「孤独死 アパート 損害賠償」
で検索したあなた、不安な気持ちを抱えていることと思います。
所有している物件から孤独死、自殺、ましては他殺が発生してしまったらショックでしょうがないです。
賃貸物件で孤独死が発生した場合、家主はどんな責任を負うのでしょうか?遺族は損害賠償を請求できるのでしょうか?
はたまた遺族が責任を負うケースはどんなパターンでしょうか。
この記事では、孤独死が発生したアパートにおける家主の責任や、遺族側の損害賠償について解説します。さらに、家主が取るべき対策や、孤独死発生時の対応について具体的な事例を交えながら詳しく説明します。
この記事の情報を参考に、不安を解消し、適切な対応が出来ることを願っています。
当記事で出てくる遺族は相続人とお考え下さい。
相続人が相続放棄をした場合、次に責任を負う方は連帯保証人となります。
孤独死が発生したアパートの定義と基礎知識
孤独死とは?
孤独死とは、家族や友人など身近な人の助けがなく、自宅やアパートなどで亡くなり、発見が遅れてしまった状態を指します。近年、高齢化社会の進展や核家族化、地域コミュニティの希薄化などにより、孤独死は増加傾向にあります。
したがって孤独死問題は、決して個人の問題だけでなく、社会全体で取り組むべき問題の一つと言えるでしょう。高齢化社会が進む中で、孤独死のリスクはますます高まっています。不動産オーナーとして、孤独死が発生した場合の対応や、入居者の方々の生活状況を把握しておくことが大切になります。
また、孤独死は、発見が遅れることで遺体の腐敗が進み、悪臭が発生したり、衛生上の問題が発生したりする可能性高く、ひとたび発生すると近隣住民への精神的な影響も懸念されます。
孤独死の発生件数
厚生労働省の統計によれば、2024年の孤独死推移は推計で6万8000件に上る可能性があるとも言われており、孤独死の対象となりえる「単身世帯」は2022年で32.9%と年々増加し、今後も孤独死は増加するとみられています。
決して高齢者だけではない孤独死
孤独死は、高齢者だけでなく、若年層でも発生し、近年では経済的な困窮や精神的なストレスを抱える若者による孤独死も増加しています。
事故物件とは?
事故物件とは、基本的には過去に死亡事故が発生した物件を指します。
孤独死が発生したアパートが、法律上必ず事故物件として扱われるわけではありませんが、多くの場合は事故物件とみなされます。
将来的なトラブルを回避するために、孤独死が発生した場合、適切な対応を行うことが大切です。
主に事故物件として扱われる可能性のある事由
- 自殺
入居者が部屋で自殺した物件 - 他殺
入居者が部屋で殺害された物件 - 孤独死
入居者が部屋で孤独死し、発見が遅れた物件 - 火災
部屋で火災が発生し、死者が出た物件
不動産取引における告知義務
不動産取引では、物件に瑕疵(欠陥)がある場合、売主または賃貸人は、買主または賃借人に告知する義務があります。
ただし、事故物件の定義は明確に定められていないため、判断が難しいケースもあります。
この間買ったこの家、変な噂を聞いたんだけど。 家賃が低いからなんで?と聞いたら心理的瑕疵があるからですの説明で終わった シロアリで家が壊れる可能性を不安に思う気持ちが心理的瑕疵?瑕疵(かし)と言います。[…]
事故のあった不動産の価値
事故物件は、一般的に通常の物件よりも価値が下がります。これは、心理的な影響や、将来的な賃料収入の減少などが考えられるからです。
また残念なことに、対象となった一部屋が本来は該当するものですが、建物全体が事故物件と見なされてしまうことが多いです。
近隣住民への影響
事故物件は、近隣住民に不安や恐怖を与える可能性があり、そのため、事故物件であることを告知することで、近隣住民への影響を最小限に抑えることができます。
【家主側目線】孤独死が発生した場合、誰が損害賠償責任を負うのか?
孤独死が発生した場合、原則として大家や管理会社は、借主の死亡に対して賠償責任を負いません。
つまり、孤独死によって生じた原状回復費用や特殊清掃費用、家賃収入の損失などは、原則として大家や管理会社が負担する必要はありません。
孤独死が発生した場合で大家さんや管理会社が賠償責任を負うのは、借主の故意や過失、または過去の社会常識では賠償責任が認められていたケースなど、非常に限定的な状況です。
賃貸借契約上では?
賃貸借契約では、借主は借りた物件を善良な管理者の注意をもって使用する義務(善管注意義務)を負います。孤独死は、原則として借主の責任範囲であり、大家や管理会社は、借主の死亡によって生じた損害に対して賠償責任を負うことはありません。
そもそも予測が出来ない事案である
孤独死は、予期せぬ出来事であり、大家さんや不動産管理会社が事前に予測することは出来ません。そのため、大家さんや不動産管理会社が死亡による損害に対して賠償責任を負うのは、不公平であるとされています。
注意
実際に過去の裁判例では、借主の孤独死による損害に対して、大家さんや管理会社が賠償責任を負ったケースはほとんどありません。しかし、身寄りのない方が亡くなった場合、大家さんが泣き寝入りするというケースがとても多いのが実情です。
遺族への損害賠償請求
孤独死が発生した場合、原則として大家や管理会社は、遺族に対して損害賠償責任を負いません。ただし、借主の故意や過失が認められる場合、または過去の社会常識では賠償責任が認められていたケースなど、例外的に賠償責任を負う可能性があります。
賃貸借契約では、借主は借りた物件を善良な管理者の注意をもって使用する義務があります。借主の死亡は、原則として借主の責任であり、大家や管理会社は、借主の死亡によって生じた損害に対して賠償責任を負うことはありません。
また、借主の死亡は、予期不能な出来事であり、大家や管理会社が事前に予測することは困難です。そのため、大家や管理会社が死亡による損害に対して賠償責任を負うのは、いくらなんでも不公平です。
過去の裁判例でも、大家や管理会社が賠償責任を負ったケースはほとんどありません。
自殺の場合はどうなのか
借主が自殺した場合、原則として大家や管理会社は、遺族に対して損害賠償責任を負いません。しかし、借主の自殺が、大家や不動産管理会社の故意または過失によって引き起こされたと認められる場合は、賠償責任を負う可能性があります。
過去の判例でも、借主の自殺による損害に対して、大家や管理会社が賠償責任を負ったケースはほとんどありません。
ただし唯一、賠償責任を問われるケースとして、借主が大家とのトラブルによって精神的に追い詰められ、部屋で自殺したケースです。この場合、大家は、借主の自殺の原因を作ったとして、遺族に賠償責任を負う可能性があります。
例えば家賃の督促を大げさにやりすぎて借主が精神病になってしまい、そのまま自殺してしまった場合などです。
もちろんそのような場合は、原状回復費用も遺族に請求出来ませんので、大家自身で行う必要があります。
他殺の場合はどうなのか
借主が他殺された場合、原則として大家や管理会社は、遺族に対して損害賠償責任を負いません。他殺は、借主の責任ではなく、第三者の犯罪行為によるものです。そのため、大家や管理会社は、その行為を予測したり、防いだりする義務はないとされています。
仮に、借主が自宅で強盗に襲われ、殺害されたケースであっても、大家は、借主の他殺によって生じた損害に対して、遺族に賠償責任を負う必要は通常ありません。
【借主目線】孤独死、自殺、他殺発生による損害賠償の内容
ここからは借主側の目線になって解説していきます。
自殺以外の場合は損害賠償責任はありません
法律的な観点による結論から言えば、自殺以外は損害賠償責任に問われることはありません。
基本的には、亡くなった入居者の死に「故意・過失が認められるか」という点です。
自殺の場合は、借主の過失責任が発生するため、損害賠償を請求されます。
孤独死や他殺の場合は、本人に「過失がない」ので、通常は遺族への損害賠償請求はできません。
しかし、大家さんは損害を見てほしいと様々な費用を請求してきがちです。
そうなると遺族はどのような理由であれ、大家さんに対して申し訳ないという気持ちから言われるがままに支払うケースが多いです。
もう一度いいますが、自殺以外は賠償責任はありません。
身内の方が亡くなってしまった場合、どのような損害賠償が必要になるのか見ていきましょう。
原状回復費用
借主が自殺した場合、原則として遺族は、物件の原状回復費用を負担する義務があります。ただし、超例外的に借主の自殺が、大家や管理会社の故意または過失によって引き起こされたと認められる場合は、大家や管理会社が原状回復費用を負担する場合があります。
賃貸借契約では、借主は借りた物件を善良な管理者の注意をもって使用する義務を負います。その死亡によって物件が汚染されたり、損傷したりした場合、遺族は原状回復費用を負担する責任を負うとされています。
過去の判例でも、借主が自殺した場合、遺族が原状回復費用を負担する責任を負うと判断されたケースが大半をしめます。
社会通念上的にみても、借りた物件を元の状態に戻す責任は借りる側にあります。これは、大家や管理会社が、借主が死亡した後の状態を予測することは困難であることから、責任を借主側に負わせる方が合理的であると判断されるためです。
高齢者の孤独死
独居の高齢者が、病気で倒れてそのまま亡くなり、数週間後に発見されたケース。この場合、遺族は損害賠償は請求されませんが、長期で未発見だった結果、腐敗が進んだ、汚染が進んだことからリフォーム費用がかさんでしまった場合はリフォーム代金を請求される可能性があります。
高齢者の場合は、発見されるまでに時間が要することが多いです。また、死亡から発見されるまでの時間がかかればかかるほど費用がかさんでいきます。
若者の孤独死
経済的な困窮から、仕事も住む家も失い、アパートの一室で孤独死した若者のケース。若者の場合、LINEが既読にならない、会社に出勤しないなどで周りからの連絡で早期に発見される場合が多いです。
この場合は実害はないことから請求されません。
特殊清掃費用
借主が自殺した場合、遺族は、原則として特殊清掃費用を負担する義務があります。
自殺に限らず、死亡により物件、部屋が汚染された場合、特殊清掃は必ず行われます。適切な清掃を行わないと、二次感染や悪臭の発生、物件の価値低下など、様々な問題が発生する可能性があります。
特殊清掃とは
特殊清掃とは、孤独死や事件・事故などによって汚染された部屋の清掃・消毒・消臭を行う専門的な清掃のことです。通常の清掃では対応できない、特殊な状況下での清掃が必要となるため、専門の業者に依頼することが一般的です。
特殊清掃費用は、物件、部屋の規模、汚染の程度、作業内容によって大きく異なります。一般的には数万円から数十万円、場合によっては数百万円かかることもあります。
特殊清掃が必要となるケース
- 孤独死
- 事件・事故による血痕や体液の付着
- 悪臭や害虫の発生
- 感染症の危険性がある場合
特殊清掃の具体的な作業内容
ご遺体撤去後の処理をはじめとし、血液や体液の除去、腐敗臭や悪臭の消臭、床や壁の洗浄・消毒、害虫駆除、室内環境の改善などをメインとして行われます。
中にはフローリングの張り替えやクロスの張り替えなど内装も行う業者も存在します。
家賃減額による損害の補償
自殺が発生した物件は、一般的に事故物件とみなされ、その後の賃貸に影響が出ることが考えられます。一般的には、事故物件は通常の物件と比べて家賃が安くなる傾向にあります。これは、事故物件においては心理的な影響が考えられるためです。また、家賃を下げたとしても次の入居者がすぐに決まるとも言い切れません。
どの程度の賃料になるかは物件の種類や事故の内容、エリア、立地によって異なります。
期間はさておき、その差額を補償してほしいと請求される可能性があります。この場合の期間は、、おおよそ「2~3年の間における減額分の賃料合計」です。
残置物の処理費用(孤独死、自殺、他殺すべてに該当)
遺族は、原則として借主の残留物の処理費用を負担する義務があります。しかし、賃貸借契約で特約が定められている場合は、大家や管理会社が処理費用を負担する場合があります。
残置物とは
残置物とは、賃貸借契約が終了した際に、借主が物件に残したものを指します。具体的には、家具、家電、衣類、書籍など、様々なものが含まれ、残置物の処理は、原則として遺族の責任となります。
残置物の処理方法
- 遺族が引き取り
遺族が直接残置物を引き取り、処分を行います。 - 遺品整理業者に依頼
遺品整理業者に依頼して、残置物の整理と処分を行います。 - 大家に処分を依頼
大家に残置物の処分を依頼する場合、通常は不動産管理会社へ相談が行くので、費用が少しかさんでしまう可能性が高くなります。
未払い賃料(孤独死、自殺、他殺すべてに該当)
借主が死亡した場合、遺族は、原則として借主の死亡時に未払いだった賃料を支払う義務があります。
賃貸借契約では、借主は借りた物件の家賃を支払う義務があります。借主が死亡した場合でも、死亡時に未払い賃料があった場合には、原則として遺族が支払う義務を負うので、それについては支払う必要があります。ただし、遺族が借主の経済状況を把握していなかった場合、大家さんとの話し合いで未払い賃料の減額や免除が認められる可能性があります。
死亡事故発生後のアパートの賃貸経営について
死亡事故発生後の告知義務
死亡事故が発生したアパートを賃貸する場合、不動産管理会社、大家さんは、入居希望者に対してその事実を告知する必要がある場合があります。これは、入居希望者が物件の状況を正しく理解した上で、賃貸契約を締結できるよう、透明性を確保する必要があるためです。ただし、法律上、明確な告知義務を定めた条文はありません。
理由と根拠
- 民法
民法では、売買契約や賃貸借契約において、売主や賃貸人は、物件に瑕疵(欠陥)がある場合、買主や賃借人に告知する義務があるとされています。死亡事故は、物件の価値を下げる可能性があるため、瑕疵に該当すると判断されるケースがあります。 - 不動産取引における告知義務
不動産取引においては、物件の価値に影響を与える可能性のある情報は、すべて告知する必要があるとされています。死亡事故は、物件の価値に影響を与える可能性のある情報として、告知義務の対象となるケースがあります。 - 過去の判例
過去の裁判例では、死亡事故が発生した物件を告知せずに賃貸したことで、大家が責任を問われたケースがあります。
また、令和3年10月に国土交通省は新たに「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
策定されたとはいえ、やはり一部が今までと同様に曖昧になっているものがあることに変わりはありませんが、参考にご覧ください。
賃貸と売買では異なる部分もあります。
告知義務を怠った事例
大家は、自殺が発生した事実を隠蔽し、入居希望者に告知せずに賃貸契約を締結しました。その後、入居者が自殺の事実を知って、賃貸契約を解除し、損害賠償を請求したケースがあります。
告知義務を果たした事例
大家は、殺人事件が発生した事実を告知した上で、入居希望者に物件を賃貸しました。入居希望者は物件の状況を理解した上で、通常の半額家賃で賃貸契約を締結しました。
事故物件の売却は?専門業者の買取がおすすめ
死亡事故が発生したアパートは、一般的に事故物件とみなされ、賃貸経営が困難になるケースがあります。そのため、売却を検討するオーナーも少なくありません。しかし、事故物件の売却には、告知義務や売却価格の低下など、様々な課題が存在します。
- 物件価値の低下
死亡事故が発生した物件は、心理的な影響や将来的な賃料収入の減少などが考えられるため、通常の物件よりも価値が下がる傾向にあります。 - 告知義務
事故物件の売却時には、売主は買主に事故の事実を告知する義務があります。告知義務を怠ると、買主から損害賠償を請求される可能性があります。 - 売却価格の低下
事故物件は、通常の物件よりも売却価格が低くなる傾向にあります。これは、告知義務によって、買い手が見つかりにくくなるためです。
どれぐらいの価値が下がるのかについてはケースによっても異なりますが、おおよそ下記を目安に考えればよいでしょう
- 自然死、孤独死、事故死:1~2割
- 自殺:2~3割
- 他殺:3~5割
通常はこのような査定額となり、地方においては噂が行き届いてしまい、なかなか売れないというのが実情です。
世の中には事故物件を専門に取り扱い、少しでも高く買い取りを行う正しい買取や、【WISH(ウィッシュ)】のような不動産会社も存在しますので、特にスムーズな売却を検討されている方はぜひ一度ご覧になってみてください。
孤独死対策に役立つサービス
孤独死保険
孤独死保険は、家主にとって、孤独死発生時の経済的なリスクを軽減する有効な手段です。孤独死は近年増加傾向にあり、家主は、孤独死発生による原状回復費用や精神的な負担、物件価値の低下などのリスクを抱えています。孤独死保険に加入することで、これらのリスクを軽減することができます。
孤独死保険は、少額短期保険会社や損害保険会社など、様々な保険会社から販売されています。孤独死保険を選ぶ際には、保険内容をよく確認し、自分に合った保険を選びましょう。
保険加入によって補償される内容
- 遺品整理費用
- 原状回復費用
- 家賃損失
今回は家主側加入の保険ですが、入居者に孤独死に関するオプション(火災保険の特約)を希望したとしてもなかなか加入してくれるものではありません。
家主型のデメリットとしては、その分の支出が増えてしまうことですが、1戸あたりの保険料は数百円です。
高齢者入居者が多い物件をお持ちであれば、いざという時のために加入を検討してみてはいかがでしょうか。
孤独死が発生したアパート、損害賠償の責任は誰が負うの?
死亡事故が発生したアパートにおいて、家主が損害賠償責任を負うことは原則としてありません。
借主側からみると故意・過失である自殺以外は、遺族が損害賠償責任を負うことはありません。
家主は損害賠償を負う必要はありませんが、自殺以外のケースにおいて原状回復、特殊清掃、家賃収入の損失などをすべて泣き寝入りしないとケースも少なからずあります。
また、事故物件となったことで家賃収入が減り、大家業モデルがくずれそうになった場合には売却を検討することも一つの方法です。
家主が取るべき対策
- 入居者とのコミュニケーション
入居者の生活状況を把握し、必要があればサポートを提供しましょう。 - 定期的な部屋の点検
孤独死を未然に防ぐために、定期的に部屋の点検を行いましょう。 - 孤独死対策の保険
孤独死発生時の経済的なリスクを軽減するために、孤独死対策の保険に加入しましょう。
孤独死は、誰にでも起こりうる問題です。家主は、入居者の安全確保に努め、万が一の場合に備えて、適切な対応をとれるよう準備しておくことが重要です。