新しい季節を迎え、大学入学を機に一人暮らしを始めるという方も多いと思います。家探しを始めたものの、何を基準に選べばよいのか、条件や種類が多くて分からないという方も少なくないようです。
そこで今回は、大学生が賃貸物件を選ぶポイントを解説します。相場や初期費用もご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
大学生の賃貸物件の選び方や探し方のポイントとは
賃貸物件を選ぶ際には、重視するポイントがいくつかあります。たとえば、大学から近いところに住みたいのであれば駅近物件、女性の一人暮らしであれば大通りに面した物件など、需要により選ぶべき物件も異なります。何を基準に選ぶべきかを整理していくことから始めましょう。
立地条件を重視する
初めて家探しをする場合、大学から近い物件はないかと探される方も多いと思います。家探しの基本は「立地条件」を確認することです。大学から家までがあまりに距離があると、通うにも時間がかかります。通学は毎日のことなので、なるべくは大学から近い、または最寄り駅から1時間以内で通える距離がよいでしょう。
このときのポイントとして、実際に物件から大学まで歩く、または電車移動をしてみて、住み始めたときの感覚を体験することが大切です。住み始めてみて、「こんなはずじゃなかった」とならないようにすることも必要です。また、立地条件を重視する際、条件に気を取られて、部屋の間取りや家賃をおろそかにしないよう注意しましょう。立地は良いが、収納スペースが少なくて不便、家賃が高くて済み続けるのが厳しいなど、他の条件で快適な学生生活が送れなくなる可能性もあるため要注意です。
住みやすさを重視する
3駅利用可能、スーパーやコンビニ、病院が近い、学生寮や社宅が多く治安が良いなど、住み始めてからの「住みやすさ」を重視することが大切です。一人暮らしで自炊を始めてみようと思っても、近くにスーパーやコンビニがなければ買い物するのに遠くまで足を運ばなければなりません。住みやすい町、住みやすい環境も重視すべきポイントです。
しかし、あまりに住みやすさを追求してしまうと、学校までの距離が遠い、利用可能な駅は多いがひと駅までが遠いなど、他の面で不都合が生じる可能性もあります。すべての条件にあてはまる完璧な物件を見つけることは難しいため、「立地条件」「住みやすさ」など、自分の中でどこまでなら譲歩できるのかを決めておくと良いでしょう。
家賃を重視する
物件を賃貸する場合、毎月決まった日に必ず「家賃」を支払う必要があります。家賃については、あまりに安すぎる場合、あまりに高すぎる場合には要注意です。まずは安すぎる場合ですが、家賃が安くても「初期費用」が高いケースがあります。この初期費用とは、「敷金」「礼金」「仲介手数料」「管理費」「保険料」などの総称です。
仲介手数料については一般的に賃料の1ヶ月分、敷金や礼金については賃料の1~2ヶ月分という業者が多いですが、管理費や保険料については物件により異なります。家賃が3万円台の安い物件を見つけたとしても、初期費用では30万円弱はかかることが多いため、月々の家賃だけではなく、初期費用としていくら予算がいるのかも確認しておきましょう。
そして、家賃が高すぎる場合ですが、これは立地条件や住みやすさを重視した結果、少し無理をして家賃が高い物件を選ぶケースを指しています。誰しも快適な空間、住みやすい環境、騒音のない閑静な住宅街などには憧れますが、総じて家賃は高い傾向にあります。家賃は毎月必ず発生する固定費なため、やはり堅実かつ状況に合わせた家賃を選ぶことが大切です。
大学生の賃貸の相場・初期費用について
これから賃貸物件を探す上でも、家賃の相場や初期費用について詳しく知っておくと心強いでしょう。相場と比べて安ければ決定、高ければ保留など、ひとつの目安として参考にしてください。
大学生の家賃相場はいくら?
基本的に大学生が進学を機に一人暮らしを始める場合、親からの仕送りに頼って生活をするケースが多いです。したがって、親の意見もあり家賃は控えめな賃貸物件に住むことが多く、家賃相場もそれに応じた価格帯となっています。具体的な大学生の家賃相場は「約5万円」となっています。
ちなみに、男女別に見てみると、女性の平均家賃は約5万2千円、男性は4万3千円となっており、女性のほうは家賃が高い傾向にあります。理由として挙げられるのが、女性は防犯上の理由から、「オートロック」や「2階以上」などの条件で物件選びをする方が多く、必然的に家賃も上がります。また、家に友人を呼びたいなどの理由から、「1K」や「1DK」以上に住みたいという意見が多いことからも家賃相場を上げる結果となっています。
男性については、とにかく家賃負担が少なければどこでもいいという方も少なからずいるため、平均的な家賃相場は控えめとなっています。平均相場を見ると、5万円という相場は決して安くはありません。大学生が住む場所を考えると、条件として「駅近」や「公共施設周辺」など、家賃が上がる条件がいくつかそろっているため、決して安くはない相場となっています。
初期費用はどのくらいかかるの?
初めて一人暮らしを始める上で欠かせないのが「初期費用」です。入居後の家賃とは異なり、入居前に支払う費用ですが、その金額は家賃の比ではありません。すべてを自分で負担する方、親に援助を受ける方それぞれですが、今後のためにも初期費用としていくらかかるのかを覚えておきましょう。あくまで入居前の手続きとして発生する初期費用については、「敷金」「礼金」「仲介手数料」「管理費」「保険料」の5つです。※物件により多少異なります。
① 敷金
これは物件を借りる際に保証金として預けておく費用のことです。退去時に発生する原状回復費用に充てられる費用でもあり、預ける金額はだいたい家賃の1~2ヶ月分です。返却されることが大半ですが、保証金という名目で返金されないこともあるため、契約書を確認しましょう。
② 礼金
礼金とは読んで字のごとく謝礼として大家さんに納めるお金であり、家賃の1~2ヶ月分であることが多いです。預け金とは異なるため、礼金は返金されません。
③ 仲介手数料
不動産会社など賃貸物件を借りる際に仲介してもらった場合、このような仲介手数料が発生します。一般的には、家賃の1ヶ月分と考えておくとよいでしょう。
④ 管理費
管理費とは、共同で使う賃貸物件の設備維持費に使用され、共益費と呼ばれる場合もあります。家賃と一緒になっているケースもあれば、家賃と管理費が別になっている物件もあります。約3~5千円が一般的ですが、物件により異なります。
⑤ 保険料
入居後に火災が起きてしまったときのための「火災保険料」です。入居時に加入するケースが多く、おおよそ2万円前後の費用がかかります。これらは一般的な初期費用であり、物件によっては防犯上の理由から「鍵交換費用」、月の半ばからの引っ越しの場合には「日割り家賃」などが発生する場合もあります。家賃が5万円前後の物件を借りる場合には、最低でも約50万円は初期費用としてかかることを覚えておきましょう。
入学前の部屋探しの時期や入居のタイミング
大学入学後に住み始める家は、どのタイミングで探し始めるのがよいのでしょうか。合否の結果が出る前に決めるのは難しいため、やはり合格後に決めるという方が多いとは思いますが、具体的にどのタイミングがベストなのかを見ていきましょう。
どのタイミングが部屋探しに適切なのか
不動産業者のタイミングとしては、早いところでは11月初旬から「合格前早割プラン」などのサービスが始まります。特に学生中心の賃貸物件などでは、10月ごろから卒業か契約更新かを決めるため、11月ごろからは早めに新入学生の募集を始められます。そのため、10月や11月の段階で部屋決めをしておくと、通常よりも数万円安い価格で入居が可能となります。
私立大学をAO入試や推薦入試で受験した場合には、早ければ秋には合否が決まるため、合格のタイミングで部屋決めができると効率的です。国立を受験された方については、遅ければ後期入試のタイミングで3月下旬まで合否が分からない展開もあり得ます。そういった方については、賃貸物件の目星をつけたら「押さえておくこと」が重要です。
押さえるとは、入居の意思を伝え、合格したら契約するという条件で賃貸物件を予約することです。中には、そういった予約ができないところもありますが、基本的には断られることは少ないでしょう。また、事前に物件を予約することは不動産業者からすると、直前に断られるリスクもあるため、業者によっては「手付金」や「キャンセル料」が発生する場合もあるため注意してください。
入試時期別スケジュール
ここで、入試時期別の具体的な部屋探しの流れを確認しておきましょう。
① 年内に進学先が決まるケース
大学受験をする際、「AO入試」「推薦入試」「専門学校進学」など年内に進路が決まる方については、10月初旬から部屋探しを始めましょう。卒業生で進学先の大学に通っている先輩がいる場合、その方からアドバイスしてもらうのも有効です。自分が住みたい部屋の条件を頭の中で整理しておき、物件資料を集めましょう。
早ければ11月下旬の段階では進学先が決定しているため、この時期にはすでにどの物件がよいか目星をつけておくとベストです。1月中旬には部屋探しシーズンが到来するため、この時期までに物件の見学を終えているとスムーズです。物件選びが終えると2月に入り、いよいよ契約です。初めての契約で分からないことがある場合には、遠慮せずに不動産業者に質問しましょう。
② 年明けに進学先が決まるケース
国立大学などを受験される方については、1月のセンター試験を終えてから徐々に住みたい部屋の条件を考えるようにしましょう。早ければ2月初旬には進学先が決定しますが、ちょうど不動産業者も忙しい時期に入っているため、この時期までには見学したい物件を絞り込んでおけるとよいでしょう。
このときの注意点としては、地方から都心へ引っ越しをする場合、時間が限られている中での不動産業者訪問や物件見学となるため、タイムスケジュールをきちんと組み立てておくことが大切です。3月に入れば契約・引っ越しという流れで転居が進みます。
学生専用の賃貸物件の評判やメリット・デメリット
大学周辺は特に、学生専用のアパートやマンションが多く、学生のための設備やサービスが充実しています。はたして学生専用の賃貸物件は、普通の賃貸物件と比べてメリットやデメリットはあるのでしょうか。
メリット
学生専用の賃貸物件ならではの交流会や親睦会などが、定期的に開催されることがあります。学生同士の交流が深まるだけでなく、初めての一人暮らしが不安だという方にとっても、安心できる物件でしょう。
また、学生にはうれしいインターネット回線やケーブルテレビが無料で利用できるなど、学生専用ならではの特典が用意されています。学生専用の賃貸物件の多くは、事前に予約できるサービスを行っており、前もって予約することで合格後のスムーズな引っ越し手続きへと移行できます。
デメリット
これだけ快適な環境が整備されている賃貸物件ですので、家賃が高めに設定されています。約5万円~7万円が相場となっています。なるべく家賃はおさえたいという方は、学生専用の賃貸物件以外で探したほうがよいでしょう。また、学生専用で若い方が多い物件ですので、にぎやかになりがちなこともあります。静かな雰囲気が好きではないという方にはおすすめです。学生専用の賃貸物件は、普通の賃貸物件と比べると戸数は少なく、人気物件で早めに部屋が埋まってしまうことも多いため、早くからの予約が重要です。
女性が気になる賃貸物件のセキュリティについて
学生専用の賃貸物件には、基本的には大学生しか入居できないため、両親に余計な心配させないようにセキュリティ面に優れています。オートロックやセキュリティシステム、モニター付きインターホンを導入している物件が多く、女性の一人暮らしでも安心できる環境が整っています。また、物件の中には、女性専用の学生マンションや専用フロアを設けているところも多く、安全面を重視する傾向にあります。どの階に住んでいるのも女性ばかりだと分かっているため、住んでいるだけでもマンション自体が安心できる環境となっています。
大学生が一人で賃貸契約はできる?
民法が改正され、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わりました。それに伴い、大学生は一人でも賃貸契約が可能となりました。ただ、大学生の場合は、たとえバイトなどをしていても収入がほとんどないと判断されてしまいます。ちなみに、収入が20万円以上あるような場合でも、本業は学生であることから、「安定した収入ではない」と判断され、基本的には単独での契約は難しくなります。
賃貸契約の際には、親の名義になることが多く、もし学生名義で契約するとなった場合でも、まとまった収入のある親などが「連帯保証人」として必要とされます。
賃貸契約の必要書類・手続き方法
賃貸契約時に必要な書類や手続き方法を覚えておくと、スムーズに契約手続きを済ませられます。契約の際には親が契約者としてサインすることを求められることが多いため、一般的に必要な書類をご紹介します。
住民票/印鑑証明
住んでいる地域の市区町村役場で取得可能です。学生で印鑑登録を済ませていない場合には、事前に登録しておきましょう。
収入を証明するもの
サラリーマンやバイトをしている学生であれば「源泉徴収票」で構いません。契約者が自営業である場合には、「確定申告書」や「納税証明書」を代わりに提出します。
保証人の関連書類
保証人となる方に必要書類を伝え、用意してもらう必要があります。契約者と同じように、住民票・印鑑証明・納税証明などを求められるケースが多いです。詳しくは不動産業者に確認してみましょう。
ただ最近では、保証について人(親)ではなく、家賃保証会社などを取り扱う不動産業者が増えてきました。保証料こそ掛かるものの契約までもスムーズです。聞いたことがないけど?という方もいるかもしれませんが、家賃保証会社は決して怪しいものではありません。
銀行印/通帳
家賃を銀行口座から引き落としにする場合、銀行の通帳と銀行印が必要となります。一般的には、印鑑登録をする実印と銀行に登録する銀行印は別のものを使用したほうが望ましいです。
必要資金
賃貸契約を結ぶ際に、手間を省くため初期費用の支払いも同時に行うケースが多いです。そのため、事前に不動産業者から伝えられた初期費用を持参する必要があります。不動産業者によっては、銀行振込など対応しているところもあるため、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
今回は大学生が賃貸物件を選ぶポイントや初期費用などについて解説しました。初めてのことは誰しも知らないことだらけですので、分からないことがあれば不動産の担当に確認することが大切です。契約時に初期費用を支払う場合には、高額なお金を持参するため、慎重に扱うよう注意しましょう。