況に重大な影響を及ぼす変化がそれに該当します。
そもそも金融機関が融資実行を取り消す理由は、申込者の返済能力や信用状況が審査時から大きく変わることで、貸倒リスクが増大するためです。
金融庁の監督指針において、与信管理に関して「債務者の実態把握」を継続的に行うことを求めており、融資実行直前までの状況変化を監視する体制が金融機関に義務付けられています。
申込者本人の大きな変化においては、以下のような変化が融資実行の取り消し理由となり得ます。
1. 健康状態の著しい悪化
例えば、重大疾病や障害により長期療養が必要となった場合や、またはそれによって団体信用生命保険の加入審査に通らなくなった場合。
2. 婚姻関係の変化
ペアローンなど共働き前提での審査だった場合の離婚や別居があった場合、その他結婚予定だった場合の婚約破棄など(共同名義での申し込みの場合)。
3. 住所や連絡先の著しい変更
審査時から連絡が取れなくなるような状況変化があった場合や、居住予定地域の大幅な変更があった場合。
居住予定地域の大幅な変更とは説明しましたが、その地方銀行が管轄としていないエリア外であればもう融資は難しくなります。
4. 刑事事件への関与
極めて珍しいものでいえば逮捕や起訴など社会的信用に関わる事案への関与した場合や、詐欺や横領など経済犯罪への関与があった場合。
刑事事件で捕まったら信用情報が悪くなる?
もちろんそうなればあなたを知っている方からの信用情報は悪くなりますが、金融機関が共有する信用情報には逮捕歴は記載されないため、金融商品に関していうと問題ないです。
ただ、融資実行前にそれをやってしまうとまずいというぐらいです。
勤務状況の大きな変化(転職・退職)
住宅ローンの本審査可決後から融資実行までの間に、転職や退職など勤務状況に大きな変化が生じた場合、ほぼ確実に融資実行が取り消されるか、少なくとも再審査が必要になります。
特に「退職」は返済能力の根本的な喪失を意味するため、融資実行の取り消しに直結します。
実際に融資実行取り消しの事由として最も多いのが「勤務状況の変化」で、全取り消し事例の約65%を占めています。
金融機関が勤務状況の変化を融資取り消しの理由とする最大の根拠は「返済能力の変化」です。
日本では住宅ローン審査に限らず、ほぼすべてのローン商品において、安定した収入は最重要の判断基準となっています。
個人向け融資の審査において「申込者の返済能力の評価」が最重要項目として位置づけられており、その中でも「勤務先の安定性」「勤続年数」「収入の安定性」が核となる審査ポイントです。
融資実行に影響を与える他の変化は?
勤務状況の変化が融資実行に与える影響は以下のとおりです。
勤務状況の変化 | 融資への影響 | 再審査の可能性 |
---|---|---|
完全退職・無職 | 取り消し確実 | ほぼ不可能 |
転職(収入減) | 取り消しの可能性大 | 条件次第で可能 |
転職(収入増/同等) | 再審査必須 | 高い |
同一企業内での異動 | 影響は少ない | 通常不要 |
雇用形態の変更(正社員→契約社員など) | 再審査必須 | 条件次第 |
変化があった場合は必ず申告しましょう
上述したように住宅ローンの本審査可決後から融資実行までの間に生じる勤務状況の変化は、融資実行の取り消しや条件変更に直結する重大事項です。
注意が必要な点
- タイミングの重要性
本審査申込時の状況が融資実行まで維持されることが前提条件。変化が予想される場合は、融資実行後に転職するのが安全。 - 変化の申告義務
ローン契約約款には「重要な変更の報告義務」が含まれており、勤務先の変更は必ず報告する必要がある。隠すと「詐欺的行為」とみなされるリスクも。 - 健康保険証の確認
融資実行時には最新の健康保険証の提示を求められることが多く、これにより転職が発覚するケースが多い。 - 対処法
★ やむを得ない転職の場合は、事前に金融機関に相談
★ 転職先の雇用条件(正社員であること、試用期間の有無)を確認
★ 給与証明や雇用契約書など追加書類の準備
★ 必要に応じて借入額を見直す柔軟性を持つ
いかなる場合も、勤務状況の変化を隠して融資実行を受けようとすることは最もリスクの高い選択肢であり、発覚した場合は信用問題につながる可能性があります。
信用情報の大きな変化
住宅ローンの本審査可決後から融資実行までの期間に、申込者の信用情報に大きな変化(新たな延滞情報の登録、債務の増加、自己破産や個人再生など)が生じた場合、融資実行が取り消される可能性が高くなります。
金融機関は融資実行直前にも信用情報を再確認するケースが多く、本審査時と比較して返済能力に疑義が生じた場合には融資実行を見送る判断を行います。
金融機関がなぜ融資実行前に信用情報を重視するかは、「貸し倒れリスク」の管理にあります。全国銀行協会の統計によれば、確かに住宅ローンの貸し倒れ率は低水準(約0.3%)ではあるものの、これは厳格な審査と継続的なモニタリングによって維持されています。
融資実行時に最も重視されるのが中でも「申込情報の変化」と「新たな延滞情報」です。
住宅金融支援機構の調査によれば、融資実行取り消しの理由として「信用情報の悪化」は約15%を占め、「勤務先変更」に次いで2番目に多い理由となっています。
ふとしたことで取り消しになることもあるので注意が必要です。
クレジットカード支払いの延滞
★ 40代夫婦、共働き、本審査承認額4,000万円
★ 融資実行直前の信用情報照会で、夫名義のクレジットカード3ヶ月連続延滞が判明
★ 結果
延滞理由(海外赴任中の手続きミス)と完済証明の提出により、1ヶ月の延期後に融資実行
新たな借り入れの発生
★ 30代男性、年収600万円、本審査承認額3,500万円
★ 融資実行2週間前に250万円の自動車ローンを他行で契約
★ 信用情報機関の照会で新規借入が判明
★ 結果
総返済負担率が基準を超過、融資額の減額(3,000万円)を提案するも合意に至らず融資取り消し
多重申し込みの発覚
★ 35歳男性、本審査承認額2,800万円
★ 融資実行前の最終チェックで、直近1ヶ月間に3つの金融機関での住宅ローン申込が判明
★ 結果
申込者に確認したところ「より良い条件を探していた」とのこと。しかし、信用姿勢に問題ありと判断され融資取り消し
住宅ローンの本審査承認後から融資実行までの間における信用情報の変化は、融資実行可否を左右する重要事項です。
特に注意すべきポイントは以下です。
- 新規借入の自粛
本審査承認後は、自動車ローン、カードローン、クレジットカードの新規作成など、あらゆる借入を避けるべきです。 - 既存債務の返済管理
クレジットカードやその他の返済が遅延しないよう、特に注意して管理する必要があります。 - 複数機関への同時申込の回避
より良い条件を求めて複数の金融機関に同時申込すると、「多重申込」として信用情報に記録され、返済能力への疑義が生じます。 - 変化があった場合の速やかな報告
やむを得ない事情で新たな借入や返済遅延が発生した場合は、隠さずに金融機関に報告することが重要です。事後発覚より事前相談の方がはるかに対応の余地があります。
信用情報の変化による融資取り消しを防ぐ最大のポイントは、「本審査申込時の状況をそのまま維持すること」と「やむを得ない変化は迅速かつ正直に申告すること」です。
法的手続きが行われた場合
住宅ローンの本審査可決後から融資実行までの間に、申込者に対して破産手続き、民事再生、個人再生、任意整理などの法的手続きが開始された場合、金融機関は例外なく融資実行を取り消します。
また、債権者による差押えや仮差押え、訴訟提起といった法的措置が取られた場合も、返済能力や信用に重大な疑義が生じるため、融資実行はほぼ確実に取り消されます。
全国銀行協会の調査によれば、住宅ローン融資実行取り消し事由のうち、法的手続きの開始または法的措置の存在は約8%を占めていますが、この場合の取り消し率は100%近いという特徴があります。
以下に法的手続きのタイプと住宅ローン融資への影響を示します。
法的手続きの種類 | 融資への影響 | 再審査の可能性 |
---|---|---|
破産手続き開始 | 即時取り消し | 不可能 |
民事再生・個人再生 | 即時取り消し | 不可能 |
任意整理 | 即時取り消し | 原則不可 |
訴訟提起(被告) | 取り消しの可能性大 | 内容による |
差押え・仮差押え | 取り消しの可能性大 | 解除後検討 |
支払督促 | 再審査必須 | 解決後可能 |
法的手続きは個人信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)に登録され、金融機関は融資実行直前にこれらの情報を再確認します。
法的手続きの情報は通常5〜10年間保存され、その間の新規借入は極めて困難になります。
法的手続きが開始された場合の対応ポイント
- 即時報告の重要性
法的手続きの開始が避けられない場合、速やかに金融機関に報告することが必須です。事後発覚よりも事前報告の方が、代替案を検討できる可能性が高まります。 - 取り消し後の対応
法的手続きにより資が取り消された場合、住宅購入契約の解除についても速やかに手続きを進める必要があります。住宅ローン特約があれば違約金なしで解除できる可能性が高いですが、手付金の返還については個別条件による影響が大きいです。 - 将来の再チャレンジ
破産や民事再生の情報は最長10年間、個人信用情報に残ります。法的手続き完了後は返済計画に沿った生活を続け、新たな延滞を絶対に発生させてはいけません。 - 代替手段の検討
法的手続きにより本人名義での融資が困難な場合、家族名義での借入や、親族からの資金援助など代替手段の検討も必要になります。
法的手続きによる融資取り消しは、単なる審査条件の問題ではなく、債務履行能力の法的評価に関わる問題です。
一度始まった法的手続きを取り下げることは容易ではないため、住宅ローン申込を検討している方は、過去の借入や未払い債務を事前に整理しておくことが極めて重要になります。
融資実行後に取り消しが発生するリスク
本審査が正式に可決された後に金融機関側から融資実行を取り消すケースは原則としてない、と先に解説しましたが、果たしてなぜなのでしょうか。
一度戻りますが、細かく解説します。
そもそも住宅ローンの融資実行は「要物契約」という法的性質を持つため、取り消しが発生するリスクが極めて低いのです。
融資実行とは、金融機関が借主に実際にお金を貸し付けた時点で契約が成立する行為であり、この時点で法的拘束力のある契約が完成します。
そのため、融資実行後に金融機関が一方的に契約を取り消すことは、法的に非常に困難なわけです。
住宅ローン契約が「要物契約」であることの法的根拠は民法第587条にあります。
金銭消費貸借契約は、金銭の交付によって初めて成立する契約であるため、融資実行(金銭の交付)が行われた時点で完全な契約が成立したことになります。
よって金銭消費貸借契約が成立した後は、契約で定められた解除事由に該当する場合を除き、貸主(金融機関)が一方的に契約を解除することはできません。
民法第587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
融資実行後と融資実行前の比較
段階 | 法的性質 | 金融機関による取り消しの可能性 | 必要条件 |
---|---|---|---|
融資実行前(審査承認後) | 契約準備段階 | 高い | 理由説明が必要だが可能 |
融資実行後 | 要物契約成立 | 極めて低い | 契約違反など明確な事由が必要 |
住宅ローン契約書には通常、以下のような解除事由が記載されています。
- 返済の延滞(通常3ヶ月以上)
- 契約時の重要事項についての虚偽申告
- 反社会的勢力との関係が発覚した場合
- 差押えや仮差押え、破産手続きなどの信用不安事由
これらの事由に該当しない限り、融資実行後に金融機関が一方的に契約を取り消すことはほぼ不可能です。
融資実行後に心配すべきことは、金融機関による一方的な取り消しよりも、むしろ自分自身が返済を継続できるかどうかという点のほうが大事です。
収入や家計状況の変化に備えた計画的な返済管理こそが重要になってきます。
転職する場合は融資実行後がベスト
住宅ローンを申し込み中で転職を検討している場合は融資実行後に転職することが最もリスクが低い選択です。
融資実行前の転職は融資取り消しにつながる可能性が非常に高いのに対し、一方で融資実行後の転職は原則として融資に影響することはありません。転職のタイミングで悩んでいる方は、住宅ローンの融資実行を最優先し、お金が実際に振り込まれた後に転職手続きを進めるべきでしょう。
実際に、多くの住宅ローン契約書には「返済能力に著しい影響を与える事由が発生した場合は届け出ること」という条項はあるものの、転職自体を禁止する条項はなく、同等以上の収入が見込まれる転職であれば問題になることはありません。
筆者も住宅ローン後にすぐ転職をされた方は何人かいらっしゃいましたが、不利になったということは一切聞いたことがありません。ただ、日本全体で探せばゼロではないようです。
ここで重要なポイントは、融資実行前の転職は金融機関の「貸出判断の見直し」につながるのに対し、融資実行後の転職は単に「返済管理上の情報」として扱われる点です。
融資実行後は契約が成立しているため、返済が滞らない限り金融機関が介入することはまずありません。
ただし、その転職によって大幅な収入減で返済が困難になりそうな場合は、早めに金融機関に相談をすべきでしょう。
融資実行が取り消された場合のペナルティとリスク
住宅ローン特約の特徴と注意点
住宅ローンの融資実行が取り消された場合、住宅ローン特約(ローン特約)を不動産売買契約に付けていれば、原則として違約金なしで契約を解除できます。
しかし、住宅ローン特約には有効期限があり、適用条件も細かく定められているため、すべてのケースで保護されるわけではないということだけは頭に入れておきましょう。また、特約があっても手付金の返還については別途条件があるケースが多く、融資取り消しになった場合のリスクを完全に排除するものではないことを理解しておく必要があります。
住宅ローン特約とは、「買主が住宅ローンの融資を受けられない場合に、違約金なしで売買契約を解除できる」という特約で、約95%の売買契約にこの特約が付けられています。法的には民法上の「解除条件付契約」という位置づけです。
「ローン特約」は、不動産の売買契約において、購入者が住宅ローンを利用して物件を購入する際に設けられる特約条項のことです。主に住宅購入者が万が一ローン審査に通らなかった場合、契約を白紙撤回できるようにするための保護措置です。「住宅[…]
一方で、住宅ローン特約を巡るトラブルが年間300〜400件発生しており、以下のような問題点が指摘されています。
住宅ローン特約を巡るトラブル
- 特約の有効期限が切れた後の融資取り消し
- 買主側の事情による融資取り消しの場合の扱い
- 手付金返還条件が明記されていないケース
住宅ローン特約は買主を保護する重要な条項ですが、万能ではありません。
発生しうるトラブルを防ぐためにも、住宅ローン特約の重要なポイントをまとめます。
住宅ローン特約の重要なポイント
- 期限設定の重要性
★ 特約の期限は通常2週間〜1ヶ月
★ 本審査の結果が出るまでの期間を考慮した余裕のある期限設定が重要
★ 期限延長が必要な場合は、期限内に売主に相談することが不可欠 - 適用条件の確認
★ 「買主の責めに帰すべき事由がない場合」が条件のケースが多い
★ 新たな借入や職場変更など自己都合による融資取り消しは適用外となる可能性
★ 契約書の細かい条件を必ず確認する - 手付金返還条件の確認
★ 標準的には全額返還だが、事務手数料等を差し引くケースもある
★ 手付金返還の期限(通常30日以内)も確認が必要
★ 返還条件が明記されていない場合は追記を求めるべき - リスク管理のポイント
★ 可能な限り事前審査で融資可能額を確認してから物件契約
★ 本審査から融資実行までの期間は転職や新規借入を避ける
★ 融資取り消しリスクに備え、契約時の手付金額は最小限に抑える
不動産売買契約が解除となる可能性
住宅ローンの融資実行が取り消された場合、不動産売買契約は原則として解除となります。
この解除が「住宅ローン特約」の適用範囲内であれば違約金なしで済みますが、特約の条件を満たさない場合や特約がない場合は、違約金の支払いや手付金の没収など重大な経済的損失を被るリスクがあります。
特に売買代金の10〜20%に相当する違約金が発生するケースが多く、数百万円規模の損失となる可能性があります。
「手付金」とは、不動産売買や賃貸契約などで契約を締結する際、買主または借主が売主または貸主に支払う金銭のことです。契約成立の証拠として支払われ、契約解除やトラブルが発生した場合のペナルティとしての役割も果たします。不動産取引では、手[…]
そもそも不動産売買契約が解除となる仕組みは、契約法の基本原則に基づいています。
実際に住宅購入者の約97%が住宅ローンを利用しており、融資を受けることが出来なければ購入資金を用意できないという実態があります。
住宅ローン特約がある場合とない場合の違い
分かりやすいように表にしてみましょう。
条件 | 契約解除時の責任 | 手付金 | 違約金 |
---|---|---|---|
住宅ローン特約あり(条件・期限内) | 原則として責任なし | 全額返還が一般的 | 原則発生せず |
住宅ローン特約あり(条件・期限外) | 買主に責任あり | 没収されるケースが多い | 契約書の定めによる(10~20%) |
住宅ローン特約なし | 買主の債務不履行 | 没収確実 | 売買代金の20%程度が一般的 |
融資実行取り消しによる不動産売買契約の解除は、数百万円単位の経済的損失につながる可能性のある重大リスクです。
特に「住宅ローン特約」の適用条件と期限は慎重に検討し、少しでも不安がある場合は不動産会社や弁護士に相談することをお勧めします。
手付金の放棄リスク
先述した手付金について、詳しく解説します。
住宅ローンの融資実行が取り消された場合の最も直接的な経済的リスクは「手付金の放棄」となります。
特約の期限切れや特約条件外の事由による取り消し、特約自体がない場合には、手付金が没収される可能性が極めて高くなるどころか没収されるのが通常です。
手付金については、民法557条で「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は手付の倍額を償還して、契約の解除をすることができる」と規定されています。
手付金返還状況(日本不動産研究所による情報)
条件 | 手付金返還率 | 返還割合 |
---|---|---|
住宅ローン特約あり(条件・期限内) | 98.2% | 原則全額 |
住宅ローン特約あり(期限切れ) | 48.5% | 平均で約50% |
住宅ローン特約あり(買主に責任がある自由) | 23.7% | 全額没収が多数 |
住宅ローン特約なし | 5.3% | ほぼ全額没収 |
先ほどとかぶりますが、手付金放棄は数百万円という大きな経済的損失につながるため、融資実行取り消しリスクには特に注意が必要です。
住宅購入という人生の大きな決断において、この手付金リスクを十分に理解した上で、先手を打ち適切な対策を取るようにすることが重要です。
まとめ:住宅ローンの融資実行が取り消されるリスクはかなり低い
住宅ローンの融資実行後に金融機関から一方的に契約が取り消されるリスクは極めて低いので、基本的には安心していて大丈夫です。
融資実行とは金融機関が実際にお金を貸し付けた時点であり、この段階で法的に有効な「要物契約」が成立します。
そのため、金融機関側から一方的に取り消すことは法的に困難になります。
その一方で、融資実行前であれば状況は大きく異なります。本審査承認後から融資実行までの間に申込者の状況に重大な変化(転職・退職、新たな借入、信用情報の悪化など)があると、融資実行が取り消される可能性が高まります。
万が一融資実行前に取り消しとなった場合、不動産売買契約の解除や手付金の没収といったリスクがあるため、住宅ローン特約を付けて備えることが重要なため、事前に不動産会社に相談しておきましょう。
特に重要なポイント
- 融資実行前の転職・退職は融資取り消しの主要因です(約65%)
- 転職を考えている場合は、融資実行後に行うのが安全
- 本審査可決後から融資実行までは新たな借入を避ける
- 万一の取り消しに備えて住宅ローン特約を必ず付ける
- 特約の期限は審査期間を考慮して十分な余裕を持たせる
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返済が難しくなった場合は、まず金融機関に早めに相談することが重要ですよ!
- 返済期間の延長(月々の返済額を減らす)
- 一時的な返済額の減額
- ボーナス返済の見直し
- 返済方法の変更(元利均等返済から元金均等返済へなど)
多くの金融機関は「住宅ローン返済相談窓口」を設けているので、個別の状況に応じた提案をしてくれます。早期に相談することで、延滞発生前に対策を講じましょう。
この場合は、売主に対して瑕疵担保責任に基づく修繕請求や損害賠償請求を行う必要があります。
ローン契約と売買契約は別個の契約であるため、物件に問題があってもローン返済義務は継続します。
ただし、重大な欠陥で住めない状態になるなど特殊なケースでは、金融機関に相談の上、条件変更などの対応を検討できることはあります。
融資実行後の金利タイプの変更(変動金利から固定金利へ、またはその逆)は、金融機関によって対応が異なるので、それぞれ問い合わせてみるまで分かりません。
- 変動金利から固定金利への変更
多くの金融機関で可能ですが、変更時点の金利が適用されます - 固定金利から変動金利への変更
金融機関によっては手数料や条件がある場合があります - 固定金利期間の変更
現在の契約を一部繰上返済+条件変更として扱うケースが多いです
変更を検討する場合は、手数料や違約金が発生する可能性もあるため、事前に契約中の金融機関に相談することをおすすめします。
特に2025年2月のような金利上昇局面では、変動から固定への変更を検討する価値があります。
融資実行後に住宅を手放すことになった場合は、
- 住宅を売却して、住宅ローンの残債を返済する
- 住宅を賃貸に出して、家賃収入で住宅ローンを返済する
などの方法が考えられます。
住宅ローンの残債や、住宅の売却価格などを考慮して、最適な方法を選択する必要がありますが、通常は賃貸に貸し出すことをおすすめします。
その際は良い不動産管理会社を見つけるようにしましょう!
息子の進学で良い不動産屋で部屋を探したいが、果たして良い不動産屋って・・・? 実家の解体の相談、、世話なってる不動産屋に相談したらなんとかなるかな? リフォームをお願いしたいけど、良い工務店が分からない不[…]